【雑記】 格闘技における計量オーバーについて
7/19、翌日のPrime Boxing 9の前日計量が行われました。
中谷潤人選手、田中恒成選手、那須川天心選手、いずれの選手も非常に状態が良いように見えました。
しかし、田中恒成選手の対戦相手、ジョナタン・ロドリゲス選手がまさかの計量オーバー。
計量会場に現れた時から丸刈りで絞りきれていないように見える上半身、そしてその不安げな表情から嫌な予感はしていたのですが、まさかでした。
再計量まで2時間の猶予が与えられましたが、体調面の悪化から再計量の秤に乗ることはなく、試合中止が発表されています。
原因と正しい減量法
最近の格闘技界の減量法を見ていると水抜きに期待し過ぎている風潮があると思います。
そもそも前提として1~2ヶ月かけて体脂肪を削ぎ落とし、一週間前からは塩分制限、そして計量前日、直前で水抜きを行うのが一般的です。塩分は水を溜め込んでしまうので、塩分制限をすることで水が抜けやすい体になります。
このように周到な準備を積んだ上で初めて水抜きで水が抜け、計量をパスできます。
ロドリゲス選手の陣営によると、来日時までは体重管理は順調だったようです。
しかし、水曜日の調整でロドリゲス選手に痙攣が起き、スポーツドリンクを摂取したことで体重オーバーに繋がったとのことです。
結果、本計量で2.9kgのオーバー。再計量にはたどり着くことすらできない状況になりました。
来日時における調整状況は完璧だったとのことですが、どこまでが本当のことかはわかりません。
再発防止に向けた取り組み
現在、JBCは試合30日前、14日前にリミットを設定する事前計量制を検討中とのこと。
この制度は日本王座や挑戦者決定戦などタイトルに関係する試合が対象になるとのことです。
事前計量制は先日の井上尚弥選手vsルイス・ネリ選手の試合でも導入されていたことは記憶に新しいです。
この制度の検討に対し、元IBF世界ミニマム級、元WBA世界ライトフライ級王者の京口紘人選手は、「(計量)失敗の前科がある選手に限る、にしてもらいたい」とポストしています。
個人的には、日本国内で戦ってきた選手がこの計量法に慣れいざ世界に出るとなった時、相手の外国人は直前で落としてくるため、体格差が顕著になってしまうのではないかと思います。
計量オーバーの体重分によって、階級を1階級、または2階級以上強制的に上げさせるなどの措置のほうが適切かもしれませんが。
そしてもう一つ大切だと思ったのはリザーバーの存在です。
もちろん、リザーバーも命をかけて体重を落としてくるわけですから、難しい問題ではありますが、興行に穴が空いてしまうのは興行主、お客さんからしても厳しいものです。
今回は1試合のキャンセルでしたが、2試合でこれが起こったら、と考えると興行自体が成り立たなくなってしまいます。(もちろん、今回のように世界戦が1つでもなくなってしまうのは非常に痛いですが。)
まとめ
相手も命懸けで体重を落としてきているわけであり、計量オーバーは決して許されることではありません。
どうしても命に関わる状況でこれ以上体重を落とせないと判断したのであれば、運営に連絡を入れるなどして早い段階で棄権を申し出れば、相手選手への負荷も多少なりとも少なくなるかもしれません。
私もアマチュアボクシングの大会へ出場する際に減量をした経験があるため、減量の厳しさはわかっているつもりです。
プロとして戦う以上、計量オーバーは決して許されないと思います。
スーパーフライ級戦線が活発化する中で、田中選手の仕上がりもとても良く見えただけに、非常に残念な結果となってしまいました。
選手の命が第一優先であることには変わりありませんが、同じことが二度と起こらないことを願っています。