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【PODCAST書き起こし】<新企画>谷さんの観劇日記2021年4月(全2回)その2
【PODCAST書き起こし】<新企画>谷さんの観劇日記2021年4月(全2回)その2
【山下】続いて、これはすごいタイトルですね『私がこれまでに体験したセックスのすべて』True Colors DIALOGUE、スパイラルホール。
これマスコミとか新聞で結構話題になっていましたね。
【谷】そうなんです。
【山下】どんな話なんですか?
【谷】これはね、要はリアル演劇なんですよ。
【山下】俳優さんがセックスのことを語るの?
【谷】俳優というよりも選ばれた素人のシニア。だから全員60代以上の、言ってみれば本当にこれまでの性体験をすべて語ると。
【山下】これから体験しないけど、これまで体験したことを語ると。
【谷】そうそう。
【山下】すごいですね。
【谷】企画制作がprecog。
【山下】precog(プリコグ)。わりとアート系が強い。
【谷】True Colors DIALOGって、ママリアン・ダイビング・リフレックスっていう、団体かな? ダレン・オドネルさんというのが全世界で。
True Colorsだからありのままの自分自身と向き合うということで、本当にいろんなダイバーシティを超えて障害や性や地域を超えて集まったシニアたちが、人生の様々なこと……性に関して体験とリアルな気持ちを舞台上でオープンに打ち明けていくと。
もう全世界でやってきてる、初の日本上演。
【山下】これ新聞で見て面白そうだなと思ったんですけど。チケット代安いですね。3000円。
【谷】安いんです。日本財団が主催してるのかな?
【山下】お金を出してくれるのかな。あ、本当だ、日本財団お金出てますね。
これカナダのチームなんですね。
【谷】そうです。シニアの男女5人……。
【山下】5人出てくる。それは日本人の、日本語でしゃべる。
【谷】日本人の。Zoomなのか何なのかテレビの向こう側で2人……ダレン・オドネルがいて。
【山下】さらに。なるほど。
【谷】その人たちは反応ですよね。
【山下】彼らはカナダから?
【谷】カナダから。
【山下】そういう時代なんですね。面白いですね。
【谷】それで、その5人の中にはゲイの人もいれば、車椅子の人もいれば、未婚のお年寄りの女性もいれば。ゲイって単純にゲイって言えるのかな……。
【山下】LGBTQ+いろいろありますからね。
【谷】おられて、その人たちが、要は初めてムラっときたときから、男とどうこうしたとか、やられちゃったとか。
【山下】それを赤裸々に語ると。
【谷】その時々に「みなさん何とかタイム」とか言って。
【山下】何タイムなんですか?
【谷】それで、手を挙げさせられるんですよ。「これまでにラブホテルに行ったことある方手を挙げてください」って。
【山下】はい、って挙げるの?
【谷】それで手を挙げるじゃないですか。
【山下】はい、あります。
【谷】そうすると、たまに指されちゃうんですよ。
【山下】挙げると指されちゃう。
【谷】「どういうシチュエーションで行ったんですか?」とか。
【山下】怖いですね。面白いですけど。
【谷】面白いんですよ。指名されなくてよかったんですけどね私。
【山下】でもなんかこういうの、いろんな性の多様性とかが受け入れられていくといいですよね。
【谷】それで、その中でも「やっぱりこういうことは人を特定するから言っちゃダメなんじゃないですか?」って周りで言う人もいるわけですよ。
【山下】わりと民主的ですね。
【谷】そうそう。だからすごいあれですね、生……。
【山下】実験的な。でも海外はこういうドキュメント演劇的なやつ多いですよね。
【谷】そうですね。ただし、これ面白かったのは、開演時に誓いを立てるんですよ「この場限りにしてください」と。
こういう些末な話はいいんですけど、人を特定するような話とか。
【山下】それはSNS、Twitterの拡散とかも含めてですよね。
【谷】そうそう。誓いを立ててこれ以上は言わないということを、ここだけの場で共有すると。もちろん手挙げてしゃべってる人も、例えばもしかしたら僕が知ってる〇〇さんかもしれないし。
【山下】たまたま、そのあとね。
【谷】〇〇さんがそうだったんだ……なんて言っちゃったらヤバいじゃないですか。だからそういうことは言ってるので、これ以上は僕も語りはしませんけれども。
【山下】そうか、そうですね。
【谷】本当にね、今までダイバーシティということを1番実感したプログラムだったんじゃないかな。
【山下】これわりと作品引用になるけど、日本語版で改編して新しいかたちのやつができるかもしれないね。
【谷】うん、できると思いますし、もう少しなんて言うのかな……やっぱりどこかに線があるじゃないですか? それをなくしてかなきゃいけないんじゃないかな。
【山下】そうですね、分かります。
【谷】切り口はいろいろなやり方あると思うんですけど、分かりやすい切り口なんですよ、このセックスの……。
【山下】分かります。それは性差も含めてね。
ちなみに知ってます? タイだとセクシュアリティが細かく分けると60種類くらいある。タイは本当に進んでるなと思って。だからこうであったりこうだったりするんですね。
アセクシュアルとかあるじゃないですか? だからそれは面白いなと思って。
こういうのが日本で上演できたのはよかったですね。
【谷】そうなんですね。これ4日間かな。
【山下】この芝居があるの、どうやって知ったんですか?
