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今日も頼まれもしないロゴを作る

馴染みのお店が移転したので 開店祝いに何か持っていこう。
邪魔にならない程度の小さな鉢植えを持っていくつもりではあるんですが、おまけに手作りの品も渡そうと思っております。
いつのもアレです。
ワンオフだし 物珍しいし その人にとっては意味のあるモノなのでウケがよいです。
貰う人が本当に喜んでるのかはよくわかりません。

お店の名前は「ORIGAMI」です。ネットで探したけど正式なロゴはなさそうだった。小規模なお店だと屋号はあってもロゴは定まってないことは多いです。

今日は製作工程をこまごまと書いてみます。

まずはFusion360でモデリングから。スケッチに文字を入れます。
正式なロゴがないのでフォントは適当に選びます。
太いほうが出来上がりがよいです。
今回は Cooper Black を選んでみました。

20mm厚 の立体にします。

毎度同じように作っても面白くないので、今回は中を掘ってみます。
「シェル」で表面を選んで3mm 掘ってみました。

後になって気づいたけど、文字をまとめて選択すれば、1回の設定で掘れるみたいです。
曲面でこの処理を行うと演算量が多いみたいなので、うちの古いPCだと待ち時間が長いです。こういうときに新しいPCが欲しくなるなぁ。

このままだと それぞれの文字がバラバラなのでベースを作ります。
壁などに張り付ける分にはいい感じになるんですけど、
頼まれもしてないものを渡して相手に手間をかけさせるわけにもいかないので気軽に取り扱えるようにベースで連結して1ピースにしたほうがよいかな。

ベースのほうが+5mmほど厚みがあります。こうすると文字の下とベースの境目がはっきりするので見やすくなります。
今まで作ってきたものは、中を掘ったことはなかったのでちょっと見慣れぬ外観になりました。

さっそく Curaでgcodeに変換します。

Curaの最新版は v4.13.1 ですが、今回は Arachne engine beta2 のほうを使います。曲線が多いのでこっちのほうがきれいかもしれない。
Arachne engine ってのは、従来のものと違って印刷時の太さを可変にするので幅が変わる箇所の塗りつぶしがキレイに無駄なく速く印刷できるんです。

と、わかったようなことを書いてみましたが、衝撃的な事実を今日知りました。
Arachne engine beta2 は昨年の11月ぐらいに公開されているのですが、おれはインストールしてたのに 間違えてbeta1 のほうを使っていました。
というのもbeta版のインストーラは上書きしないで共存するんです。
ショートカットのパスはbeta1のままでした。
正直なところ、あんまり代わり映えしないよなぁと思ってあんまり使ってなかったんですけどね。
使ってない理由がもうひとつあって、設定ファイルを直接自分でいじってたせいでうまく起動できなくなってたんです。
(起動はするけど、PETG/TPUなどの選択ができなくなってた )

せっかくなので脱線ついでに詳細を書いておきます。真似する人は少ないとは思うけども、やりたい人は参考にしてください。
Curaにはプリンタごとのプロファイルがあらかじめ用意されています。
自社のUltimaker製品はしっかり整備されているでしょうけど、それ以外は有志によるものです。必ずしも最適ではないし揃っていません。
足りないものや気に入らないものは自分でいじることになります。
Snapmaker2は割と最近に追加されたんですが、ノズルサイズが0.4mmのみで変更できません。
初期値を変えるぐらいなら画面でちょちょいとできるのですが、ノズルサイズなどの選択肢がないものは自分で用意することになります。
また、複数プリンタを持ってる人がある特定の初期値を変えたいと思ったときは、同じ設定を全機種にやらないといけないので面倒だったりします。
こういうときは設定ファイルを直接したほうが便利です。

当時の奮闘記はこちらをご覧ください。
真似する人は気を付けてやってちょ。

Curaのデフォ値をいじる その1|ぼよん|note

Curaのデフォ値をいじる その2|ぼよん|note

上記の作業で動いてたんだけど、バージョンアップすると再設定が必要で一部が動かなくなっていました。
ようやくその原因がはっきりとわかりました。

Curaには大量のプロファイルがあるのですが、その中にある setting_versionがアプリのバージョンと一致していないとダメみたいなんです。

[general]
version = 4
name = Extra Fine Quality
definition = tronxy_x

[metadata]
setting_version = 18
type = quality
quality_type = extra
material = generic_tpu
variant = 0.3mm Nozzle

[values]

