見出し画像

♨️奈良田温泉に入りに行く

 🌀台風15号の大規模な影響により、静岡県静岡市清水区は断水や床上浸水などで被害に遭われた方々も多かったです🥲

 我が家も金曜日まで断水し、土曜日は茶色く濁った水で🛁お風呂や🧼洗濯には利用出来ません🥲

 仕方ないので、〝サウナの聖地〟こと静岡市駿河区にある「サウナしきじ」の朝風呂サービスを利用したり、♨️大江戸温泉 久能店を利用していました。

画像1

 【〝サウナの聖地〟サウナしきじ】

 🇫🇮フィンランドサウナや薬草風呂に薬草サウナまでありました。バイク仲間たちでは知らない人はいないというくらい有名で、多くの著名人も利用なさっておられました。

 入湯後は、懐かしいフルーツ牛乳🥛を飲み干します。仄かな甘さ、コレ❣️です。小学校の給食の時間、一カ月に一度、🍓イチゴ牛乳か☕️コーヒー牛乳、もしくはフルーツ牛乳。

画像3

 【サウナしきじのフルーツ牛乳】

 コレにメインの献立が🍝ミートソースのソフト麺なら、言うことなし👍🏻の日になりました😋

 でも断水という機会でも無ければ、中々利用出来なかったことですし、前向きに捉えていきます。

 「note」の投稿を拝見していたら、奈良田温泉に浸かって来た投稿が奈良特集に紛れて配信されていました。恐らくAIでは、奈良と「奈良田」の区別がつかなかったのでしょう🤔

 そうだ❗️

 ♨️奈良田温泉に久しぶりに入湯してみようかなぁ、と。山屋にとって、下山口に温泉があることは感謝に絶えません。

画像4

 【稜線から燕岳】

 北アの燕岳からの中房温泉はプールのようでしたし、白馬からの蓮華温泉は七つの露天風呂があり、いづれもいい♨️温泉でした。

画像5

 【槍ヶ岳 東鎌尾根より】槍ヶ岳の肩にあたる赤い屋根の山小屋が槍ヶ岳山荘、そこから南進すると南岳、大キレット、その中でもスリリングな〝飛騨泣き〟を越えて、北穂の垂直の壁を登ります。

 とりわけ👨🏻‍🎓学生時代に登って槍ヶ岳から大キレットを経由して北穂から涸沢に下山し、上高地の途中の山小屋・嘉門次小屋の檜風呂の檜の香りには浸かっていて感動しました。

画像6

 【上高地にある嘉門次小屋】嘉門次さんとは、伝説の山ガイド・上條嘉門次さんのことで、上高地にあるウェルター・ウェストン夫妻をガイドし北アルプスを案内して有名になりました。

画像32

 【📘『ウェストンと上條嘉門次』】

 この著作は嘉門次の孫にあたる嘉門次小屋の女将さんが記した紀行です。

 上條嘉門次はウェストン夫妻を上高地・北アルプスだけでなく、南アルプスの北岳や仙丈ヶ岳にも案内していて広河原にも来ていたので、奈良田温泉の記述があるか?探しましたがないようなので、嘉門次とウェストンは残念ながら奈良田温泉には来ていないようです😔

⬜︎♨️奈良田温泉とは

 奈良田は秘湯の中でも温泉好きな愛好家から絶大な支持がある有名な温泉です。

 奈良田温泉より県道37号線より南下する♨️西山温泉に湯治にお越しになられたのが孝謙天皇。孝謙天皇の御代は正曆749年〜758年。

 東大寺の盧舎那仏、つまり奈良の大仏を作ろうと詔(天皇の意志を示す文書)を発した一方、土地の私有化を事実上認めた墾田永年私財法を発布した45代聖武天皇が譲位して、帝位に就いて、第46代の女性の天皇となられました👩🏻

画像9

 【 第46代 孝謙天皇】 

 孝謙天皇の御代、天平勝宝四年《752年》夏四月九日に、奈良の大仏が完成し開眼供養を執り行い、中国・唐から鑑真和尚が来日して、高僧と会い仏教伝来を画策した天皇です。

 孝謙天皇は、📖『続日本紀』によれば、

『第四十六代、出家して仏に帰依したため、死後、漢風諡号《しごう》を奉っていない。よって宝字二年《758年》に官人たちが上申した尊号をもって、孝謙天皇の諡号とした』