【谷】Peatixから案内が来てprecog……。
【山下】precog登録してるんだ。
【谷】登録してるんで、それで案内が来てまず単純にタイトルで選んだんですけどね。
【山下】いやでも、新聞の案内を見てすごく行きたくなったんで。4日間しかやってないんですね。
【谷】そうそう。だからこれも結構難しかったですね。取るのは簡単だったんですけど、あんまりオープンに出てなかったから。
【山下】新聞見てからだとちょっと遅かった感じだったんで。なるほど、これはいい経験されましたね。
【谷】これはそういう意味ではエキサイティングでしたね。
【山下】あと、僕が次行きたかったやつなんですけど、これ。
『斬られの仙太』新国立劇場。これも行けなかったんですよ。行きたかった。
【谷】これはね、本当は行ってほしかったですね。
【山下】行ってほしかった?
【谷】行ってほしかったし、語り合いたかった。
【山下】僕は、4月は何と2本しか観てませんから、ダメダメな人間になってますけど。これですね『斬られの仙太』。
【谷】これは新国立劇場の小劇場というところでやった舞台なんですけど。
【山下】面白そうですね。どんな話なんですか?
【谷】三好十郎さんっていう。
【山下】昔の、近代の劇作家ですね。
【谷】昔の方で、1934年に初演作品だそうです。
【山下】戦前ですね。
【谷】幕末の水戸天狗党を題材にして、農民というか百姓という言葉を使ってましたけども、百姓から剣の使い手になった仙太郎というのが阿佐ヶ谷スパイダースの伊達暁なんですよ。を中心とした群像劇。
【山下】群像劇、16名。
【谷】フルオーディションだそうです。16人が80役以上をこなして。
【山下】大変ですね。
【谷】小川絵梨子芸術監督の『人を思うちから』というシリーズの第1弾ですね。
【山下】演出は上村さんかな?
【谷】上村聡史さんです。休憩2回入って4時間20分なんですけど。たぶん三好演劇はもっと長いはず。
【山下】三好十郎の芝居は長いの多いですよね。
【谷】それで、これは各誌取り上げておりましたけれども、やっぱり会話がちょっと物足りないと書いてる人もいましたね。
【山下】それはやっぱり端折っちゃったからかな?
【谷】そうだと思いますね。
【山下】難しいね。
【谷】面白い美術で最近多いんだけど、傾斜舞台で。
【山下】わーっと奥が上がってる。
【谷】それでモノトーンなんですよ。それでちょっといろいろ仕掛けが入っていてそれを変化させて見せてく。
【山下】モノクロセット?
【谷】モノクロセットです。
【山下】人物だけカラーに見える?
【谷】そうです。
【山下】いいですね。面白いですよね。
【谷】照明が、誰がやってたか分からないけど、すっごい良い照明。
【山下】沢田祐二さん。
【谷】普通4時間20分あると睡眠タイムがどこかで出てくることもあるんですけど、これは集中力を切らせない作品でしたね。すごく伊達暁さんが格好よかったですね。
【山下】動きもよかったですか?
