iakuの劇作家・演出家:横山拓也さんに創作について聞いてみた!(全4回)その4「iaku Radioについて と iakuのこれから」
iakuの劇作家・演出家:横山拓也さんに創作について聞いてみた!(全4回)その4「iaku Radioについて と iakuのこれから」
【山下】このポッドキャストって、実は東北新社が本当にコロナ禍でなにか新しいことを始めようってんで、たまたま始まったプロジェクトなんですね。
【横山】そうなんですね。
【山下】そこで、20代の女性二人が役員にプレゼンして、それで始まったんです。で、僕、その子たちに言ったんですけど、「本当に続ける気ある? ちゃんと続けるんだったら何年も続けないと」って。だいたいコロナでワーッとやってね、それでドンドン尻すぼみになっちゃう。「それ続けてやるか?」っていったら、「やります!」っていった。「じゃあやろう」といって私も覚悟して始めたんですけど、実は横山さんも「iaku Radio」始められたんですよね。
【横山】そうなんです。
【山下】これは今年から?
【横山】今年ですね。
【山下】まだ始めたばかりですが、なぜこれをやろうと思われたんですか?
【横山】お誘いいただいたんですよ、最初は。ラジオのディレクターの方でiaku見てくださってる方がいて。
【山下】なるほど。
【横山】やっぱり面白そうですし、僕も、ラジオって車でよく聞くので、なんでしょう……やってみたいっていうのが、まず第一にあって。いろんなゲストとしゃべる。その持ってきてくださった企画が「アフタートークのような」っていうキーワードがあって、なるほどと。それで、作品……自分の劇団ではあんまりアフタートークってやらないんですけど、お客さんが後で、余韻を楽しんだり、後々、たとえば何年か後にiakuを知った人が、アーカイブとして昔こんな作品やってたのを雰囲気だけでも知ってもらったりとか、再演した時に初演はどうだったかとか。
【山下】いいですよねえ。
【横山】そういう聞き方もあるし、いろいろ広がりがあって面白いなと思いましたね。
【山下】他のポッドキャスターの人たちとかと一緒にコラボしてやったりとか、っていうのは考えていらっしゃるんですか?
【横山】今のところ僕は……それはどういうことですか? 企画をもっと広げていくという意味ですか?
【山下】実はうちのポッドキャストを始めた女性、今日来られなかったんですけど、横山さんがこういうのをやってるって言ったら「コラボしてなにか一緒に音声コンテンツでなにかできないか」っていう話をしてたんですね。それはじゃあ一回横山さんに話してみようか、っていう話になって。興味があれば、うちも制作会社なので、こういうものがずっとあるので……。だからいろいろと「こういうのやってみたいんだけど」というのがあればですね。
【横山】なるほど。
【山下】一応少ないですけど、予算が出てますので、会社から。だから全然違う……バラエティーのような感じでいいからなにかやってみようかなっていうのでも。あの、全然演劇と関係なくてもいいから。
【横山】はい。ぜひぜひ相談させてください。
【山下】最初に横山さんに、これの出演のメール送ったら「やってみたい」ってすぐ言ってくれたので、こんなんに興味もってくれたんや、と思って、すごくうれしかったんですけど。
【横山】ありがとうございます。
【山下】割と子供みたいな純粋な、無邪気なところがすごくありますよね。
【横山】僕ですか(笑)。そうですかね?
【山下】素晴らしい育ち方だと思いますよ、本当に。「やってみたい!」っていうのがすぐ来たのはすごくいいなと思って。
【横山】まあまあそうですね。
【山下】横山さんの「iaku Radio」は、あれはどこかのスタジオで撮ってるんですか?
【横山】いろいろなんですよ。楽屋で撮ったりとか、稽古場で撮ったりとか。
【山下】楽屋で! へええ!
【横山】出演者に出てもらうことが多いので。つい最近上がったものは、本当に初日が明けた二日目に楽屋で出演者に来ていただいて撮ったっていう。
【山下】じゃあシアタートラムの楽屋かなにかで。
【横山】そうです。
【山下】そうなんですねえ。なるほど。あの時には、企画をしたディレクターさんが。
【横山】収録に来ていただいて、機材持ってきていただいて ていう形なんです。
【山下】なるほど。あれはけっこう12分ぐらいにまとめてますけど、あれは企画をされた方がそれくらいにしようって。
【横山】そうですね。そのぐらいが聞きやすいみたいですね、やっぱり。サイズ的に。
【山下】そうなんだあ。いや参考になります。
【谷】うち長すぎるんですよね。
【山下】そう、長すぎるとかっていっていろいろ文句が出てるってのと。
【横山】そうなんですか。
【山下】一応30分以内に終わらしてるんですけど、だいたい2時間ぐらいしゃべるので30分以内のが4話5話ぐらいになって、という感じなんです。
【横山】なるほど。
【谷】だけど意外と、noteで……文字で読むとまた面白かったりするんですよね。
【山下】ああ! 文字起こしをお願いしてて、それが上がってきて読むのがむっちゃくちゃおもろいんです!
