9月1日(金)~9月7日(木)

9月1日
ヴァーホーヴェン『氷の微笑』を見る。今回ちゃんと見たが、あらためて見るととてもへんてこな映画だということがわかる。冒頭の性交場面におけるアイスピックを用いた殺人場面からかなりおかしいし、登場人物がほとんど異常なので、途中から誰が犯人なのかという謎解きはどうでもよくなる。それでも最初から最後まで演出のテンションが落ちないから不思議なものだ。またヒッチコック『めまい』を参照していることは明らかなのだが、こんなふうに翻案するのかという驚きがある。クラシカルなルックと荒唐無稽さが両立しているのだ。

9月2日
組合の学習会で足尾銅山に行く。フィールドワークなのだ。足尾銅山跡地をトロッコと徒歩で回る。銅山跡地の気温は14度でひんやりと冷たい。寒いくらいだ。続いて足尾銅山博物館、古河足尾歴史館を見学する。古河足尾歴史館は財閥資本家側からみた(!)足尾銅山の記録。財閥や日本資本主義の父たち、つまりはクソ野郎たちに肯定的なニュアンスの展示。館長が説明をしてくれるのだが、ナンセンスな内容に途中で聞くのを放棄してトロッコ列車で暴走する。宿は宇都宮駅近くのビジネスホテル。夕食は駅前の山内農場で交流会。団体客だとなかなかいい店は予約できない。長老が俺の言いたいことを代弁してくれたので補足で一言だけ話す。二次会でようやくギョーザにありつく。まあまあか。三次会の誘惑を断ち、同僚たち数人で宇都宮駅前のザ・グランドスパ南大門へ。サウナと露天風呂で1日の疲れを癒す。

9月3日
7時過ぎに起床。ホテルの朝食バイキングに食らいつく。ベーコンやスクランブルエッグ、サラダなどの定番メニューを食べつつ、推奨されていたたまごかけごはんを食べてみる。それなりにいい卵を使っているのだろう、たまごかけごはん、なかなか美味しかった。ホテルを出発し、田中正造記念館へ。昨日見た古河足尾記念館とは違い、さすがにまともな展示と解説だった。田中正造と幸徳秋水の関係や直訴(とそれがもたらした効果)について思う。道の駅で昼食を食べ、渡良瀬遊水地も見学する。バスで東京に戻り、解散。一泊二日の学習交流合宿が終わる。
夕方、新宿文化センターで裏窓20周年記念"ふたりのピアノ・リサイタル"渋谷毅+工藤冬里を見に行く。工藤冬里は白シャツ、ズボン、ローファーに赤い靴下というわりとシックないで立ちだったが、演奏中に携帯を取り出し自撮りするような素振りを見せたり、立ち上がってピアノを弾き始めたり、跳ねたりしていた。謎の緊張感があった。渋谷毅はジーンズにスニーカー姿というラフな格好で、こんな格好のピアノ演奏者を見るのははじめてだった(かっこよかった)。工藤冬里とは対照的でしっとり聴かせる演奏。二人の即興のセッションは不思議と調和していて見事だった。帰りに新宿三丁目の「らぁ麺 くろ渦」でラーメンを食べる。名物ののどぐろラーメンは売り切れていて残念だったが、好みの味で美味しかった。足尾銅山の土産物屋で買った石「めのう」(サイケで美しい石なのだ)を人にプレゼントする。

9月4日
夕方仕事を終えて家に帰宅すると部屋が綺麗になっていてびっくりする。このアパートに引っ越してきた時以来の綺麗さ、か。この状態をいつまで維持できるのか。
21時頃、行きつけの店に行く。京都の酒は丹後のほうが美味いんだよと店主に教えられ、ロックで伊根満開を飲む。たしかに美味い。赤い色をしていてすごい。これが古代米というやつか。舞美人(きもと純米無濾過生原酒)も薦められて飲む。木の味がしてクセになる美味さ。僕は舞美人シリーズは全部大好きなのだ。沖縄のフォロワーから絵葉書届く。

9月5日
午前中から歯医者へ。インプラントに向けての作業がはじまる。マウスピースを作るための型取りをする。去年タトゥーを入れたことがインプラントにたいする抵抗感を和らげたのかもしれない。金がかかることだけが問題という感じだ。

9月6日
昼前に起きる。夜勤までのまったりとした1日。冷凍していたステーキを焼いて食べたりする。『暗夜行路』を読み進める。ポッドキャストで怖い話を聴きながら夜勤に勤しむ。

9月7日
夜勤を終えて家に帰る。今日は4時間くらいは眠れたか。仮眠をとり、昼前に起きる。見逃していたアルジェントの新作『ダークグラス』を配信で見る。アルジェントの作品としてはたいした出来ではないが、アメリカンホラーとは全く違うテイストを(もちろんだが)それなりに楽しむ。ケーキを食べながら濱口『ドライブ・マイ・カー』の手話描写について人と話す。人と別れ、吉祥寺の行きつけの古着屋でTシャツを買う。

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