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第6話「装備くんは・・・」

時はアグライア歴  1865年
7月3日(火)

(午前9時45分)

ハルは自分の家に戻り、荷物を置いた

ハル「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ、帰ってきたぁぁぁぁぁああ」

ハルは大事そうに依頼書『済』を部屋の棚の上に飾り

鉄の鎧を脱ぎ部屋の真ん中で大の字になって
ハル「生きてるって、それだけで幸せだなぁ〜〜」

ハルはそのまま寝てしまった。。。


(午前11時)


ハル「・・・・あっ・・・寝ちゃってたのか」

ハルは上半身を起こして両手を広げて気持ちよくのびをした
ハル「あ〜〜〜♪少し寝れただけでこんなに気持ちいいとは、疲れてたんだなぁ」

ハル「それに、安心ってすごいなぁ〜。自分の部屋ってだけでフゥ〜っと気持ちよく寝ちゃった。当たり前のことこそ感謝しなきゃだよなぁ。それに気づいたオレはちゃんと成長してる♪よしっ」

グゥゥゥゥ〜
ググゥゥゥゥ〜

ハル「お腹もすいたなぁぁぁぁぁぁあ」

ハル「ちょっと早いけど今日の定食食べに行くかぁぁぁ」

ハル行きつけのお店「サキばあちゃん定食屋」に向かった
少しお昼より早かったおかげですぐに席につくことができたハルは、いつもの50ゴールドの日替わり定食を注文した

数分して・・・

今日はサキばあちゃんが定食を持って来てくれた
川魚の煮付け・厚まき卵・ご飯・味噌汁・新鮮サラダだ

サキばあちゃん「いつもありがとねぇ〜」

ハル「こんにちわ、サキばあちゃん」

ハル「サキばあちゃんの料理は最高に美味しいからねっ」

サキばあちゃん「いつも嬉しいこと言ってくれるねぇ〜」

ハル「今日も美味しそうだ、でもまた魚って珍しいね」

サキばあちゃん「??」

ハル「いただきま〜す」

サキばあちゃん「ゆっくりたべや〜」

ハル「はぁい」

ハルはサキばあちゃんの美味しい定食を味わいながら残さず食べた


ハル「あぁ〜美味しかったぁぁ」

ハル「ごちそうさまぁぁ♪」

サキばあちゃん「また待ってるよ~ありがとう〜」

ハル「はぁい♪」


ハルはそのままお気に入りの噴水で仰向けになって空を眺めながら

ハル「あぁ〜オレ生きてるぅぅぅ。またここにこれてよかったぁぁぁ。ここにいれるって本当に幸せだよなぁ〜」

ハル「そして、メディアスのチカラを借りちゃったから『自分で一往復』って立派な感じじゃなかったけど、どうにか『一往復』はできた♪」

ハル「あの時、メディアスが来なかったらオレは今頃・・・」

ハル「・・・」

ハル「あっ悪いことより良いこと考えなきゃだった。トレス、マリス、リトラバード、ピピン、本当にありがとう」

ハルはセイラの碑石を眺めながら
ハル「セイラちゃん、ただいま♪今回はギリギリだったけど、ちゃんと帰ってこれたよ」

ハルは噴水の流れる水を眺めながら
ハル「水の清らかな音と動き、太陽の光を浴びて輝く水は、空と同じくらい素敵だぁ〜」

レベット「おっいたいた!やっぱりここか!」

ハルはすぐに立ち上がって
ハル「あっ、レベットさん、モルモさん」

レベット「メクリから聞いたよ!」

モルモ「ハル、あんなに本当にいいのか?」

ハル「あっ報酬ね、うん。レベットさんとモルモさんが馬車をだしてくれなかったら、オレ今頃ここにいなかったし、本当にありがとうございました」

