見出し画像

ゲーム開発者のモチベーションを引き出す11のテクニックを紹介

「ゲーム制作者の多くは、やる気のコントロールに苦労している」

今回の記事ではゲーム開発者のためのモチベーション維持についてまとめていこうと思います。11のテクニックと銘打ったものの、あとから補足や記事紹介を付け足していったので数量オーバーしている気もします。五人そろって四天王みたいな感じでよろしくお願いします。

※この記事の内容はYouTubeに投稿した「ゲーム脳電波局#17 ゲーム開発者のモチベーションを引き出す11のテクニックを紹介」の内容を補足・要約したものとなっております。動画は下記リンクからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=H8phl5-qhEQ

画像1

https://twitter.com/brainchain_game/status/1283700850787930114
以前にツイッターのほうでアンケートを取ったところ、多くのゲーム開発者の方がやる気コントロールで苦労しているということが分かりました。
そのほか
・やりたくない作業が多い
・やる気と時間
・DL数が伸びない
・デバッグがだるい
・メンバー確保が難しい
・公開後に叩かれた
などなど経験者は語るといった感じのコメントもたくさんいただきました。反響ありがとうございます。ゲーム制作は総合格闘技とは言ったもので、頭のなかで傑作をこしらえれば、それが勝手にゲームになるわけではありません。制作作業は多岐にわたりますし、デバッグも細部までこだわり始めると大変ですよね。気持ちは分かります。しかしそうは言っても最終的に作品を完成に導くのはあなたの魂を震わす情熱=モチベーションにほかなりません。

さて、結果が分かってお終いというのもなんですから、ここから更に一歩踏み込んで票数の多かったテーマについて色々語ってみようというものが今回の趣旨になります。それらがみなさんの今後の創作活動の糧になれば幸いです。

今回のテーマは最多得票となった「やる気のコントロール」について。
とはいえ、モチベーションと一概に言っても様々な理由があるかと思います。例えば人間うまくいっているときは楽しいし、失敗していると辛くなってやる気も下がりがち。あるいは単純に仕事で疲れていることが原因だったりして創作活動に手が付かなくなることも。

上記を踏まえて、いくつかの異なる切り口からモチベーションについて考えていきたいと思います。
(1)原因追及:いままで何で失敗したか
(2)プロの知見:ゲーム制作のモチベコントロール術の記事紹介
(3)個人の知見:各々の秘伝のモチベ術を紹介

という流れで計11のテクニックを紹介していきます。

(1)原因追及:いままで何で失敗したか

表面的な話をしてもなんですから、血の通った失敗談を紹介していきましょう。失敗談自体はネットで様々記事として公開されていたりもしますので、以下はそのサンプルのひとつとして反面教師にしていただければ我々も報われるというものです。

画像4

ゲーム制作サークルBrainChainでは
・胡麻:シナリオ、ディレクション担当
・村田:開発担当
という立ち位置で開発を行っております。

胡麻談
・長編シナリオの執筆でしくじる。
・とにかく時間がかかるのでモチベーションの維持が難しい。
・しかも読み返すと面白くない。

村田談
・開発の見積もりでしくじる。
・実装に落とし込む段階で、実は難しい実装であることが分かる。
・進捗が遅れると共有しづらくなりモチベーションが落ちる。

長編シナリオ執筆では、
・単純に執筆する文章量が多い
・作品中の多数登場するキャラクターや膨大な設定の管理
・執筆が進むにつれて設定が煮詰まり初期の文章にリテイクがかかる
などのポイントで時間が取られがちになり、ゴールが見えないまま作業を続けた結果としてモチベーションが下がるケースが体感としてありました。

一方の開発では、デザイン段階では問題なさそうな画面実装が実はクセ者だったというパターンがあり、作業が進まなくなりモチベーションに差し障るケースがありました。

またチーム制作においては、ひとりのモチベーション低下が全体のモチベーション低下にも影響するというところで難しさを感じています。
総じて、ゴールが見えないまま作業を続けるという行いはゲーム制作においてモチベーションに悪影響を与えがちという知見になります。

ラジオ収録後に見つけた、SmokingWOLF氏(ウルフエディタ、片道勇者などの開発者)の「ゲームを完成させる作り方」というブログ記事がこのあたりにも言及されていました。
開発初期=モチベーションがあるうちに最低限のコア要素に絞って制作を完了させることで、モチベーションを維持しつつ作品を完成にもっていく方法の紹介となっています。実践的な内容のコツとしてまとめられていて面白いので、ぜひご一読を。

画像2

(引用:【ゲームを完成させる作り方】- シルバーセカンド開発日誌)https://smokingwolf.blog.fc2.com/blog-entry-569.html

(2)プロの知見:ゲーム制作のモチベコントロール術の記事紹介

続いてモチベコントロール術の記事について紹介です。

【ACADEMY】燃え尽きないようにするには
https://jp.gamesindustry.biz/article/2007/20071501/

今回紹介する記事の提供元はGamesIndustry.biz Japan Edition(ゲームズインダストリー日本版)というサイトで、ゲーム業界で働く人やゲーム業界を目指す人のための情報サイトとなっております。