 聖武天皇の皇太子・阿部内親王(皇女)として、天平勝宝元年《749年》7月2日に即位しました。

画像34

 その後一度は天皇の座を退位するものの6年後の764年に第48代 称徳天皇として帝位に返り咲くという離れ業を成し遂げます😱

 これを歴史学的な専門用語では、「重祚」《じゅうそ》と、言います。

  源頼朝の親幕派の公家・九条兼実の実弟、天台座主に四度も任じられた慈円が記した📖『愚管抄』に、歴代の天皇のことが紹介されています。

(中略)‥‥。聖武天皇は御退位ののち、八年の間太上天皇として在世された。孝謙天皇は聖武天皇がお亡くなりになったのち、その御遺言に従って、天武天皇の孫にあたる御子で、一品新田部親王《にいたべ しんのう》の御子の式部卿道祖王《ふなどのおう》という御方を東宮にお立てになった。ところがその道祖王はいったいどうなさったであろうか、聖武天皇の御冥福を祈ることなどを大切にお考えになることはまったくなく、孝謙天皇の誡めのおことばを背くようなことをなさった。そこで、孝謙天皇は道祖王の東宮をやめて、別の人を東宮にしようとお考えになり、公卿たちに相談なさったのである‥‥(中略) 

      講談社学術文庫 刊 慈円 著『愚管抄』

画像35

 【📖『愚管抄』】

その女性天皇が湯治に、♨️西山温泉に出向いた際に、この奈良田温泉を見つけたとされています。 ♨️温泉地としては、西山温泉に次いで古く、その歴史は1270年にも及びます。

 📖『続日本紀』に、具体的な記事は見当たりませんでしたが、天平勝宝七年《755年》冬10月21日の記述の中で、父である先帝・太上天皇《聖武天皇》の健康がすぐれず、寝食の状態もよろしくないことから、罪人の赦免をし、動物などの殺生を年末まで禁じ、加えて湯薬を支給させていることから、孝謙天皇が父の快癒のため、何でも取り組んでいた辺りに奈良田温泉発見のヒントがあるかもしれません🤔

⬜︎♨️奈良田温泉へ

 静岡県静岡市と山梨県韮崎市を結ぶ国道52号線かを北上し、山梨県に向かいます。中部縦貫道も完成しましたが、52号線に慣れているので、身延辺りまでなら、有料道路を使わずに下道でドライブ方々走ってみます。

 ナビでおおよそ2時間のドライブです。

画像7

 【国道1号線バイパスから左折、国道52号線へ】

 国道52号線興津の陸橋を渡ると、いよいよ山梨に向けて走るぞ🖕🏻と、気持ちも昂ります。

 気候がいいと窓を開けて走ります。山梨県に入ってからは、甘い仄かな香りを漂わせる金木犀の香りが車内にも外気に混じって香ります。

 静岡からおおよそ50分で、道の駅「とみさわ」に着きますので、ちょっと休憩です。

画像2

 【道の駅 とみさわ】筍をモチーフにした造形物が目を引きます。中には、机や椅子が並んでいて憩いの場になっています。

 ここまで、ざっくり40.6km。

画像8

【道の駅 とみさわで休憩】

 10分ほど休憩してから、リフレッシュ出来たところでエンジン再スタート。

 今までは国道52号線は北上していくルートは一級河川・富士川の西岸を走るのですが、ナビは富士川を渡りJR身延線と並走する県道10号線を北上するよう案内します。

 恐らく、52号線は蛇行を繰り返すので、比較的直線が多い10号線の方が距離が短いと判断したのでしょう。🚉JR身延駅まではずっと県道を走ります。

画像11

 【JR身延駅 駅舎】駅の前の道が県道10号線でした。駅を通り過ぎるとすぐに、身延橋東詰という交差点を左折し、再び富士川を渡り国道52号線に合流すべく、右折して52号線を北上します。上沢交差点を交差する県道37号線を左折(南アルプス側)に入っていきます。

 上沢交差点は左折レーンが🚥が無いため県道37号線に合流し易いのですが、🚨要注意です。

 合流前が一旦停止なのですが勢いに任せてそのまま左折すると、下部方面から来た車と衝突するかもしれませんし、一旦停止義務違反で捕まってしまうかもしれません。この時も反対する物陰から🚓がエンジンをかけて、スタンバイしてました😮‍💨

 やはり🚔を見かけるとドキドキしますね。県道37号線に入れば、後は一路、奈良田温泉まで一本道ですが、約37kmの長旅です。🚥信号も全くないので、速度に気をつけながらの走行です。

