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#12 若竹のようにしなやかに

子宮体がん検査の後、
味わったことのない激痛に、
少し休ませてもらうことにした。

看護師さんに付き添われ、
婦人科の空いている部屋へ。
そこには、制服姿の、おそらく女子高生と
その母親が血圧をはかっていた。
私に気づくと、そそっと部屋を出て行った。

すまないねぇ…
マスク越しの呼吸すら、しんどい。
たかだか、検査でこんなに痛くなるのか⁉

看護師さんに聞けば、
これまた個人差があるらしく。
全く痛みの出ない人もいれば、
生理痛に似た痛みを訴える人もいるそうだ。
へぇ~、知らなかった。
知らないことだらけだ。

ほどなく、先ほどの高校生とおぼしき女子の
可愛らしい声と、女性の話し声が聞こえてきた。
ん?女医さんいたの??

この婦人科は、3つの診察室があり、
部屋の奥がつながっているため、
先生や看護師さんが行き来できる。
そして、話し声も、まぁまぁ、筒抜け。

先ほどの女子高生は、
血圧の具合を見ながら、治療か投薬かの相談をしているようだった。
女医さん悩んで決めかねている。

「ん?どうしたの?迷ってる??」

おぉ!明るい先生だ!
アドバイスの声も明るい。

そうか…
そんなに若いうちから、
ちゃんと受診しているのだね…
何のトラブルか分からないけど、
よくなるといいね…

お腹をおさえながら、女子高生の声を聞いていたら
無性に恥ずかしくなった。

若竹のようにしなやかに

あんなにしんどかった痛みが、
1時間程で、ぱったりとなくなった。
汗も完全に引き、なんか、頭スッキリ状態。

むくりと立ち上がり、看護師さんにお礼を告げ、
スタスタと注射を打ちに行った。

思えば私、ぜんぜん、しなやかじゃなかったなぁ。

中学を卒業する時。
大好きだった英語の先生から贈られた言葉。
『若竹のようにしなやかに』

美しく、やわらかい文字で書かれたそれに、
当時の私は、え?これだけ? と
また例のような、ひねくれっぷり。

けど、文字の形、そしてその文言を、
まだ覚えている。
先生は、私の性分を分かっていた。

子宮筋腫が見つかってから、
なんだか不安になって、
noteに書き出してはみたけれども。

なんか…
ぜんっぜん、大したことないね。
ネタとしても弱いし、別に深刻でもない。
悲観する必要もないし、
むしろ、闘っている人たちに、失礼だ。

治療すればいいじゃん。
ただただ、自分の身体に無頓着だった、
それだけの話。

これからは、しなやかに生きるのだ。

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