【谷】殺陣もすごい。
【山下】これやるんですか? バラバラっと、こうやって。
【谷】ええ、もちろん。これは多分テレビで見るとまた違うと思うんですけど、BSプレミアムでプレミアムステージというのが月1回……。
【山下】それで放送されるんですか。
【谷】毎月頭の日曜日にやるんですよ。
【山下】じゃあ録画します。そう、毎月1回BSでやりますもんね。
【谷】なんで、ぜひご覧になっていただければ。まだ発表にはなってないと思いますけど。間違いなくやると思います。
【山下】はい、ありがとうございます。
続いてロロ『いつ高シリーズ』ですね。『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』ロロ、アトリエ春風舎。ってやつですね。
『いつ高』ではないなこれは『いつ小学校』なんだ。ロロ、いつもやってるのは高校の話だもんね。
【谷】ロロはいつも『いつ高』というのが有名なんですけれども、たぶんその前身となる『いつ小』ですね。
【山下】小学校だからね。チラシどうぞ。
【谷】これもいつものロロのメンバーじゃなくて若手をオーディションして選んだみたいです。
それで三浦さんが作・演出で、だから相当、旗揚げして1年目の作品で『ボーイ・ミーツ・ガール』のルーツ的な作品なんです。
【山下】小学生の役なんですね。
【谷】小学生なんですよ。小学生と、先生がすごいぶっとんだ人だったんですけど。これはいつもそんなに長くないんですよね。『いつ高』っていつもセットの組み立てから入って。
【山下】そうなんですね。
【谷】そのスタイルではなかったですね。僕、初日に行ったんですけど、初日ですけどもよかったですね。役者さん本当に頑張ってやってたみたいで。
【山下】音楽好きの人もロロは面白いですよね。
【谷】そうですね。またロロ『いつ高』今年どこかでやるみたいですから。
【山下】『いつ高シリーズ』はなんかこう青春もので。
【谷】すごく楽しいです。
【山下】そんなに長くないし、ぜひ観てください。
続いて、この4月で僕と谷さんが唯一同じ作品を観てるんですけど、iakuの『逢いにいくの、雨だけど』三鷹市芸術文化センター星のホール。
前回来てもらった森元さんがプロデュースしたんですけど、再演ですね。
【谷】そうですね。再演作品で。
【山下】「逢いにいく」の「逢う」というのは「meets」なんだけど「生憎の雨だから」にかけてると思います。横山拓也さんです。チラシはこんなんですね。
【谷】これすごいチラシにお金かけてるんだと思います。
【山下】光沢紙がね。
【谷】コーティングされたいい紙でやってて。当日は森元さんもフェイスシールド付けて。
【山下】そうでしたね。
【谷】中真っ白になって頑張ってましたけど。
【山下】すごい傑作ですね。
【谷】これは本当にね、上手い。物語がiakuって1人、横山拓也さんという方が作・演出作品で。これメンバーも全員一緒じゃないですか?
【山下】数年前にやったやつと同キャストで。
【谷】完成度が高くて、美術もシンプルだけどすごくきれいな演出で上手く使って。
【山下】きれいですよね。野球場のスタンドみたいなセット。
【谷】過去と現代を上手く描いてる。
【山下】小学校のときと30年後くらいですよね。
【谷】そうですね、27年後ですか。
再演だから、その当時だから2018年と1991年が行き来するというかたちで。
横山さんが本当に会話劇の真骨頂ですよね。
【山下】そうですね。子供のときに美術の合宿に行く女の子と男の子がいて、女の子がガラスペンというのがあって持ってくるんだけど、それを男の子が見つけて遊んでたら「返して返して」って言って……。
【谷】不可抗力ですよね。
【山下】男の子の目にブサッとガラスペンが刺さっちゃって、その人の片目が失明すると。その女の子がその人に謝りたかったんだけど謝れないまま27年が経ってしまい、27年後に何らかのきっかけで逢うことになったと。
【谷】そうですね。だから許すとか許さないということをどういうふうに考えていくかというのを……。
【山下】許しがすごく……。
【谷】ある種考えさせられたし、両方の親がある部分でつながってたりしてそこの葛藤とか、そういうのもありましたよね。
いや、役者さん良かったですね。
【山下】良かったね、上手かったね。横山さんも良かったけど役者が進化してる。初演より圧倒的に進化してましたね。
許す許されるというのは、やっぱり自分が許さないと自分も許されないというのがあるんですけど、TV番組の「逆転人生」で、お母さんと娘がいてお母さんがエホバの証人という宗教に入っていて。
