EcoVadisの公認コンサルが語るEcoVadisスコアアップのポイントとは その①「回答は4点セット。でも…」
サプライチェーンのサステナビリティを構築するためのサプライヤー評価として、わが国でも定着してきたEcoVadis(エコバディス)。財務情報と異なり、「サステナビリティへの取組み」という客観的には把握しにくい非財務情報を、スコアやメダルというわかりやすい形で確認できるため、受審企業は大きく増えつつあります。
ただ、国際標準のサステナビリティ基準を採用していることもあって、日本語での説明資料がまだ少なく「質問票を見ても、どうやって対応したらよいかがわからない」「スコアをもらったが、細かい評価基準がわからない」…といった相談を受けることが少なくありません。
そこで、わが国唯一のEcoVadisの戦略トレーニングパートナーであり、自社そのものもEcoVadisのプラチナメダルを連続して獲得していることから、パートナーとして受けた専門知識と、自分達が受審回答で工夫したノウハウ、さらに多くの企業のEcoVadis受審支援コンサルティングを担当してきた経験を活かし、EcoVadisのスコアアップのポイントを複数回に分けてお伝えしたいと思います。
ポイントその① 回答は4点セット、評価対象は「証明書類」
この記事を読んでいる方の中には、EcoVadisを初めて受審する方もおられると思います。そこでまずは、EcoVadisの基本の流れを見ておきましょう。
EcoVadisは次の5つのステップで活用することになります。
ステップ①オンライン登録
ステップ②質問票への回答
ステップ③専門家による分析
ステップ④スコアカードの発行・メダル&バッジの付与
ステップ⑤プラットフォームを活用した次の回答準備
実は、いずれのステップにもスコアアップのためのノウハウが隠されており、今後それらを少しずつ説明していきたいと思いますが、一番基本となるポイントは、「そもそも評価対象とは何なのか」に対するきちんとした理解です。
(これは、ステップ②質問票への回答に関係するポイントともなります)
初めて受審する方は、EcoVadisの質問票をご覧になったこともないかもしれませんが、実際の質問票は下記のようになっています。
質問の内容は業種・業態によって異なり、質問数の多さは企業規模によって異なりますが、こうした感じで、質問がずらっと並んでいるのがEcoVadisの質問票となります。
このため、バイヤー企業等からの要請を受けて、急遽EcoVadisを受審することになった方に多い誤解が、「たくさん質問が並んでいるから、どんどん回答を作っていけばスコアが上がるはずだ…」というもの。
実際、こうした誤解に基づいて、スコアが低かった企業の担当者が、
「ちゃんと説明コメントを記載していないからだ…」と管理者から怒られるといった現象さえ起きています。
しかし、EcoVadisのスコアは回答の説明内容によって左右されるものではありません。評価対象はあくまでも「証明書類」です。まずはこのルールをきちんと押さえておくことが重要です。
EcoVadisの質問票は、上記の画像からはわかりにくいのですが、記入に合わせて変わっていくアクティブなシートとなっています。
そのため、回答する質問の▢にチェックを入れると、それに関連する証明書類を登録することができるようになり、その証明書類の該当ページと、その証明書類が何かを説明するコメント欄が現れるのです。(下記を参照)
つまり、EcoVadisの質問回答は4点セットです。
下記の説明レジュメからわかるように、①当てはまるものに✓+②証明書類を登録+③証明書類の該当ページを記載+④その証明書類が何かという説明コメントを記載、の①~④の4点セットが質問回答となります。
このうち、アナリストによる評価対象となるのは「証明書類」です。
コメントでいくら回答しても、その内容が評価されるのではありません。
逆に、仮にコメントが空欄だったとしても、証明書類がきちんと登録され、その内容に疑義が生じず質問回答として有効であれば、評価されてスコアアップにつながることもあるのです。
そのため、EcoVadisのスコアアップのためには、証明書類の提出がとても重要だとお考え下さい。
なお、この証明書類の審査はとても厳格で、しかも、その厳しさは年々増してきていると感じます。
質問意図とずれている場合などは、”拡大解釈をして大目に見てくれる…”ということはなく、きっぱり「拒否」(評価対象ではないとして却下されること)されてしまいます。
(もちろん、拒否されても減点されるわけではないので、ダメ元で出しておくという戦法もありますが…)
また、質問票の違うページの質問にあてはまる書類を登録してしまった場合なども、”気を利かせてそちらを見て、OKしてくれる…”ということは一切なく、きっぱり「拒否」(この場合は、質問とずれているので評価対象ではないとして却下)されてしまいます。
いささか厳しく感じますが、こうしたルールがあるからこそ、EcoVadisを受審する各社は、コメントだけの小手先のウソをつくことができず、サステナビリティ評価として高い信頼を得ているのだと言えるでしょう。
そのため、どういう証明書類ならOKかということにも厳しいルールがあります。それを第二回で解説させていただきます。
ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました。
また、noteでお会いしましょう!
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