松任谷由実「Happy Birthday to You ~ ヴィーナスの誕生」
今日の曲は、松任谷由実の「Happy Birthday to You ~ ヴィーナスの誕生」。
作詞・作曲は松任谷由実。編曲は松任谷正隆。
松任谷由実は、1985年以降の「バブル景気」時代人気の高かったスキーを題材にした映画『私をスキーに連れてって』(1987年)の主題歌と挿入曲を担当し、「若者のカリスマ」、「恋愛の教祖」などと呼ばれた。
当時比較されがちであった、中流以下の地方の若者に人気のあった中島みゆきの作風とは一線を画し、「中流以上の育ちじゃないとわからない世界観」、「中産階級の手に届く夢」(当時の音楽ライターによる表現)を歌って、90%以上の日本人が「自分を中流と思っている」という、一億総中流かつ上昇志向のバブル時代に沸く時代の波に乗った。
1990年代に入ると精神世界や民族音楽にも着目し、「満月のフォーチュン」「DAWN PURPLE」「真夏の夜の夢」「春よ、来い」「輪舞曲」などを作曲する。1993年、TBS系列ドラマ『誰にも言えない』主題歌となった「真夏の夜の夢」はシングル初のミリオンセラーとなり、翌1994年発売の「Hello, my friend」「春よ、来い」も続けてミリオンセラーを記録、同年末発売のアルバム『THE DANCING SUN』はオリジナルアルバムとして自己最高の217万枚を売り上げるなど、第三次ブームと呼べる年となった。
今回の曲「Happy Birthday to You ~ ヴィーナスの誕生」は、1991年11月22日に東芝EMIからリリースされた松任谷由実の23枚目のオリジナルアルバム『DAWN PURPLE』に収録されている。
アルバムタイトルにもある「PURPLE」とは、「人間が初めに見る色」を意味している。胎児が出産時に感じると言う「紫」の色や、夜明け前の空の「紫」の色等、色々な「初めてみる色」の意味が含まれている。
このタイトルを思いついたきっかけは、1991年6月7日のピナトゥボ山大噴火であった。大量の火山灰が成層圏に吹き上げられ、地球規模の異常気象が生じ、関東平野でも深暗紫色に染まった幻想的な夜明けが観測された。この夜明けにインスピレーションを受けて「DAWN PURPLE」というタイトルを思いついたとのことである。
アルバムのテーマは「セカンドバースデイ」。
ジャケットの写真では本人がシンクロエナジャイザーを着用している。
CD・CTの初回盤はジャケットを上から見て、ユーミンの目に当たる部分が円で、後は四角形が並んでいる透明のプラスチックの板が装入されていた。このジャケットについて、ユーミン本人曰く「パーマンと言われます。」とのこと。
本曲は、1987年に小林麻美に提供した「遠くからHAPPY BIRTHDAY」が原曲である。間奏の男声コーラスは久保田利伸が担当した。1992年にNHKアルベールビル冬季オリンピック中継のテーマソングとして使用された。
風のように爽やかなサウンドやおもしろい音、ホーンズによるメリハリのついた楽曲が、聞けば聞くほど心躍らせてくれる。
今日の写真は、アルバム『DAWN PURPLE』のジャケット。
確かにパーマンっぽい。
パーマンって知ってる?
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