ハルは深くお辞儀をした

レベット「頭上げてくれ。メクリからハルの気持ちは聞いたが、あんなにもらっちゃ、なんか逆に悪いわ」

モルモ「ホントそれよ・・・」

ハル「いやいや、今オレが出来る感謝の気持ちですから受け取って下さい」

レベット「そうか・・・」

モルモ「ならさ、次からは変な気を使ったり感謝がどうのとか難しいことは無しな」

レベット「そうだぜ、お互い助け合うなんて、この街じゃ当たり前のことだからさ」

ハル「うん、そうですね。わかりました。だから今回だけは♪」

レベット「わかった、ありがとう♪」

モルモ「うんうん」

ハル「そういえばもう早番おわったんですか?」

レベット、モルモ「?」

レベット「今日は遅番だが?」

モルモ「うん、遅番だ」

ハル「あれ?今朝、北門にいたじゃないですか?」

レベット「いや・・・今朝は布団の中だが(笑)」

モルモ「オレも・・・」

ハル「あれ?」

ハル「あれれれ?」

レベット「ハル・・・大丈夫か?」

ハル「・・・ん・・・んんん!?」

ハル「もっもしかして、1日経ってます?」

レベット、モルモ「えっっっ(笑)」

ハル「今朝、オレ帰ってきましたよね?」

レベット「いや、ハルが帰ってきたのは昨日の朝だが・・・」

ハル「えぇぇぇぇ!丸一日寝たかも!!」

レベット「なっ(笑)」

モルモ「ぶはっ(笑)」

ハル「だからか!サキばあちゃん定食屋で日替わり定食は毎日肉魚肉魚って交互のはずなのに2日連続で魚だったから変だなと思ったんだ(笑)」

レベット「昨日、行ったが酢肉だったぞ!(笑)」

ハル「丸一日寝ましたね、これ(笑)」

モルモ「すごいわ!(笑)」

レベット「そんだけ疲れてたんだな(笑)」

ハル「・・・らしいです(笑)」

モルモ「まぁ、みんなと日にちが合ってよかった(笑)」

ハル「助かりました(笑)」

レベット「アハハハハ(笑)」

レベット「なにしろハル、ありがとうな」

モルモ「ハル、ありがとう」

ハル「はい、ありがとうございました」

レベット「じゃまたなっ」

モルモ「またっ」

ハル「はい、またぁ」

レベットとモルモは去り、その背中に向かってハルは深くお辞儀をした



そしてハルはまた、気に入りの噴水で仰向けになって空を眺めながら、1人でクスクス笑っていた

ハル「マジかすげぇなオレ、丸一日寝たんだ・・・(笑)」


7月4日(水)

(午前11時)


ハル「あっ!今回の冒険でお世話になった装備を磨きにいかなきゃ!」

ハルは部屋に戻り装備一式を持って、西門でセイラ街住民証明カードを門番に見せ、街から10分ほどの西のセイラ川に向かった

街の西にあるセイラ川は幅が15mで、その上には幅5mのしっかりとした橋がかけられていて、ホカ車も通れるように設計されている


《ホカ車》
ホカがひっぱり荷物を運ぶ車


【ホカ】
生息場所は全般。顔に愛嬌(あいきょう)がある動物。性格はこちらが刺激を与えなければおとなしい。4本足で走り、とても速く力も強い。ホカ車をひいたり、冒険者が遠くに移動する場合はホカに乗って移動するのが一般的。野生のホカは水を飲みにくるために川周辺でよく群れで目撃される


ハルは橋の近く南側で小さな岩に腰掛け、鉄の剣・鉄の盾・鉄の鎧・鉄の靴を川の水を使って洗いはじめた


●過去

ハル 10歳
トレス 24歳


ハルの修行
ハル「ハァハァハァハァハァハァ」

バタッ!

