はだら VS きびなご--昔話
noteの皆さん,
やっと時間が取れるようになりました。また少しずつ投稿を始めたいと思います。よろしくお願いします。
はだら VS きびなご――昔話
虚士(きょし)が4歳(昭和29年) 頃の話です。その日は親戚から”はだら” (トウゴロウイワシ科の小魚)をお裾分けしてもらい、夕食は“はらだ”の刺身と、「はだらのチュン焼き」(まるごと塩焼き)でした。
虚太郎(きょたろう)じさんは、新鮮な肴に「だれ休めの焼酎」を飲んで上機嫌でした。
食事が終わったあと、じさんは、子供達を集めて、昔話を初めました。どうして”きびなご”には、うろこが何もなくて、”はだら”には沢山あるのかの由来の話です。
虚士も“じさん”が何を話すのか興味深々で耳をそばだてます。
昔々、そのまた昔、浅海の海に”はだら”と”きびなご”が居った。その頃はどちら共、うろこが同じ位付いとった。
2匹とも小魚なので、ブリや鯖の餌になったり、人間にも良く食べられていた。「これじゃーたまらん、今に2匹とも全滅するぞ!何とか食われん方法はなかろうか?」と2匹で話しました。
その結果、うろこを沢山着ければ食われんじゃろ、どちらか生き残る為に、”まつご崎”から”ほきの鼻”まで競争して、勝った方が負けた方のうろこを全部もらう、と言う事で話が付いた。
早速、”いわし”に審判になってもらい、「ようーい、ドン」で泳ぎ始めた。途中の”えびす島”付近までは、2匹ともかわらんじゃったが、強い骨の持ち主の”はだら”が少しずつ放して行き、ゴールの”ほきの鼻”では20ひろ(1ひろは大人が両手を左右に広げた長さ) ばかり差を付けて勝った。
それで、”きびなご”のうろこを全部”はだら”がもらう事になった。じゃから、今日食べた”はだら”にはうろこがいっぱいあって、”きびなご”には何も無いんじゃ――――おしまい。
(虚太郎じさんの話は実話ではありません。昔話です)
以下”はだら”関連情報です。
浅海集落近海の”はだら”、は体長10cm位
(福岡に来て、玄界灘で釣ったのは15cm程度ありました)
非常にうろこが多く、剥がしにくく、中骨が硬いので料理するのに工夫が必要です。また”はだら”にはほのかな香りがあります。「セロリ」かな?
鰯の仲間と言うより、さより、飛び魚、ぼら等に近いように思います。体調10cm程度であれば刺身は面倒ですが、15cm程のものは、うろこを着けたまま皮を剥いだら簡単です、私は福岡にきてオキアミを餌にサビキで釣ると、元気の良い手応えが気に入り、たくさん釣り、焼酎の肴に刺身にして食べました。
体調10cm程度の物でも塩焼きには向いています。うろこ事焼けば中身が焦げなくて、うろこも取れやすくなります。七輪で焼くと「チュン」とおなかがパンクします。それが焼き上がりのサインです。これを天草では「はだらのチュン焼き」と言っていました。
刺味はきびなごより淡泊で、歯触りが良く、さよりに似ていると感じました。
塩焼きは、うろこを取りながら食べますが、塩も効いてビール、日本酒、焼酎の肴に持ってこいです。
飽食の時代の今日では、B級グルメでしょう。「猫またぎ」と言う人もいます。私としては悲しいです。
作今の話題に“コオロギ”等の昆虫も蛋白源にしようと、研究開発、普及活動が盛んな様ですが、”はだら”もたくさんいますので候補に上げて頂きたいものです。
終わり
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