【谷】ああ、やってましたね。
【山下】娘も入ってたんだけどあるきっかけで教団の人が重婚をしたからというので、そんなんじゃダメだって。
そのときにお母さんをその子はすごく恨んだんだけど、お母さんもそこに入っていろんなことがあって大変だったなって、お母さんを許したことによって初めて自分が許された。
【谷】確か作家の人でしたよね。
【山下】作家というか、そのあと作家デビューしたんです。
【谷】そうですよね。
【山下】それと同じことがこのiakuの戯曲の中にも書かれていてそれがやっぱり素晴らしいですよね。
あれ知ってます? シェーカー教徒というのがいて『刑事ジョン・ブック 目撃者』とかに出てくる……。
【谷】アメリカの。
【山下】アメリカで電気とか使わない生活をしている、わりと原理的なキリスト教徒みたいな人たちがいるんですけど、その人たちの話で。
ある人が学校に入って学童を殺した。そいつはその後、拳銃で自殺したんだけどシェーカー教徒はそこの子供たちの親だったんだけど、そのシェーカー教徒たちが殺した犯人の親のところへ行って「あなたたちは悪くないですよ」って言いに行ったっていう本があってですね。それはすごい翻訳の本でですね。
それも許すことによって自分たちが許されることが描かれてるんじゃないかな。
それはこれとかさっきのに通底するような気がしてて。
(※「アーミッシュの赦し――なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか 」(亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
【谷】なるほどね。
【山下】これをFacebookで書いたら、弊社の映像制作事業部にいた赤坂さんっていうディレクターがいるんですけど、赤坂さんが久しぶりに芝居観て「鳥肌が立ちました」って言って「何かもっと面白いの教えてください」って。
【谷】書いてましたね。
【山下】だからまさにそういうような出会いがあるとですね、演劇によって人生が変わるという1つの例だと思いますけど。本当に横山さんすごいと思います。
【谷】横山さんは本当に会話劇が上手いですよね。他にも「ごめんね」「いいよ」って書いてある。
【山下】許しだね。
【谷】許しですよ、本当に。
【山下】だから彼も「失明したけどそれで僕は生きてるんだから」……。
【谷】なんのあれもないよっていう。すごい淡々として彼は何と言ったっけ? 尾方さん。
【山下】そう、MONOのね。
【谷】MONOの人ですね。いつもはコメディタッチの役が多いんですけど。
【山下】シンプルでいい役で。「僕の生活をこのままでいいから今の生活を普通に守りたい」と「あと僕のもう1個残っている片目を守って生きていきたい」というセリフをすごい覚えてるんです。それだけで彼女を「許してる」言葉になってるのが、本当に上手いなと思って。
ごめんなさい語り過ぎました。
【谷】とんでもないです。
【山下】では続いて、今月の1番面白かったんじゃないかと谷さんがおっしゃる『シブヤデアイマショウ』シアターコクーン、松尾スズキ芸術監督のですね。
【谷】そうですね。
【山下】これはどんなんですか?
【谷】これはチラシはなかなかなかったんですけどようやく手に入って。
【山下】サツキ何とかさんっていらっしゃるのかな? 有名な人ですね。
(※ 五月女ケイ子・そおとめけいこ:イラストレーター)
【谷】よくわかんない……。
【山下】この絵はそうです。
【谷】総合演出松尾スズキ、台本は松尾さんと天久聖一さん。
【山下】アマヒサさんって読むんだ。漫画とかも描いてるじゃないですか。
【谷】コーナー演出がなんと杉原邦生さん。
【山下】あ、本当だ、で、宮崎吐夢さん。
【谷】出演が松尾スズキさん他、大人計画の面々とのんさん。
【山下】あ、のんね。
【谷】あと秋山菜津子とか。
【山下】すごいですね。
【谷】日替わりゲストで僕が行ったときは大野拓朗さん。
【山下】あ、大野拓朗さんが出てた。
【谷】宮澤エマ、漫才の。
【山下】なんかすごい漫才いいね、僕の好きなナイツ、おいでやすこが、とかがいるじゃないですか。いいな。
【谷】大野さんは、本当は山本耕史さんだったんですよ。でも山本さんコロナに罹って、それで代役で。他にも入ってたんでそれで大野さんに代わったと。
【山下】めちゃめちゃ豪華な。これはなに、谷さん今月1番良かったのはどの辺が?