トレス「よしっ飯にするぞ、よくがんばったな!」

ハル「うん、ありがとうございました♪」

トレスは去っていった

ハル「あれ・・・」


夕飯も済ませ・・・トレスがお風呂に入っているとハルもお風呂に入ってきた

ハル「トレスぅぅぅぅ」

トレス「なんだ?」

ハル「なんで今日は点数を言ってくれないの?」

ハル「オレは100点で終わりたいんだ!」

トレス「あぁぁぁ」

ハル「ねぇねぇ、今日は何点だったの?」

トレス「99点!」

ハル「えっっ、あんなにがんばったのにぃ?何が1点ダメだったの?ねぇねぇ、教えてよぉ」

トレス「今日からは、さらに厳しくなったからなぁ・・(笑)」

ハル「だからなに?ねぇねぇ」

トレス「ハル・・・練習用の木の剣を持ってきてみな」

ハル「うん」

ハルは練習用の木の剣を持ってきた
ハル「持ってきたよ」

トレス「おお、キレイにしてるなぁぁ」

ハル「うん、トレスの気持ちもいっぱい入ってるからね」

トレス「あ〜この前のことな(笑)」

ハル「うんうん♪」

トレス「じゃ、今日ハルにあげた、練習用の木の盾、木の胸当て、木のすね当てを持ってきてみな」

ハル「うん♪大丈夫!ちゃんと拭いてしまってあるよ!うひひっ、すぐ持ってくる」

ハルは練習用の木の盾、木の胸当て、木のすね当てをすぐに持ってきた

ハル「ほらっ、ちらかってないし、キレイにしてあるよ!『自分で1往復』ちゃんとできてるからね!」

トレス「ほぉ、えらいなぁ」

ハル「でしょ!」

トレス「でもな・・・手を見てみな」

ハル「あっまだ、少し土で汚れてる・・・」

トレス「剣はキレイにしてるだろうけど、他はまだまだかなぁって思ったよ。これだけの数の装備だとそれなりに時間もかかるしな。それを明日見てみてから今日の点数をと思ってたんだ。いやぁぁ〜おしいなぁ〜」

ハル「新しくトレスにもらった装備が少し汚れてるから1点たりないんだね!今から洗う!」

トレス「そうだな。防水加工してあるから水洗いしても大丈夫だぞ」

ハル「うん♪お湯ちょうだい!」

トレス「おっおっおい!まて!汚い手で、湯船にお手を入れ・・・ちゃった・・・」

ハル「うひひひっ」

トレス「・・・まったく(笑)」

ゴシゴシゴシゴシ

ハル「石鹸もつけて」

ゴシゴシゴシゴシ

トレス「おっおっおいっっっ!」

ハル「うひひひひっ」

トレス「はぁぁぁ↓石鹸が土だらけ・・・」

トレス「ハル、なんで装備をキレイにしなきゃならないと思う?」

ハル「この前教わったもんね!装備は大切なもの!自分を守る、味方も守る!ほらキレイになったよ!」

ハルは練習用の木の盾、木の胸当て、木のすね当てをトレスに見せた

トレス「そうだな。99.5点」

ハル「えっ!残りの0.5点は?」

トレス「装備はな自分が傷ついてもでもハルを守ってくれてる。その気持ちに気づいてあげれてるか?」

ハル「自分が傷ついてでも?装備の気持ち?」

トレス「そう。よく装備を見てみろ。傷ついてないか?」

ハルは胸当てを見つめながら
ハル「あっ、ここに傷がある・・・」

トレス「そうだな・・・」

ハルは木のすね当てを見つめながら
ハル「トレス・・・ここ凹んでる・・・」

トレス「そうだな。ハルを守ってくれたからこそ、ついた傷だな」

ハル「守ってくれたから・・・かわいそう・・・」

トレス「そうだな、かわいそうだな。でもな、装備は傷ついても痛いなんて言わないんだ。そんなことより、ハルを守れたことが嬉しいんだ」

ハル「!!」

ハル「装備くん・・・凄いね。装備くんって『仲間』だね・・・たくさん感謝しなきゃだね!!」

トレスは心でつぶやいた
トレス「装備くん・・・仲間・・・たくさん感謝・・・か」
トレス「100点!!」

ハル「やったぁぁぁぁぁぁあああ!!」

トレス「装備が、ちゃんと仲間に見えて、感謝までできたら100点だ」

ハルはキレイになった装備をほっぺにスリスリしている
ハル「ありがとう♪」

トレス「ハルは・・・やっぱり凄いな、その気持ち」

ハル「装備くんは仲間、感謝の気持ちが大切♪」

トレスは微笑んでいる

ハル「トレス、ありがとう♪装備くんを干してくるね!」

トレス「はいよ♪」

トレスは大きな声でハルを引き止める
トレス「って、まったぁぁぁぁぁあ!」

ハル「おっとっと、なになに?」

トレス「石鹸・・・w」

ハルが石鹸を見ると、土だらけだった・・・

ハル「あっ、仲間を洗った仲間が!」

トレス「アハハッ、そうだな(笑)」

ハルは石鹸の土を洗い流すと、大切そうに装備を持ってお風呂場から出ていった

トレス「あと1点が99点より大切な場合もある」・・・かもしれんな


●(現在)


