【PODCAST書起し】CD BOX「伝説の談志五夜」が出ました! 国立劇場の音源が…。
【PODCAST書起し】CD BOX「伝説の談志五夜」が出ました!
国立劇場の音源が…。
【和田】えっとですね。今日は2022年の4月27日なんですけれども、このCDが今日発売になりまして、本当の今日、リアル今日なんですけど。これ何かっていうと、『伝説の談志五夜』っていう4枚組のCD集で、私が制作統括で作りました。で、これがどういうものかっていうとですね、1995年、27年前に国立演芸場で『談志五夜』っていう5日間連続の公演があったんです。でこれは独演会ではなくていろんな人が出て。もちろん志の輔さんも出る、談春さんも出る、鶴瓶さん、ざこばさん、浪曲の2代目春野百合子さんとかね、いろんな人が出て。それだけじゃなくて、松山恵子とか田端義夫とか。
【藤山】松山恵子。
【和田】大師匠が自分のお好きな人をずらっと並べて。「これが本来の寄席なんだよ」と本人はおっしゃって。
【藤山】寄せてるからね。
【和田】そう。寄せてるから。バラエティーなんだと。で最後に出て自分が1席やる、というのを5日間やったんです。で、その音を、これはね、ちょっと探したら国立劇場の保管庫にあったんです。
【藤山】アーカイブ。
【和田】アーカイブあったんです。はい。でそれを、もちろん許可を得て今回デジタル化しまして。でそれだけじゃなくて、国立演芸場に談志師匠が国立名人会とかそういう単発の会があるんですけど、それに出た音も入れて、談志師匠の落語は10席。
【藤山】あ、そうなんだね。
【和田】うん。それから。
【藤山】五夜、プラスアルファがあるってことね。
【和田】そうですね。10席と、その、春野百合子さんっていう方の浪花節が1席。これは談志師匠がものすごく絶賛してるんです。中でも絶賛してるからこういうもんですよって入れて。それからあと、この5日間で……つまりプログラムにないんだけど、例えばある日にね、談志師匠が「俺、今日二日酔いなんだよ」と。「昨日の打ち上げで飲みすぎちゃって二日酔いで、もうとても落語できないから」っつって、一緒に飲んだやつに詫びをさせるからって呼び込むのが中村勘三郎なんです。
【藤山】おー。
【三浦】おー。
【和田】当時の勘九郎。で、勘九郎さんが出てきて、もちろん勘九郎さんもしゃれって分かってるから、「もう本当に申し訳ございませんでした、私が飲ませまして……」みたいなこと言ってるの。それも全部入ってますから。入れました。許可得られまして。
【藤山】お宝じゃないですか。
【和田】お宝です。これが4枚組で、私が作った(一般社団法人)「ふらすこ」っていうレーベルから出しまして。それから販売は日本コロンビア。日本コロンビアがいろいろお店とかに出してくださってます。これはね、4枚で6000円、プラス税。
【藤山】すごい。ネットでも買えますよね
【和田】Amazonでも買える。
【藤山】Amazonで買える。
【和田】はい。で、なので、割り算すると1枚1500円。
【藤山】安い。
【和田】安いと思います。
【藤山】安い。
【和田】うん。で、てなことで、これが出ましたんでね。
【藤山】いくつですか、このときの談志は。
【和田】えー、50代の半ばぐらい。
【三浦】95年。
【藤山】95年。亡くなる16年前か。
【和田】うん? いやいや、もっと前よ。27年前。
【三浦】そうですね。
【藤山】亡くなる。
【和田】あ、亡くなる、そうですね。そうそう、そうです。亡くなる何年前……だから?
【藤山】16年前。
【三浦】2011年だからね。
【和田】てことは、えっと、60手前ですよ。50代の終わりごろってことですね。
【藤山】ある意味絶頂期じゃないですか。
【和田】そうですね。やっぱり体力的にも。
【藤山】体調がよかった。
【和田】よかった。うん。それでね。国立演芸場に残ってる音の中から、五夜の分は1、2、3、4、5って入れて選んだんですけど、そのほか、いくつかチョイスしたんです。それでね、やっぱり藤山さんとも話したけど、『よかちょろ』と『木乃伊取り』が両方入ってるの。
【藤山】うん。これに。
【三浦】おー。
【和田】だからつまり、このですね、若旦那がいてお母さんがいて、とんでもないお母さんがいて、自分が仕切ろうと思うけど失敗するおやじさんがいるっていうね、この図式は談志師匠は好きだったんだよね。
【藤山】好きだったんだね。うん。
【和田】うん。で、さっきも話してて発見があったけど、『よかちょろ』と『木乃伊取り』って、構造同じようなもんですよね。
【藤山】同じです。やってみると本当に似てるから。
【和田】そういうことですよね。
【藤山】せりふ1個1個がね。
【和田】それからあと『桑名船』っていう、東海道の桑名の船の中でサメに魅入られちゃって船が止まっちゃうっていう話があるんですけど。それから『二人旅』っていうのもやってて。
【藤山】ああ、『二人旅』も入ってるの?