【谷】これは本当、なんて言うんだろうな……終わったときに、あんまりならないんだけど感動して涙が出ちゃった。
【山下】それはこの時期にこういったことをやってくれたの……。
【谷】いや、これをやってくれて……。
【山下】ありがとう。
【谷】こんな面白いことをきちっとやってくれて、すごい豪華なんですよ。エンターテイメントショーなんですよ、本当に。
【山下】馬鹿馬鹿しいエンターテイメントをこの時期に一生懸命やったことに対しての……。
【谷】そうそう。だけど単純な一言で言えるようなもんじゃなくって、すごく今、松尾さんがやりたいミュージカルコメディとか歌、踊り、漫才、日替わりゲストも含めて。
あと、少年役だったんですけど、のんさんが本当にね。
【山下】松坂牛之助役って書いてある。松坂牛か。
【谷】そうそう。地方でお手伝いさんをはらませちゃって東京に出てきて芸術監督の弟子になるとかいう具合で。
【山下】なるほど、松尾さんらしいね。
【谷】松尾さんらしいんだけど。のんが本当一生懸命で、ちょっと本当にマジボケもあったりして。
【山下】本人、天然らしいですね。いい意味で。
【谷】そうそう。それで本当は人の導線でどうぞどうぞってやるやつを間違った人追い出しちゃったりして、すんごい可愛かったですよ。
あとは8人編成で生バンドも。
【山下】生バンドも入った。贅沢ですね。
【谷】だから豪華で本当に笑えましたね。なんかショースタイルを松尾さんはやりたかったらしいんですよ、芝居だけじゃなくてね、これからは。
【山下】いいじゃないですか。自分が芸術監督だから自分の小屋で自由にやればいい。
【谷】そう。だから本当に彼の願いが叶った作品で、千秋楽が僕が観た日の翌々日だったんですけど、非常事態宣言出ちゃったんで。
【山下】それは中止?
【谷】中止。かわいそうですよ本当、これ見られなかった人は。
【山下】劇場の大きさが1000㎡超えてるからってことか。なるほど。
【谷】本当かわいそう。これもいい席で観られたんですごく良かったです。
【山下】谷さんはわりと初日にちゃんとチケット取られるからね。
【谷】発売初日というか先行予約で取りますね。
【山下】1番早いじゃないですか。私は、ほぼ1週間くらい前にならないと取らないので全然あれですけど。
今月はこれが1番良かったですよと。
【谷】まあ、いろいろ良し悪しあるし、今月はそういう意味ではエキサイティングだったんで、いろいろ。
【山下】12本観てるとエキサイティングだった。すごいです。
【谷】いい意味でね。『斬られの仙太』みたいな作品もあり。
【山下】そうですね。
【谷】『パークビューライフ』みたいなシンプルなんだけど……。
【山下】面白そうだね。
【谷】あとだから『セックスのすべて』これかなりエキサイティングだった。
あと『白昼夢』もね、赤堀ワールド。
【山下】赤堀雅秋さんね。
【谷】最後はもう1個あるんですね。
【山下】最後、やしゃご『てくてくと』伊藤毅さんだっけ?
【谷】伊藤毅作・演出で青年団リンクのやしゃご。
【山下】伊藤毅のは面白いですよね。やしゃごは……。
【谷】伊藤毅さん4作目かなんかで、この話は発達障害の人を雇ってる会社の話なんですよね。
藤尾勘太郎さんというのが主役というか発達障害の役なんですけど。
【山下】どういう発達障害なんですか?
