見出し画像

高校空手道部、痛い思い出「メンホーの防御力は低い」(格闘技を始めるかもしれない息子に伝えたいこと25)

 高校時代、部活でしていた伝統派空手の顔面寸止めルールの組み手は、バイオレンスだった。

高校時代の部活、伝統派空手について

 伝統派空手には、組み手競技(以下、組み手)と型競技(以下、型)の2つの種目がある。
 組み手は、顔面寸止めルールと呼ばれるルールで行われ、文字通り顔面は寸止め、強く叩くと反則になる。顔面以外の場所はライトコンタクト、それなりの力で突いたり蹴ったりしてよい。また、フェンシングや剣道のようにポイント制で、突きか蹴りを頭か胴に「気合いの発声」と同時に綺麗に当て、引き手までしっかりしてやっとポイントとなる。
 型は、先人達が残した一連の決まった技の動作を間違いなく演武する競技で、1人で演武する個人型、5人で演武する団体型がある。
 そして、僕が所属していた部活は、型の練習をメインとしていた。確か、週4回部活があって、うち1回が組み手練習がメインで、他の日は型練習がメインだった。
 試合への出場は、希望制で組み手のみ出場してもいいし、型のみ出場しても、両方の競技に出場しても良かった。僕は、型を疑問視していたので、基本的に組み手の試合のみ出場したかった。しかし、団体型は人数が揃わないと出場できないため、出場したい人が出場できるために、人数合わせで出場していた。

伝統派空手の組み手はバイオレンス

 組み手は、ポリカーボネート製のフルフェイスの頭部防具メンホー、ゴムと布、綿でできた薄手のグローブ拳サポーター(以下、拳サポ)、ウレタン製の胴部防具ボディプロテクター(以下、胴)、文字通り金的を守る金的カップを着ける。
 フルフェイスの防具を着け、拳にも薄手とはいえグローブを着ける。しかも、顔面寸止めルール。バイオレンスは無さそうに思える。
 しかし、現実は甘くない。伝統派空手寸止めルールとはいっても立派な格闘技。
バイオレンス。

1.メンホーの防御力が低い
 顔面寸止めルールだから、強く叩かれる状況を想定していないのかメンホーの防御力は低い。強く叩かれると、ポリカーボネートは凹み、空気を介して衝撃が頭に届く。鼻血は出るし、マウスピースをしていないから口内を斬るし、顎や首を痛める。
 鼻血でメンホーの内側が赤く染まることもざらにあった。
 バイオレンス。

2.防御技術の練習が非常に少ない
 顔面寸止めルールでポイント制だから、強く叩かれる状況を想定しておらず、相手より先に早く突きか蹴りを当てる練習が重視される。
 少なくとも僕が所属していた部では、形だけの受けの練習はしたが、組み手で使える受けの練習もしくは、受けを組み手で使う練習は無かった。
 有効な防御技術を練習せず殴り合う。
 バイオレンス。

3.矛盾を抱えている顔面寸止めルール
 顔面寸止めルールは、顔面を強く叩いてはいけないが、審判に見えるようにしっかりと叩く必要があるという矛盾を抱えている。しかも、相打ちはポイントに入らないため、相手よりも少しでも先に叩く必要があり、寸止めを意識しにくい。結果、実際の試合では割と力の入った威力のある突き蹴りの応酬となる。
 バイオレンス。

4.顔面相打ち地獄
 顔面への上段突きは審判に見えやすくポイントが取りやすいので、積極的に狙う選手が多かった。
 ある試合で、僕と相手選手は顔面への上段突きの相打ちを5回以上繰り返した。
 勝敗結果は覚えていないが、帰り道に寄ったラーメン屋でラーメンを食べようとしたら、顎が痛くて少ししか口が開けられず、苦労したのを覚えている。次の日は、鞭打ちのように首が痛くなった。
 バイオレンス。

 今は、状況が変わって安全な競技になっているかもしれないが、僕が高校時代に部活で経験した伝統派空手はバイオレンスだった。

 しかし、伝統派空手の組み手技術は素晴らしい。伝統派空手出身のMMA選手、堀口選手は、伝統派空手時代に身に付けたステップなどの技術を使いUFCで活躍し、今はRIZINで大活躍している。


いいなと思ったら応援しよう!