【和田】うん。そう、ばあさんが出てくるやつなんですけど。
【三浦】そうそう。
【和田】談志さんもね、僕一つの特徴として、やっぱり旅ものがよかったと思うの。なんか移動ものが。
【藤山】ロードムービー系だな
【和田】そうなんですよ。これ面白くて。でね、こん中から1席って言うんだと、五夜の5日目にやった、つまり千秋楽にやった『黄金餅』。
【藤山】あ、そうですか。
【和田】『黄金餅』。これはすごいいい出来です。はい。てなことで、ぜひ、まあ宣伝なんですけど、でも聴いていただけたら。
【藤山】貴重ですね。
【三浦】貴重な音源を。
【藤山】Amazonで買おう。
【和田】ありがたいなあというね。はい。
【藤山】もうあれですか。売ってんですか?
【和田】今日から。
【藤山】今日からAmazonで売ってんですか?
【和田】売ってます。そう。まあAmazonでもいいし、今なかなかそのなんていうんですか、リアルなCD屋さんというのはとても減ったんで、近所にあるよってね。
【三浦】紀伊国屋の下の帝都無線とかで買えますか?
【和田】帝都無線は絶対あります。
【藤山】CDをパソコンに落として、それで、まあ最終的にこれに落としてここで聴くっていう人なんですよ。
【和田】はいはい。いやそうですよね。うん。
【藤山】うん。
【三浦】ね。
【和田】それからこの冊子がね。28ページの冊子を作りまして、そこにまあ五夜の写真とか、あと、国立劇場に主催公演で出た全リストってのを載せました。
【藤山】それいいですね。
【和田】全リスト。
【藤山】それはすごい。
【三浦】貴重な資料ですよね。
【和田】うん。そんなものも載っておりますんで、まあ一応コレクターズ版ですよね。あの……そう、藤山さんもおっしゃったようにね、今って結局音楽でも落語のCDでも本当に聴くときって版じゃなくてデータで聴くわけじゃないですか。うん。データを入れて聴くわけじゃないですか。だけど、じゃあなんでこれがあるかっていうと、この物体として置いときたいっていう魅力が……。
【三浦】いや、それはあります。
【和田】なきゃいけないわけでしょ。
【三浦】持ってたいです。
【和田】持ってたいものがなきゃいけないわけですよ。だから、そのために冊子なんかもちょっと一生懸命作りましたんで、中の。
【三浦】所有願望はすごくあるんで
【藤山】いやあ、本当今はなんでもね。なんでもかんでもストリーミングでなんでも流れてきちゃうからね。
【和田】そうですね。
【藤山】これがいいのかどうか。
【三浦】寂しいっすよ。
【藤山】ありがたみがないよ。
【三浦】ほんとそうっすよ。
【和田】この、高田文夫さんが推薦の帯を書いてくださいまして。「談志は言った。『これだけは世に出すな』と」。
【藤山】本当なのかなあ。
【全員】ははは。
【三浦】面白いです。
【藤山】本当なのか、高田さん。
【和田】そう、でもこれは僕は高田さんにも話したのは、これ僕五夜っていう、これまで談志ファンが伝説のように語ってきたのを今回CDにして出したわけじゃない。だから、ある意味で伝説を破壊してしまったんです。
【三浦】ああ、出た時点で伝説でなくなったから。
【藤山】そうだね。
【和田】そう。だって出たら、聴けばどういう、なにやってたか分かっちゃうわけ、クリアにね。
【三浦】もう聴いた人だけの特権なくなっちゃうよね。
【藤山】ものじゃなくなっちゃう。
【和田】昨日まではそうだったんです。
【藤山】これがやっぱりそのね、メディアというものの……。
【和田】そうです。
【三浦】でも聴いた人も喜びますよね。
【藤山】そりゃまあ、僕たちは喜びますよ。
【三浦】いやいや、あの、実際行ってた人。
【和田】と思いますけどね。でも、それはコインの裏表です。
【藤山】そりゃそう。
【三浦】「俺しか聴いてなかったのに」みたいな
【藤山】「うちの奥さんきれいだぞ」とかね。
【和田】そうそうそう。
【藤山】言いたい人と、隠しときたい人と。
【和田】あとどっかでさ、旅先で会った女性に、リアルに1年後に会ったら「こんな人だっけ?」っていうのもありますからね。
【藤山】あるね、あるね。
【和田】でもそれも含めてね、今それが現代だっちゅうことで、一応、そういう意味が込められております。
【三浦】私も、絶対購入します。
【和田】はい、どうも。
【藤山】これでもう2つは売れましたね。
【三浦】2つは。
【和田】ありがとうございます。
transcribed by ブラインドライターズ<http://blindwriters.co.jp/>
---- 担当: 藤井 弘毅 ----
ご依頼、ありがとうございました。私は、昔よく落語を楽しんでおりました。現在は少々離れてしまいましたが、このお仕事を機に、また落語を聴きたいと感じております。