MacのCMを見て思ったこと
2020年2月28日に公開されたApple JapanのCMを見て感動したので、久しぶりにnoteを書きます。
最近、ニンテンドー wiiの企画に深く関わった玉樹 真一郎さんの『コンセプトのつくりかた』を読み終えたばっかりだったので、コンセプトてなんぞやと考えなおしているところに、このCMを見ました。
30秒の映像/音楽の細部がコンセプトに収束していて、Apple Japanが伝えたいことすべてが伝わってきて感動してしまいました。
個人的に大好きな中村佳穂さんの「アイアム主人公」が曲として使われているのが僕の熱狂度を上げた気がしますが。
まだこの世界にない物語をMacで
題名なので、これがApple Japanのコンセプトの最も伝えたいことだと思います。
『コンセプトのつくりかた』の作者、玉城さんによれば、コンセプトは母国語で20字以内で表現されるものであるべきとされています。
コンセプトとは、その言葉を見ればやるべきこと/なすべきことが他の人にもわかる/伝わる、いわばすべての原動力となるような言葉と説明されてます。
このCMの映像は、様々なアニメの登場人物がMac Bookらしきノートパソコン(ラップトップ)を使用しているシーンで構成されています。見たことのあるアニメのワンシーンだったり、登場人物が何かをしようとMac Bookを使用しているシーンがいくつもあります。
つまりアニメ映像のサンプリングです。
いってしまえば、(どう魅せるかに徹底的にこだわっている)一大ブランドが、映像を引用してきて編集しているのですが、これって昔ならありえないけど、Youtube以後なら受け入れられる価値観だなと感じました。(もっというとHip Hop以後)2次創作というのは当たり前で、オリジナルが絶対的な価値を持つわけではなく、それがどういう文脈で、何と提示されるかで受け取り方が変わってくる。
この映像ですが、アニメを切り貼りするだけなので、多少動画編集ソフトの知識があれば誰でも作れるものです。音楽と映像をリンクさせたりさせなかったりといった絶妙なヘタウマ具合がCMのクオリティを上げているように感じました。見ている人が自分にも作れそうと思えるというか、友人が面白いもの作ったよっていって見せてくれたような親近感を感じました。
アニメそのものは作り込まれたものですが、こうやって組み合わせるだけでもクリエイティブなものを作れるんだよ、というメッセージにも思えました。
Macが主人公に
アニメ映像ということもあり、押し付けがましくなくMac Bookが画面中央に押し出されています。いってしまえばMacが主人公であるかのようなシーンで構成されています。こういう目線でみれば、アニメの主要人物とともに、Mac Bookが使われているという広告になりうるのだなぁと感心しました。有名人が製品を使っているという従来の広告との対比が、アニメキャラ(ある種有名人ではあるが)がMac使っていることで、滑らかな広告効果に感じました。しかもそれらは、意図的にAppleで作られたアニメではなく、自然発生的にアニメ制作の中でMacが登場したものを引用しているに過ぎない。
アニメをあまり見ないので、サンプリングされたアニメのコンテクストが重要な意味を持っていれば的外れな部分も多かったり、もっと他の意味があったりするかもしれません。
アニメのシーンにこんなにMacが入り込んでいるという表現と、まさかAppleがこんなラフな編集(既成のアニメを編集して提示する)を行わないだろうという僕のバイアスが一種の驚きになって感動したんだと思います。