草飛行機-少年の夢
草飛行機-少年の夢
私(虚士)が小学六年生(昭和36年)頃体験した遊びの話です。四年生までは、近くの分校でしたが、当時は自宅から4Km程離れた、深海(ふかみ)小学校と言う本校に通学していました。通学路の路肩、土端には冬場を除き草が繁茂していて、いやでも目についていました。その中には茅類でチガヤ(千茅)、ススキ(芒)もありました。
単調な登下校の日々が続く中で何か面白いことは無いかと思っていたある日の下校途中、同じ集落で年上の七尾(ななお、仮名)さんと一緒になりました。すると七尾さんが、道端のチガヤを取っきて、「虚士、見とけよ!」と言って、瞬時に15m程飛ばしました。それを見た私は感動して、すぐに七尾さんに教えてくれと、頼みました(それまでの虚士の方法では2~3m位しか飛ばなかった)。
なるだけ大きく、まっすぐなチガヤを選び、25~30cm位に切断して、草の芯を飛ばすので根元に近い芯の両側を3cm程裂き、芯が出っ張っている側を上にして、左手の人差し指と親指で持ち、右手(効き腕)の人差指を左手の人差指に当てて親指を離し、人差指同士でチガヤを支える状態で、右手の人差指をバネとして、はじき飛ばす。
ススキの葉が大きいので良いと思いましたが、まっすぐなのが少ないのです。やっぱりチガヤの方が、まっすぐなのが多くて良いように思います。
野山でチガヤを見つけるとすぐ草飛行機の練習をしていました。飛ばせるようになるまでに、3~4ヶ月掛かりました。できた時はすごく嬉しかった事を覚えています。
当時は田舎でもあり、飛行機など滅多に見かける事はありませんでした。極々まれに飛行機雲を見つける事がありました。そのときは、飛行機と張り合って「見とけよ!、俺も飛行機を飛ばすぞ!」と、何回も、何回も飛ばしました。10~15mは飛んでいたと思います。
終わり
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