【谷】なんて言ったらいいんだろうな……すごい難しいですね。真面目なんだけど突き詰めてっちゃう人で。
【山下】わりと、なるほど。俺もそういうところあるけどね。
【谷】だけど納得しないとやらないとかね。
【山下】でも、CMディレクターでもいますよ。
【谷】そう。だからね、僕最後感じたんだけど、これ誰にでもなんかしらどっかにあるんじゃないかな、と思って。
【山下】ある。いやもう僕それ全然他人事とは思えない。俺と一緒だなと思った。
【谷】だから、発達障害の人を社員として雇っているお菓子屋さんで、コグマ製菓っていう会社の工場の休憩室が舞台で。
【山下】面白そうだな。観たかったな。
【谷】これは本当観てほしかったんですよ。
辻響平君というのがいつもは、やしゃごでは結構かわいいコンビニ屋さんとか……。
【山下】かわいいコンビニ店員ね。
【谷】彼が結構スポット当たるんですけど今回は藤尾勘太郎さんという人が主役で。あと井上みなみさんという人が……。
【山下】井上みなみいいよね。
【谷】青年団の。彼女もやっぱり発達障害で。それであと新入社員で入った人が、言ってみればグレーゾーンっていう言葉があるんですけれども、発達障害の中でもいろいろ話があるみたいで。
【山下】発達障害、グレーゾーンって……。
【谷】解説のここにあるんですけどね。自閉スペクトラム症とか注意欠如多動性障害とか学習障害とか、そういうこといろいろあるようで、僕もあんまり詳しくはなかったんで。
生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害のことを発達障害というらしいですけど。いろいろ勉強になりました。
【山下】今度もし再演があったら行きたいと思います。
【谷】やしゃごさんはいつもこういったテーマをやるんですけどね。
【山下】いいですよね。社会的な話。
【谷】伊藤さんがもしかしたら何か持ってるのかもしれないけど、そこに書いてあるかな? 今回はある人のことを思いながら書いたんだけれども……。
【山下】ここには書いてないね。
【谷】結局自分のことを書きましたって。
【山下】なるほどね。いや、今の話聞いて全然他人事じゃないです。『てくてくと』というのは、てくてくと歩いていくということなのかな?
【谷】ということなんじゃないですかね。
【山下】今の時代らしくていいよね。僕たちもこれから演劇の道をてくてくと歩いて行きたいと思いますけど。
【谷】はい。
【山下】ということでもう1回パワポに戻りますけど、12本で1本中止ということで谷さんの4月を振り返ってみました。
谷さんどうですか? この4月を振り返って。
【谷】充実してました。
【山下】コロナに負けず。
【谷】やっぱり各劇場とも必死ですよ。客入れは結構一時50%くらいでやってましたし、今後はそうなっちゃうのかもしれないですけど、入り口とか途中換気休憩入れたり、すごく注意を払ってやってますんで。
こういう時代なんで強くは勧められませんけれども、配信とかもやってますし、ぜひ何か演劇、観ていただければなと思います。
【山下】そうですね。むちゃくちゃこれ演劇に興味のない人は全くニッチでなんじゃこりゃ、みたいな話だと思うんですけれども、お話聞いていて興味があるのはチェックして今度公演があるときに観に行ってみると。
【谷】そうですね。だからTwitterでも例えば“やしゃご”とかいうのでチェックして登録しておくと情報が早めに入ったりしますから。
【山下】「やしゃご」は面白いですよね。ぜひ興味のあるやつはチェックをしてみてください。
ということで谷さんの4月でした。5月は何本くらい観る予定なんですか?
【谷】5月は今のところ9本かな。
【山下】すごい。
【谷】4本中止になっちゃったんで。
【山下】そうですね、緊急事態でね。
【谷】ゴールデンウィーク全部つぶれちゃいました。
【山下】4本つぶれて9本が残ってるということですね。
【谷】ええ、ちょっと困ったことですけど。
【山下】ということで来月はまた5月の谷さんのお話をしていきたいと思いますけど。
このTFCラボ プレゼンツ BRAIN DRAINではPodcast、noteを開設しております。この谷さんと私がしゃべったものを文字起こしをしていただいてテキスト原稿を、ちょっと遅れますけどnoteに。この映像はYouTubeに。音声はPodcastを出しているSpotifyとかApple Podcastsとかをはじめとしたものに配信していくと思いますので、好きなデバイスで好きなときに聞いていただければと思います。
ということで谷さん今日はありがとうございました。
【谷】とんでもございません。
【山下】ではカメラに向かって、さようなら。
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テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)
今回もご依頼いただきまして誠にありがとうございました。
今回はたくさんの演劇のご紹介をお聞きすることができ、私も一緒にエキサイティングを感じさせていただくことができました。
このような時代の中でも、できる形を模索し、表現することをあきらめずに一生懸命活動しておられる方々がおられるということにも、積極的に生きていこうという勇気をいただきました。
次回はどのようなお話をお聞きできるのか、今から楽しみにしております。
ブラインドライターズ担当 角川より子