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包括的民間委託とは?

ブレインファームマネジメントコンサルタントの中村正志です。

今回は包括的民間委託を解説します。
現在、国や地方自治体において、「公共施設の包括管理業務委託」が注目されており、導入する自治体が増えている状況です。

目次
1.包括的民間委託が注目される理由
2.包括的民間委託のイメージ
3.包括管理業務がもたらすメリット

1.包括的民間委託が注目される理由
我が国の公共施設は主に高度成長期時代に多く建てられてきましたが、施設の老朽化や設備・機能の低下が進んできており、すでに大規模改修や建て替え更新の時期にきています。
 
一方で急激な人口減少や少子高齢化の進行に伴い、税収の減少や公共福祉などにかかる費用が増大しているとともに、公共施設自体の利用需要は大きく変化してきています。また将来の自治体職員の減少も見込まれます。そのため公共施設等の管理については全体的および長期的な視点をもち、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことで自治体の財政的な負担を軽減・平準化するとともに、公共施設を総合的かつ計画的に管理することが必要となってきています。
 
そのような考え方に基づき、国は地方自治体に対して「公共施設等総合管理計画」の策定および、その計画に基づいた「個別施設計画」や「インフラ長寿命化計画」の策定を求めていますが、その計画の実行の手法としては、PPP/PFIの積極的な活用も検討して取り組むことが奨励されています。そして包括管理業務委託については、民間の技術・ノウハウ、資金を活用することで、公共施設管理の業務の効率化や管理の適正化、各業務における専門性の向上などが期待されています。

2.包括的民間委託のイメージ

包括管理業務は、これまで自治体の施設所管課が施設ごとに行っている点検や修繕などの保守管理を施設管理業務のノウハウを持つ事業者に一括して委託するもので、公共施設管理の適正化や業務の効率化が実現できます。

公共施設の包括管理業務の導入について(大牟田市のWEBサイトより)

3.包括管理業務がもたらすメリット
近年注目されている包括管理業務について、2018年から包括管理を導入している、東京都東村山市においては「サービス品質の標準化」、「費用対効果の向上」、「職員の事務量の削減」という3つのメリット(=本業務の狙い)が示されています。これは他の導入自治体にも共通に言えることですので少し詳しく見ていきます。
※参考:ジチタイワークスWEB
 
①サービス品質の標準化
これは導入自治体が最初に考えるメリットとなります。これまでは、各々の施設の維持管理はそれぞれ異なる方法で施設の点検や修繕を実施していましたが、今後は包括管理業務を導入し、マネジメントする企業による管理プロセスの中で標準的な業務内容を確立することで、地域や施設ごとの管理業務のムダをなくすとともに、全体的な業務品質の底上げを図るというものです。
②費用対効果の向上
マネジメントする会社を中心として、包括的に複数の施設を一括管理するということは、類似業務を地域および施設群ごとに集中して効率的に管理することなどにより、費用の削減効果が現れます。また自治体全体の様々な施設の管理状況やそれについての対応状況を一元管理することでノウハウが蓄積され、予算の中でさらなるサービスの実施を行うことも可能になります。
③職員の事務量削減
包括管理業務導入におけるVFMについての数字として表しやすいのが、業務をアウトソースすることによる事務量や人件費の削減です。明石市の事例においては、職員減による年間4,800万円の削減効果があるとなっています。
※参考:愛媛県庁/行革甲子園2020エントリーシート

↓参考文献:「これ一冊ですべてがわかるPPP/PFIの教科書」(中央経済社)。

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