 早川に沿って、西岸を蛇行しながら西進します。途中、早川を渡り川の東岸に移ると西山温泉 慶雲館の立派な温泉宿があります。

 西山温泉を過ぎてダムが作った人造湖・奈良田湖が見えて来れば、堤防沿いであと僅かです。

画像12

 【人造湖・奈良田湖】ダムの建設で旧奈良田の村は湖底に沈みました。1953年(昭和28年)に、山梨県企業局の肝入りで新奈良田町が昭和53年に、温泉の掘削に成功し復活して、昭和54年に町営の「奈良田の里温泉」が開業しました。

 掘削深度は212mで温泉が湧出、奈良田界隈は温泉街にはつきものの微かな硫黄臭が漂います。

画像13

 【奈良田温泉到着】静岡市清水区から約98.1km、午前9時に出発し、休憩を含んで午前11時10分に到着、標高は841mでした。

画像24

 【奈良田温泉に到着し駐車場へ】

 堤防の向こうには、早川が流れていて、奈良田湖に繋がります。

 奈良田温泉街でもとりわけ有名な「白根館」に入湯します。ここには、宿泊施設も無ければ食事処もありません。日帰り温泉のみの勝負で、潔いです👍🏻

画像14

 【奈良田温泉 白根館】♨️秘湯中の秘湯。以前、母を連れて来た際には、白根館の上にある町営の奈良田の里温泉に入湯しに来たので、今回は温泉博士が推奨する白根館に推参。

 入湯料は大人一人1000円、タオルも持参して来たのですが、「白根館」の名入りタオルが200円でしたのでの、お土産替わりに購入しました。

画像15

【白根館のエントランス】階段を登るごとに気持ちが高揚します。

 入口で入湯料を払って、いざ❗️

画像31

⬜︎♨️奈良田温泉が記されている📘書物

 先ずは、奈良田温泉を推奨する📘の紹介です。 

 弁護士でもある著者・小林裕彦さんが執筆した著書『温泉博士が教える 最高の温泉 ー本物の源泉かけ流し厳選300』 集英社 刊

 『 奈良田温泉 白根館(山梨県) 山梨県南巨摩郡早川町奈良田344

 昔、孝謙天皇がやって来て、八幡社に願掛けしたら温泉が湧いたという温泉です。 ナトリウムー塩化物泉はぬるめでとろみとヌルヌル感があって、少し硫黄臭がします。ミネラルをたくさん含んでいるなという感じの素晴らしい泉質です。』

画像10

 【集英社 刊 温泉を紹介されるエッセイ集】

 「真の名湯」を選び抜いた300選の一つです。私が奈良田温泉に憧れたのは高校山岳部の夏山合宿の時でした。

 南アルプス 北岳の登山口である広河原に私たち東海大一高山岳部と偶然、進学校でもあり⚽️サッカー全国大会にも優勝したことのある清水東高校山岳部とが鉢合わせしました。

 聞けば、我々と同様に日本第二位の南アルプス首座・北岳→間ノ岳→農鳥岳→三伏峠→塩見岳から伊那大島駅へ下山するルート。

 農鳥岳→西農鳥岳まではほぼ一緒でしたが、彼らは西農鳥岳から緊急避難ルートに設定してあった奈良田に下り、奈良田温泉に浸かって下山していきました。

画像16

 【白根館 ♨️露天風呂】

 清水東高 山岳部の方々が口を揃えて、奈良田温泉は良かった、良かったというので、機会があったら入湯してみたいと脳裏の片隅に焼き付きました。

画像17

 【脱衣場にある効能を示す看板】

 いよいよ、入湯です。

 微かな硫黄臭や湿度も下界より低い所為かベトベトする嫌な感じはありません。温泉独特のヌルっとした湯触りがたまらないっす❣️

 湯温は熱くはなく、入り易い湯温でつま先からそっと入る心配は有りません。露天風呂はそんなに大きくないため、大人五人が入れば、満席になるくらいですが、📘本の通り♨️源泉掛け流し。

 流石に西農鳥岳や農鳥岳の南アルプスの峰々は拝めませんが、登山者の疲労を回復させたり、癒しの空間です。白根館はこの露天風呂の他に、洗い場を備えた屋内の総檜風呂があります。

 奈良田温泉が作品の舞台として登場する小説がありました。この作品で直木賞受賞した作家・高村薫さんの代表作📘『マークスの山』です。

 山岳小説ではなく、刑事・合田雄一郎シリーズで知られる👮警察ミステリー小説です。

 🎞映画化もされました。

画像18

【新潮文庫 刊 『マークスの山』】

 (前略)やがて富士川と名を変えて駿河湾に注ぐ早川が、ちょうどその発電所の辺りで二股に分かれ、一本は荒川となって沢筋に消え、一本は野呂川となって白峰三山の山麓をうねうねと蛇行していく。飯場は、その野呂川沿いから切り立つ北岳山塊の一つ、池山吊尾根の底にあった。すぐ先に、古くからの南アルプスの登山基地である広河原があり、反対方向へ下るとまた別の発電所や奈良田の温泉村がある。‥‥』

