メジロかご作り
メジロを飼う為の、メジロかご作り―小説
虚士(きょし)が小学6年(昭和36年) 頃の話です。早春の日曜日、兄達がメジロ獲りに行くと言って、鳥かごが古くなって壊れそうなので、新しいかごを造りました。
その製作過程を見ていた虚士は、「おり(俺)も作ってみる!」と言い出し、道具小屋から鉈(なた)を持ち出し、裏山の境界竹 (天草では ”山の所有境界” は小竹の生株でした。直経13mm程度で、青色~黄色~朱色の小竹の生株です。) の綺麗な黄色の小竹を3本程切りその場で笹を落とし、自宅に持ち帰りました。
これはかごの支柱及び、横架材 (竹ひご受け) になるものです。他に竹ひごが必要ですが、兄達が残した淡竹(ハチク)をもらう事にしました。淡竹を鉈で小さく割って、自分の膝に厚布を敷きこの上に割った竹を置きナイフで削ぎながら、竹ひごにして行きます。
製作作業は、まず鳥かごのサイズを決めですが、兄達が造った物をまねして、同じサイズとします。小竹を必要な長さ、本数分切りそろえます。
次に横架材の竹ひごを通す面を平らになるように、天井1面、壁4面を造る事を考えながら、貫通する材は上下2面、留める材はその面のみ、ナイフで削ります。
次に削った面に、竹ひごを貫通する所に鉛筆で15mm間隔程度に印を付けて行きます。その後、キリで記しの部分に孔を開けます。虚士にとっては、この作業が一番辛いものでした。手のひらには豆ができました。
淡竹を鉈で小さく割って、自分の膝に厚布を敷きこの上に割った竹を置きナイフで削ぎながら、竹ひごにして行きます。
いよいよ緊張の組立作業です。四隅の支柱となる部分に大きめの竹ひごを刺し黄色い小竹を貫通させで竹ひごを覆い柱とします。長方形のかご形状がおかしく無かったら、四隅の支柱竹ひごの上下を地獄ほぞ状にして留めます。
この後、竹ひごを4壁面、天井面に1本1本差し込み、長さを合わせて切断して、撓ませ小竹横架材に押し込んで行きます。竹細工の最後に、入り口として、人間の手が入る程度の幅の小竹を下にした櫛状の上下する扉を付けます。(両端は固定された竹ひごに取り付け、上部横架材は貫通孔で竹ひご櫛がスライドします)
この後は、材木の板で竹かごに合わせて、台座を造ります。アクセサリーとして、泊まり木を2本南天の軸木で造り、かごにセットします。
最後に、下げ紐を天井中央部の横架材に取り付け、針金で引っかけ金具を作り、取り付けて完成です。虚士は、見よう見まねで作りましたが何とか完成させる事ができて、兄達の仲間になれた様な気分になりました。 終わり
(この話は実話に基づいていますが、細部の記憶が怪しいので ”小説”としました)