ハル「装備くんいつもありがとうな♪」

ハルは川の水で洗い終わって濡れた装備を丁寧に布で水分を拭き取り、地面に並べ太陽の光で乾かしていた

ハルは川を眺めながら
ハル「川の流れも素敵だなぁ〜♪」


(午後2時30分)

ハルはセイラの街に戻り、西門で門番にセイラ街住民証明カードを見せて街に入った
そして、自分の部屋に部屋に装備を置くと、再びお気に入りの噴水へと向かった

ハルはお気に入りの噴水に腰かけ噴水の清らかな水を眺めている

ハル「この水はこの後どこへ行くんだろ・・・」

ハル「食事に使われるのかな・・・」

ハル「お魚さんのために川に戻るのかな・・・」

ハル「いつも水を飲ませてくれてありがとうなぁ・・・」

ハル「キレイな水だなぁぁ・・・」

ハル「あっ、そうだよ!!この水、町の水どこにいってるんだよ!」


ピピン「ハル・・・ハル・・・ハルったらぁぁぁぁぁあ!」

ハル「あっピピン!」

ピピン「みごとに、毎回ブツブツいってるわねぇぇ〜」

ハル「アハハ・・・」

ピピン「今朝はみんなで街に帰ってこれてホントよかったよねぇ〜」

ハル「えっ・・・?」

ピピン「今朝のカシェーミさんの報酬にはビックリしちゃったわよ〜ホント、ハルありがとうねっ♪」

ハル「えっえぇぇぇぇえ!?」

ピピン「どしたの?」

ハル「あれ?ちょっとまってな・・・!」

ピピン「ハル?」

ハル「ちょちょっと待って、ピピン・・・まずい、おかしくなった!!」

ピピン「なにが?」


ハルは、今までのことを整理している

ハル「あれ?あれ・・・?あれれ・・・」

ハルは腕を組んで本気で悩みだした
ハル「・・・あれは・・・これで・・・それから・・・」

ピピン「冗談よ!(笑)」

ハル「えっ?」

ピピン「ホントだったんだ(笑)」

ハル「え?」

ピピン「さっきさ、レベットさんとモルモさんに会って、ハルが丸一日寝てたの気づいてなかったって聞いたからさ(笑)」

ハル「ピピン・・・ほんとマジでやめて(笑)今日がいつだか、またわからなくなりそうだったよ・・・」

ピピン「あはは、ハルらしいわ(笑)というか・・・丸一日も普通寝れる?」

ハル「寝ましたが、なにか?(笑)」

ピピン「あははは♪」

ピピン「あっそうだ!なにか気づかない?」

ハル「・・・!?まさか、またオレのゴールドを!」

ハルは急いでキンチャク袋の中のゴールドを数えた

ピピン「ちがうわよ、失礼ねっ!(笑)」

ピピンがハルの前で一回転した

ハルは心の中でつぶやいた
ハル「でたっ!わたしを見てぇぇぇ♪の一回転がきたっっ・・・こういう時の女性はどこかに変化があるやつだ!・・・ヤバイ難関きたぞ(笑)まったくわからない・・・。でも言わないと・・・よしっ!困った時は大体これ言っとけば当たるはず!!」