【横山】とっても大変ですよね、文字起こしって。
【山下】文字起こしは、一応予算が出てるので。
【横山】なるほど。
【山下】ブラインドライターズさんというところがあって、そこにいつもお願いしてて。で、いつもブラインドライターズさんは文字起こししたら感想を書いてくれるんですよ。「こういうのに興味を持ちました」とかって。それも含めて載っけてます、noteに。
【横山】そうなんですね。
【山下】だから僕は最初の読者なので、すごく楽しみ。
【横山】確かに、音声で聞く良さももちろんありますけど、文字になるとまた伝わり方変わりますものね。
【山下】そうなんですよ。で、しゃべり言葉だからむっちゃ読みやすいんですよ。つじつまの合ってないところもあるんですけど、すごい読みやすいんですよね。硬質な言葉がなくて。
【谷】そうですね。
【山下】そうなんですよね。で、僕はだいたいこれでお聞きしたいことはだいたいしゃべれました。横山さんがこれからまたさらに活動を続けていかれると思うんですけど、横山さん、今後こういうのをやってみたいなとかって、いうのはなにかありますでしょうか。
【横山】それは演劇で、ですよね。
【山下】演劇とか、創作活動という意味で。
【横山】創作活動として、ですか。
【山下】だから、テレビの脚本書いてみたいとか、映画をやってみたいとかも含めて。
【谷】小説を書きたいとか。
【山下】作家としてというかクリエーターとしてと、いうような話として。
【横山】第一はやっぱ演劇の戯曲を、いい物を作っていきたい。それも、できれば年に2本ぐらいに抑えてじっくりと準備していい物を作り続けて、さっきも言ったみたいに、10年先でも上演できるようなものを残していきたいっていうのがまず大きくありまして。劇団活動としてはここ何年か、いわゆる小さい劇場から中劇場まで自分の作品が観賞に耐えうるような求心力といいますか、舞台に引き付ける力があるのかどうかっていうのを試してきた期間で、200人とか250人、300人ぐらいのキャパシティの中劇場で耐えうるかっていうのを今やっていて、そこもなんとなく自分の中で手応えを掴みつつあって。ただこれが、じゃあ800人1000人の劇場に……っていうとこを目指していくのかっていうと、ちょっとそこは自分の中でまだイメージ持てないんですけど。たくさんの人に見てもらいたいってのはやっぱりあるのはあるんですけど、ただ、適切なサイズ感みたいなものを捕まえていきたいというか。
【山下】ありますよね。
【横山】そうやって劇場もやりたいところ、目標としていたところでやれるようになってきて、なので今すごくいい感じです。ただ……そうそう、創作活動でいうと、今ちょっと小説を実は書かせてもらっていて。
【山下】あ、そうなんですか。
【横山】それが、度々自分の劇作の期間に中断するもので全然進んでないんですよ。企画も通してもらっていて出すことまで決まってるのに、僕が止めちゃって。
【谷】締め切りはないんですか?
【横山】締め切りがあるようでないんですよ。もちろんあるんですけど。逆に僕2回ぐらいエンドマーク付けたんですけど、「いや、横山さんの最初の小説でヒットさせたいから、厳しいこと言うようですけどもうちょっと粘ってください」って(一同笑)。
【山下】編集者らしいですね。
【横山】本当に有難いんですけどね。
【山下】編集者はプロデューサーでもありますから。
【横山】その小説を早く完成させたいってのはありますね。
【山下】じゃあまずその小説から。あれですか、テレビの脚本のオファーはやっぱりあったりするんですか?
【横山】具体的なものは特にないですし、過去に、まあ逆にいうとお手伝いとかはさせてもらったことはあるんですけど、もちろんそんなチャンスがあればとは思いますけど、積極的に「やらせてください」ってことでも実はなくて。
【山下】そうなんですねえ。シナリオが豊かだった時代って1950年代の日本映画なんです。あの頃はむっちゃ、リッチで。で、僕は横山さんの作品を見て、小津安二郎と野田高梧の脚本とか、成瀬巳喜男の……松竹の大船の、あの感覚をもった作家じゃないかなってすごく思って。これ僕の独断ですよ。だからいろんな異論があると思うんですけど。で、50年代ってすごく日本映画が豊かだったから、1カ月旅館に泊まりこんで。小津安二郎と野田高梧とかね。夜になるとお酒一緒に飲みながら、脚本を、シナリオを書いてたんですよね。その豊かさを、見てると感じるんですよね。
【横山】おお。有難うございます。
【山下】いや本当に。だからそういった人がもうちょっと出てこないとね、というのは、自制を込めてあって。映像業界だんだんなんかね、3K4Kの世界ってよく言われてますから、そこをもう一回戻していかないと。Netflixとかで戻れるかもしれないんですけど、東北新社的には、それはすごくやっぱり自分のことも含めて、すごい課題なんです。
【横山】なるほど。
【山下】なので、横山さんには本当にいろんなことを挑戦してほしいですが。小説が出たら、読ませていただきたいと思いますので。
【横山】ぜひお願いします。
テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)
担当:炭治郎(ペンネーム)
この度はご依頼、有難うございました。途中で思わずネットでIaku Radioの「フタマツヅキ」の話題など、文字起こし作業そっちのけで聞き入っておりました。エンタメ好きの私としては普段はアニメや映画ばかり見ているのですが、これを機に舞台の方面にも目を向けていきたいと思います。又、私たちブラインドライターズにも言及していただき、恐縮でございます。確かに文字は音声とはまた違った伝わり方をする面もあると思います。歴史ある日本の伝統芸能に、改めて多くの人に興味をもっていただけるよう、微力ながら貢献してまいりたいと存じますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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