なんとなく

 なんとなく暇だからnoteに登録してみた。大学に入学してからだいぶ経って、実家よりも寒いこの土地の気候にも慣れてきた。
 大学に入学したら毎日忙しいながらも充実した日々を送るものだと思っていた。興味がある研究室に顔を出して、受験期の勉強と寝るを繰り返した日々の続きが素晴らしいものだと期待していたけれど、現実そううまくはいかないらしい。
 中学生のころから読んでいた部活を頑張る高校生が主人公の漫画に、もう戻らない自分のささやかな高校生活を重ねて、もう戻らないということがどういうことなのかかみしめるたびに大人になっていくことが怖いと思う。前は自分でお金を稼いで自由に生きる社会人があこがれだったのに、今ではあんなに出たかった実家が少し恋しい。
 中学生のころ、小説を書くのが好きだった。今となってはかなり黒歴史に分類されるし、ひょんなことから親に発見されて読まれたらと考えると布団の上で転がりたくなるが、文章にして表現をすることが好きだった遺伝子はまだ私の中に健在であるらしい。課題をやって、なんとなく右耳に2個目のピアスホールを開けて、それでも眠気は襲ってこないし朝が来る気配もないから、今ここに至る。実は右耳にピアスホールを増設するにあたってひと悶着あり、かなり時間を費やしたはずなのだが。
 もともとビビりなので、マジックで穴をあける位置を書き込んで、慎重にピアッサーを取り出して耳に当てたまではいいのだが、ここにきてビビりが発動。鏡の前でちょっと静止して、今私がやろうとしているのは耳に穴をあける行為なんだぞ、もう開けたら取り返しがつかないしうんぬん、なんてぐるぐる考え始めてしまって、たぶん一昔前に切腹なんてした人もこんな感じだったんだろうな(いや絶対違う)とそのとき私は世界の一部を理解した気になった。でまあ、そのあといちにのさん、と口に出して勢いをつけてピアッサーを押し込んだら、針が貫通した鈍い痛さと一緒にばきっという破壊音が聞こえてきた。何かと思ったらピアッサーのプラスチック部分がなぜかばらばらになっていて、ファーストピアスが耳の後ろで止められないまま中途半端な位置に耳に刺さっていた(貫通はしていた)。さっきの威勢はどこにいったんだというレベルで焦りながらなぜか粉砕されたパーツの中からファーストピアスを後ろで止める部品を見つけ出して装着、何とか無事に私の右耳に二個目の風穴ができた。妙な達成感を味わいながら本当は左耳に同様に使う予定だったピアッサーをうん明日にしよう、一日に二個も穴なんてあけるもんじゃないよねとか言い訳しながら視界の外に追い出して、一週間分の働きをしたぐらいの勢いでバクバク言っている心臓をなだめた。
 正直なんでピアッサーが粉砕されたのかさっぱりわからない。私が知らないだけで役目を全うしたら壊れる仕様なのかなとも思ったが明らかにそうじゃないし、そうだとしても穴開けた直後に粉砕されたパーツから留め具を探すのは新手の宝さがし味はあるけどあんまりやりたくない。もしくはそのとき私に霊長類最強の女性が憑依していた可能性もある。
 とりあえず考えるのもめんどくさくなってきたのでここらへんでやめておこう。


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