記事はデジタルカンファレンスでのSos Sosowski氏(自らをMad scientist of video games.と称するお茶目なインディーズゲーム開発者の御仁)の講演から抜粋したもの。Sosowski氏が講演中に提示したバーンアウト(燃え尽き)の定義は「健康を損なったり、過労で完全に疲弊したりすること」とのこと。彼は、燃え尽きの原因は過労でしかないことを強調しております。

彼は過労=仕事に追われているかどうかを確認するために、人々が常に自問自答すべき3つの質問を提示しております。
・趣味は何か?
・友達とはどのくらいの頻度で遊びに行くか?
・最後に1週間以上の休暇に行ったのはいつか?

つまりクリエイターは「仕事(=ゲーム制作)のために好きなことと、仕事以外の生活のために好きなことを切り離す」必要があり「たとえ仕事が好きだとしても、仕事以外のことをする必要がある」という事です。

ぶっ続けで作業をしてもいいものは出来ず、適宜ゲーム制作とは異なる方向のインプットやアウトプット、あるいは肉体的リソースの回復に努めようという視点です。モチベーション管理というとメンタル的な対処法を考えがちですが、氏はそこから一歩引いて人間の肉体がどうしたら効率よくゲーム制作に向かえるか物理的な限界から逆算しているように思えます。なるほど、これは目からうろこ。

画像3

さて、ここからは肝心の燃え尽き症候群を回避するための「チートコード」についての紹介です。ここではあらましとして紹介しますので、もし気になるトピックがあれば詳しい解説は直接記事を参照してください。
チート1:仕事を労働時間内に制限する
・1日9時間以上働くべきではない
・十分な睡眠をとることも重要
チート2:週末は神聖なもの
・「週末は仕事をしません」とSosowksi氏は語る。
チート3:ワークアウト・毎日運動するようにしよう。
・週に最低3回は運動するようにしよう。
・決して月曜日をスキップしないでほしい。
チート4:経験を積む
・「冒険をしたり、外に出たり、何かクレイジーなことをしたり」して人生のさまざまな経験を積むことを奨励している。
チート5:五感を働かせる
・外に出て自然からいろいろ刺激を受けよう。
チート6:視野を広げる
・映画や演劇やライブ音楽などからリアルな刺激を受けよう。
チート7:自然の中で過ごす
・2週間に一度は1日近く自然の中で過ごすことを提案。
チート8:他の人に会う
・皆さんの中には社交が苦手な人が居ることも承知の上で、友達と定期的にあって社交をしよう。
チート9:クエストのインベントリを準備する
・仕事から離れたいときにすぐに使えるバックパックを氏は「クエストのインベントリ」と呼んでいる。

どうでしょう、あなたの期待していた「チートコード」とは異なりましたか? 王道っぽい対処法はググれば星の数ほど出てくると思ったので、今回はちょっと違う視点の記事を紹介してみました。締めとして氏の総括したコメントをどうぞ。
「家事をしたり、洗濯物を洗ったり、そんなことも必要なので、これだけやっておけばいいというものではないことを覚えておいてください。しかし、これはやってみることが重要であり、ワークライフバランスについてなのです。それを知るだけではなく、追求することが大事です」

(3)個人の知見:各々の秘伝のモチベ術を紹介

最後に、我々の持っているとっておきのモチベコントロール術を紹介していこうかと思います。

画像5
胡麻メソッド
・作業環境を変えてみよう。
・単純に自分が作業する場所だけでなく、テキストエディタなど作業に使うツールも変えてみる。
・同じテキストデータでも環境が変われば見方も変わってくる。

村田メソッド
・作業進捗を事細かに記録してみよう。
・1日を1時間ごとに区切って、エクセルシートに作業内容と作業効率(その1時間でどれだけ集中して取り組めたかを0%から100%で記載)を記録。
・1か月ほどデータを溜めると、あなたが集中できる時間帯(作業効率の高い時間帯)が見えてくる。あとは進捗が可視化されて楽しくなる。
・作業しようか迷ったときに集中できない時間帯だったら諦めて休む、集中できる時間帯だったらもうちょっとだけ作業を続ける。など、あなたのリズムに合わせて効率的な作業ができるようになる。

今回は「やる気のコントロール」について3つの切り口で語ってみました。
(1)原因追及:いままで何で失敗したか
(2)プロの知見:ゲーム制作のモチベコントロール術の記事紹介
(3)個人の知見:各々の秘伝のモチベ術を紹介


もし皆さんにもとっておきの技があれば、ぜひツイッターやコメントなどに書いていってください。今回の記事、ラジオトークの反響が多ければ、また別のテーマやアンケートの内容でも語っていきたいなと思っています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。引き続き、ゲーム制作サークルBrainChainならびにRatParkをよろしくお願いいたします。


いいなと思ったら応援しよう!