ハル「可愛い髪型になったなぁ〜♪」

ピピン「昨日と同じよ・・・ハル最低〜」

ハルは心の中でつぶやいた
ハル「ヤバイッ!はずした・・・!次に当たればまだ取り返せる!こうなったら・・・」

ハル「その靴、いいじゃないかぁぁぁ♪」

ピピン「ハル・・・最低〜〜〜ホント女心がわかってないわねぇ〜」

ハル「すっ、すいません・・・↓」

ピピン「もぅぅぅ・・・これよこれ!」

ピピンは腰の後ろにさしている短剣を指先さした
そこには花柄のキレイな鞘(さや)の短剣があった


《鞘(さや)》
刀類の刀身の部分を入れて保護するためのおおい


ハル「あらっ!新しい短剣じゃないか。凄いキレイな花柄だね!ピピンにぴったりだわ」

ハルは心から本当にそう思った

ピピン「でしょょょょょょょょ♪」

ハル「もっとよく見せて!持ってもいい?」

ピピン「いいけど落とさないでよぉ」

ハル「わかった」

ピピンは短剣をハルに手渡した

ハル「キレイなもんだなぁぁぁ、しかも柄頭(つかがしら)についているこの黄色の宝石もキレイだね!」


《柄頭(つかがしら)》
持ち手の先端部分についている金具など


ピピン「あら、ハルには珍しくお目が高い(笑)」

ハル「抜いて見ていい?」

ピピン「あっ!いいんだけど、危ないから絶対に刃には触らないでね、絶対よ」

ハル「ピピン・・・オレも剣をあつかってるんだからそれくらいわかってるよ・・・」

ピピン「うん」

ハルはゆっくり短剣を抜いた

ハル「えっ!!なにこれ?」

ピピン「はじめて見たでしょょょょょ?」

ハル「なんていうか、色はないんだけど・・・刃全体のまわりが少し揺らいで見えるような・・・」

ピピン「その通り、凄いでしょょょ!」

ハル「なんなんだこの揺らぎは・・・」

ハルはいろいろな角度から眺めてみた
やはり、刃全体のまわりがうっすら揺らいでいる

ハル「熱いのか?」

ピピン「熱くはないよ。その揺らぎの秘密はねぇ〜、黄色の宝石にあるの」

ハル「ほぉ〜」

ピピン「その黄色の宝石はナセラダイドっていう珍しい宝石で、魔法を閉じ込めることができるらしいの」

ハル「へぇ〜〜」

ピピン「雷属性のティトールの魔法が込められているんだって」



ピピンは『ティトールの短剣』をてにいれていた!



ハル「すごいなぁぁぁ・・・あっ・・・ごりゃ・・・ずごい・・・なんど・・・いいまずが・・・がらだがじびれる・・・どいいまずが・・・」

(凄いなぁ〜あっ・・・こりゃ凄い、なんといいますか、体がしびれるといいますか)


ピピン「えっ!ハルッ!?」

ハル「はぁぁ・・・いぃ・・・」

ピピンはあわてて、短剣をハルから取り上げた

ピピン「なにしてるのよっ!危ないって言ってるのになんで触るのよ!!」

バシッ!

ピピンはハルの頭を軽くひっぱだいた

ハル「ぎれるぼうの・・・やいばでばなぐ・・・ぎれないぼうをうでにがるぐづけだだだげでぇ・・・」

(切れるほうの刃ではなく、切れない方を腕に軽くつけただけで)

ハル「ぎれるぼうのやいばにば・・・ざわっでない・・・ゆらゆら・・・じているやづを・・・うでに・・・づげだらどうなるがど」

(切れる方の刃には触ってない、ゆらゆらしてるやつを腕につけたらどうなるかと)