 奈良田温泉を出て、ちょうど昼食時😋

白根館の脇に坂を上がっていくと、奈良田の里温泉がありここには食事処もあります。

 蕎麦や🍢おでんもありましたが、せっかくなら野趣溢れるイワナ定食を食べることにしました。〝渓流の女王・ヤマメ〟の定食もありましたが、イワナにしました。

 「イワナ」は鮭科の淡水魚です。ヤマメが渓流の女王なら、イワナは〝渓流の王様〟です。私がイワナを初めて知ったのは、釣りキチなら一度は手にしたことがある漫画『釣りキチ三平』の「左膳イワナ」の回で登場する孤高のイワナと三平の死闘が描かれたシーンでした。

画像19

 【矢口高雄氏 著 『釣りキチ三平』左膳イワナ】イワナが淡水魚でありながら、肉食系の獰猛な🐟魚というイメージが定着していたので、上高地にある嘉門次小屋に逗留した際にイワナの塩焼きを食べたら、淡白でありながら鯉のような癖もなく美味しくいただけました。

 嘉門次小屋の近くにある⛩穂高神社 奥宮にある池に数十匹のイワナが人影も怖れずに泳いでいる姿がとても印象的でした。漫画では警戒心が強く、川面に人影が映ると姿を隠すとまで、書かれています。

 野生というか、渓流の厳しい環境下で育ったイワナはやはり獰猛で警戒心が強い魚なんでしょうね。

画像20

 【イワナの塩焼き】

 ただ、嘉門次小屋で養殖されているイワナや奥宮で優雅に泳いでいるイワナは周囲にライバルや緩〜い環境のため、ぼっーと生きているのかもしれません。 

画像21

【イワナの塩焼き定食】 お新香、小鉢と味噌汁が付いて1200円でした。

 やはり、イワナの塩焼きは美味しい😋

白身がホクホクとしていて、程よい🧂塩味。川魚特有の臭みは全く無く、美味しくいただきました。

 お腹を満たした後で、奈良田温泉にある著名な📸山岳写真家・白旗史郎さんの記念館にも立ち寄って来ました。

画像22

【白旗史郎記念館にある在りし日の白旗史郎さん】

 白旗史郎さんには一度だけ、北アルプス⛺️涸沢キャンプ地から徳沢園に下山するルートの途中、穂高連峰を一望できる屏風の頭でお目にかかったことがあります。

 私たちにも気さくに声を掛けて下さいました。

画像23

 【白旗史郎記念館】

 山岳雑誌『山と渓谷』を拝読していると、よく目にするお名前と作品の数々。一度でいいから、白旗史郎さんのようなダイナミックで発色の素晴らしい写真を撮ってみたいものです。

画像25

【白旗史郎記念館 館内①】

画像26

【白旗史郎記念館 館内②】

 正面にある作品は世界最高峰エベレストを撮った一枚。陳腐な表現しか出来ず心苦しいのですが、本当に素晴らしい一枚です。

画像33

 【カフェテリア『かぎや』】

 記念館を辞した後、記念館の入場チケットを販売しているカフェテリア『かぎや』で☕️一杯。

画像27

【☕️とスコーン】

 スコーンに杏ジャムが載っていて、程よい甘さと酸味が楽しめます。スコーンのジャムは杏だけでなく、🍓イチゴや🍊オレンジもありました。

 駐車場に戻って来て、気になる看板を発見😎

画像28

【駐車場の看板】

 ※最後に。

 開運隧道なるものが奈良田から南アルプス街道と呼ばれる県道37号線を広河原に向かってあるようですので、車を降りて歩いてみました。

画像30

 【奈良田から広河原へ向かう林道】 

 駐車場から林道を北上すること、30分ほど。

画像29

       【開運隧道】

 橋を渡り左手に上がっていくと、西農鳥岳に向かう登山ルートになります。今は一般車両は🚧通行止めでした。

 所要時間 25分37秒 距離1.91km、消費カロリー127kcalでした💦

 🏠自宅には16時には着き、まさに♨️日帰り温泉でした。

http://www.nukuyu.com/shiranekan/





いいなと思ったら応援しよう!