読書録「生きること学ぶこと」
広中平祐「生きること学ぶこと」(集英社文庫)
太宰治「正義と微笑」(錦城出版社)
来春から長岡市で参画させて頂く学習支援ボランティアの代表の方が数学教諭の資格を持っていたので数学教育に関する共通項が見つかり嬉しかった。
ボランティア団体のインスタグラムを拝見すると広中平祐先生の「生きること学ぶこと」が紹介されてあり、「わかっているな~」とにやけてしまった。
広中先生は日本を代表する世界的数学者で1970年に「複素多様体の特異点に関する研究」で数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した偉人である。
ちなみに日本人でフィールズ賞を受賞したのは広中先生の他に小平邦平先生、森重文先生の3名である。
4年前、新潟大学主催のイベントで森先生の講演会を聴いたことがあった。
世界的な功績を残された方なのに物腰は柔らかくお話は分かりやすかった。
こういう人が超一流なのだと思う。
脱線してしまった。
広中先生の著書の中でこんな記述がある。
私は、物体の本質と、その影との関係は、仏教の言葉を借りれば、「仏のいます世界と、人の世との関係に似ているのではないか」こう思っていたのである。
(中略)
特異点解消という問題を知った時、そのような連想を働かせたのも、今にして思えば奇妙な話だが、ともかく私がこの問題に心惹かれたのは、仏の世界と現世との関係に類似するものを感じたからだった。
広中平祐「生きること学ぶこと」
数学は自然科学の領域にとどまるものではないということが、おわかりいただけただろうか。
まさに「数学は情緒」、「感じる数学」である。
最後に何のために勉強するのかについて太宰治が小説で書いた言葉を紹介して今日は筆をおこう。
けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。
これだ。
これが貴いのだ。
勉強しなければいかん。
さうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。
ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!
太宰治「正義と微笑」
すぐに役に立たなくても楽しいから学ぶのだ。
幸せになりたい 気持ちがあるなら
明日をみつけることは とても簡単
少しやせた そのからだに
似合う服を探して
街へ飛び出せばほら
みんな振り返る
チャンスは何度でも
訪れてくれるはず
彼だけが男じゃないことに気付いて
あなたの小さな mistake
いつか想い出に変わる
大人への階段をひとつ上ったの
人生はあなたが 思うほど悪くない
早く元気出して あの笑顔をみせて
竹内まりや「元気を出して」
今日も皆様にとってよい一日でありますように。
今日も人生という唯一無二の物語を創造する。