ピピン「そのまま少し待ってなさい・・・まったくもう・・・」


数分が経ち・・・


ハル「ピピン、もどりました!」

ピピン「はぁぁ〜↓」

ハル「刀に触るなって言うから、ゆらゆらなら大丈夫かと(笑)」

ピピン「魔法がかかってるって言ったでしょ!」

ハル「ゆらゆらをさわっちゃダメと言わなかったピピンが悪い」

ピピン「想像つくでしょが・・・」

ハル「ビシッと一瞬しびれる程度かと(笑)」

ピピン「好奇心旺盛なハルなら、触るかもと思ったけど・・・本当に、触ったわ・・・」

ハル「てかさ・・・その言い方・・・触るってわかってたでしょ」

ピピン「まぁね(笑)」

ピピン「刃はさすがに危ないからそこだけはね(笑)」

ハル「やられた・・・(笑)」

ピピン「うひひひひっ♪」

ハル「それにしても、その短剣凄いな!」

ピピン「でしょ!刃はもちろん切ることはできるし、マヒまではいかないけど相手の動きを鈍らせることができるの」

ハル「盗賊にはピッタリだな!」

ピピン「そうなの。わたしは一撃一撃の力はないけど、敵を少しでも鈍らせられれば、みんなの戦いが楽になるかもって」

ハル「仲間のためだな、凄いよピピンは」

ピピン「うふ♪」

ハル「高かったろぉ〜」

ピピン「昨日の報酬もあったし、その勢いで全財産の半分はいっちゃった」

ハル「ゴールドを見ると目が($o$)のピピンが全財産の半分!!」

ピピン「えへっ♪」

ハル「仲間のためにそこまで・・・うん、やっぱりピピンは凄いよ、感動した!」

ピピン「わたしがみんなより先に攻撃する→みんなの戦闘が少しでも楽になる→PTの戦力が上がる→今までより凄い依頼を受けれる→その先にわたしを待っている宝物たちがいっぱいいる!」

ハル「えっ!?」

ピピンの目が・・・
ピピン「($o$)」

ハル「えぇっ!そういうこと!?」

ピピン「当たり前でしょ!」

ハル「それも凄いよ・・・(笑)」

ピピン「ハルは?」

ハル「ん?」

ピピン「そろそろ装備を変えようと思わないの?」

ハル「あの装備はオレの仲間なんだ」

ピピン「またそれ?」

ピピン「わたしがメディアスに入ってはじめて一緒に冒険した時は、ビックリしたわよ」

ハル「あはは・・・」

ピピン「ハルの装備が練習用の木の剣、木の盾、木の鎧、木のすね当てよ!」

ハル「あの時はどうしてもそれがよくてね(笑)」

ピピン「木の剣で何度も叩かれてる敵が痛そうで、可哀想なくらいだったわよ・・・(笑)」

ハル「お恥ずかしい・・・」

ピピン「やっと鉄の装備に変えたと思ったら、木の装備を大事に部屋に飾ってるし・・・」

ハル「トレスがくれたとっても大切な宝物だからな♪」

ピピン「その調子じゃ、次の装備買ったら、また飾るでしょ」

ハル「もちろん♪」

ピピン「何十年後かに、装備の博物館できるわよ(笑)」

ハル「それ!いいアイデアだな!!」

ピピン「あのね・・・誰も見にこないから・・・」

ハル「あはは(笑)」

トレス「おお〜ハル、ピピン。よぉっ!」

ハル「トレス、こんにちは♪」

ピピン「はぁいトレス♪」

トレス「さっきは、みんなで街に帰ってこれてホントよかったよなぁぁぁ〜」

ハル「ぬっ・・・そっそれ・・・さっきピピンにやられたし・・・みんなでオレをバカにして・・・」

トレス「あっなんだ、先にピピンにやられたか(笑)レベットとモルモが言ってたからさ」

ハル「ピピンにみごとにね!」

トレス「さすがピピン(笑)」

ピピンは勝ち誇った顔をしている

トレス「ハル。この前、ハルに会わせたい人がいるって言ったろ」

ハル「うん」

トレス「この人だ」

トレスの後ろに1人の女性が立っていた

ハルは立ち上がり
ハル「はい」

トレス「この人はオレが昔からお世話になっていた先輩の奥さんでな、ハルに話があるっていうから連れてきたんだ」

ハル「あっうん」

ピピンはボソッと小さな声で
ピピン「あら、美人ね・・・」

アリア「はじめまして♪」

ハル「はっはじめまして」

ピピン「はじめまして」

アリア「アリアと申します」

ハル「ハルです」

ピピン「ピピンです」

アリア「実は以前から、ピピンさんのことはもちろん、ハルさんの話もトレスからいろいろ聞いていまして」

ハル「あっ・・・そうでしたか」

アリア「今回、ハルさんが新しいPT(パーティ)を作られたと聞きまして」

ハル「はい、ブレスバリィというPTです。まだオレ1人だけなんですけどね・・・」

アリア「はい、それも聞きました。そこでお話しがありまして」

ハル「はい」

アリア「実は来週、わたしの息子のエスタが10歳になりまして、職業選択の儀式を戦士として行うのです」

ハル「はい」

アリア「それで、儀式が終わりましたら、ブレスバリィに息子のエスタを入れてもらえないでしょうか?」

ハル、ピピン「!!!」

ハル「えっ!あっ・・・」

ピピン「ハル!いい話しじゃない!」

ハル「えっあの・・・10歳ですよね」

アリア「はい」

ハル「えっと・・・」

トレス「ハル。すぐには決めなくていいんだ」

アリア「はい、いきなりのお話しで本当にすいません。お返事はいつでもよいので」

ハル「あっそうですか、それは助かります。いきなりのことで、ちょっとなんて答えたらいいのか」

アリア「はい、無理なお願いをしているのはわかっていますので、ゆっくりお返事をお待ちしております。それに、トレスの知り合いだからとお返事に無理だけなさらないで下さい」