Curaのv4.13 の場合は 19 です。Arachne engineはちょっと古くて18です。
おれの環境は過去に作ったものを引き継いできてたので16~19が混在していました。

これをそれぞれの環境で 18 or 19 にすればよいのですが、手作業でやるとすんげーめんどくさい。
本業でも似たようなことをやることはたまにあります。
都度、専用のスクリプトを書いてたっけ。
休みの日にプログラムを書く根性はありません。

ネットで調べたら、意外なところに簡単な方法が見つかりました。
普段から使ってる sakura エディタには grep 置換という機能があるんです。

もともとGrepはよく使ってました。
よく使うから Ctrl + G のショートカットを利用してるせいで、メニュー上のGrep置換の存在に気づいていませんでした。

これでがっつり置換してくれます。

正規表現を上手に使えば、もっと複雑な事もできるっぺ!
sed とかと同じことを気軽にできるっぺ!

おかげで無事に復活!
標準のSnapmaker2 用のプロファイルはかなりしょぼいんですけど
プロファイルを自前で作ったおかげで ノズルサイズが選べるしレイヤーも5種類選べる。全パターンの組み合わせを揃えるのはめんどうなのでほどほどですが。使いそうなものだけ用意しましょう。

自前のプロファイル
自前のプロファイル

ここら辺の仕様はCuraのドキュメントをじっくり読めばわかるはずなんですが、読みたくないので手あたり次第にいじってました。

例えば複数のプリンタを持ってて、Top/Bottom PatternをすべてZigZagにしたい場合なんかは、プロファイルをいじったほうが速いです。

ここら辺のファイルを直接編集しよう

fdmprinter.def.json のここを zigzag に書き換えると、全プリンターの初期値が変わります。

ただし、これを継承してるプロファイル側でも設定してる場合はそっちを変えないとだめです。
Curaがバージョンアップすると全部なくなるので、バックアップしておいて再移植するという手間がかかります。diffツールがないとやってられませぬ。

長い脱線が終わり、ようやくスライスです。
曲線が多いせいで すんげー待ち時間が長い。
やっぱPC買おうかな。

左がArachne Engine です。
等幅の図形なのであんまり違いがでなかった。
上のほうの継ぎ目の部分の造形が違います。

左:左がArachne Engine b2 右 v4.13.0

他の部位も見ましたが Inner wall が滑らかに囲うようになってるみたいです。Inner なので印刷後はTopとBottomしか見えませんが、スムーズに動いたほうが印刷品質が安定すると思います。
もっと細い箇所があれば違いは顕著だったんですが、今回はシェルで3mm幅で抜いてるので固定幅なもんだからあんまり違いがありませんでした。

そんなこんなで、試作1号です。横幅は約20cmぐらい。

なんで青なのかといいますと、昨年、ポリカーボネイトの青を注文したときに間違ってPLAの青が届いたんです。原色って使いづらいんですよね。
なので、試作用途で使うようにしています。
最終版はもうちょっと落ち着いた色にしたいと思います。

ベースの幅はもっと狭いほうがよいかも。+1mm とかでも十分かもしれません。もしくは本体とツライチでも視認性は悪くないかも。
初めてシェルで掘ってみましたが、なかなかよいですね。
貫通するのもいいかもしれません。
宙ぶらりんになる箇所がないので貫通しても大丈夫です。
シェルって幅を1つだけ指定するだけなので貫通できないんです。
貫通させようと思ったら、更に1個づつ選んで肉抜きしないといけません。
「A」と「M」の造形がつぶれてるのがイマイチですね。
印刷する前に気づけよなぁ。

シェルの厚みを2mmにしてみました。ついでにベースの厚みは+2mm。

肉厚2mm ベース+2mm

あぁ、こっちのほうがいいね。
3時間もかけて印刷する前に確認しておけばよかったなぁ。

レイヤー 0.25m 100m/s でおよそ3時間です。
Klipperを使うようになったんで もうちょっと速くしてもいいかもしれません。

120m/s にしたら、15分速くなりました。あんまり変わりませんね。
1・2層目が遅いし塗りつぶし面積が多いから違いが出にくいようです。

2層目を通常速度にして、リトラクションを減らしてみました。
Number of Slower Layers = 2 → 1
Retraction Minimum Travel = 1.5 → 3

2時間半ならよいかな。次回はこれでやってみよう。

おしまい。

2021-03-21 追記

前作はお店に置いてきました。
ちょっと小さめだったのと、青は店のカラーに合わない感じだったので
PETGの半透明オレンジにしてみました。くぼみも止めました。


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