ハル「わかりました。でもオレよりトレスの方が凄い戦士ですし、メディアスに入った方が安全で成長もとても大きいかと思いますが」

アリア「いいえ、トレスにも言いましたが、その凄いトレスが認めたハルさんのいるブレスバリィにエスタを入れさせてあげたいのです」

ハル「えっあっ・・・そうですか、わかりました、・・・では考えさせて下さい」

アリアは笑顔で
アリア「はい♪」

アリアはハルに深くお辞儀をした

ハルもアリアに深くお辞儀をした

アリア「ピピンさん」

ピピン「はい」

アリア「デートのお時間にお邪魔しちゃって本当にごめんなさいね」

アリアはピピンにも深くお辞儀をした

ピピン、ハル「!!!」

ピピン「ちょっ・・・ちょっとアリアさん!なっなにを言ってるんですか。デッデートだなんて、こんなヤツとデートするわけないじゃないですか!!」

ピピンは真っ赤な顔になってしゃべっている

アリア「あら♪」

ピピン「こんなヤツ・・・こうして・・・こうして・・・」

ハル「あっ・・・あの・・・ビビン・・・がらだが・・・じびれでるんでずがっ・・・」

(あっあのピピン、体がしびれてるんですがっ)

ピピンはティトールの短剣を鞘から抜いて、刃の逆の部分をハルにこすりつけている

アリア「うふふ♪」

トレス「ウケるわぁぁぁ(笑)」

ピピン「あっあっ、ハルごめん!ついっ・・・」

ハル「びっびっ・・・びどい・・・」

(ひっひっ、ひどい)

アリア「トレス、ありがとう。それでは失礼します」

トレス「はいよっ」

アリアは深くお辞儀をして、去っていった



【アリア 29歳 女】
エスタのお母さんで、トレスがお世話になった先輩の奥さん。トレスからハルの話をずっと以前から聞いていていむかエスタをハルにあずけたいと強く思っていた



ピピンとトレスは、ハルがもとに戻るのを待ち・・・

トレス「ということだ、ハル」

ハル「うん・・・考えさせて」

トレス「もちろん。アリアさんも言ってたようにオレの知り合いだからって、それは気にしなくていいからな」

ハル「それはわかってる。ただオレが10歳の子を素晴らしい戦士に育てられるかどうか・・・自分だって戦士としてまだまだなのに・・・」

トレス「オレはハルならできると思うが、やるのはハルだからゆっくり考えな」

ハル「うん」

トレス「では、オレは用事があるからまたな」

ハル「また」

ピピン「またあとで♪」

トレス「おぅ♪」

トレスは去っていった


ピピン「ハル〜、まぁたネガティブ出てるよ」

ハル「あっ、うん。でも話が大き過ぎて・・・」

ピピン「そうね、ナガラ山に続いて、この話しは大変なのはわかるわ。相手は10歳だしねぇ」

ハル「そうなんだよ・・・」

ピピン「でもさ、大変だからこそ、良いものを見る目が大切なんじゃない?」

ハル「うん」

ハル「でも今回はさ、ポジティブとかネガティブとかじゃない気がするんだ」

ピピン「どういうこと?」

ハル「その子の人生がかかってるからさ・・・」

ピピン「そういうことね。人生かぁぁ」

ハル「オレがハッキリ決断する時まで、しっかり考えるよ」

ピピン「そうしなぁ。わたしはどの答えでも応援してるよ」

ハル「ありがとう、ピピン」

ピピン「はぁい♪」

ピピン「ではでは、わたしも、おでかけしてきまぁす♪」

ハル「またなぁ」

ピピン「また♪」


ハルは噴水の清らかな水を眺めながら

ハル「ゆっくり・・・ゆっくりだ」



[第7話へ続く・・・]


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