どこにも行けない魚と僕 ーベタの飼育日誌ー
一人暮らしが寂しくて「ベタ」という熱帯魚を家にお迎えしました。
とっても優雅でかわいいです。
お食事中のアインくん(名前の由来は後述しますね)。
彼のおかげで家に帰るのが2割増しくらいで楽しい今日この頃。
今回の構成はこんな感じです。
0)前回の投稿について
1)ベタを飼おうと思った経緯
2)名前の由来
3)どこにも行けないのは水槽の魚だけではない
0)前回の投稿について
嬉しいことにスキが付いたり同じ発達障害の当事者からコメントをいただけたりしました。
ありがとうございます!!
反応があると励みになります!!
顔も名前も知らない人と距離も時間も超えて緩やかに励まし合えるのはインターネットのよいところですね。
1)ベタを飼おうと思った経緯
① 一人暮らしが寂しい
魚が泳いでる家とそうじゃない家なら前者の方が賑やかでいいです。
② 初心者でも飼いやすい
すごい見た目の魚ですが、酸素を取り込む力が強くまた、意外に丈夫です。
必要な手入れも週に一回ほど水を3分の1ずつ入れ替えて寒い時期にはヒーターを付けてあげるくらいです。
③ 生きていく理由を1つ増やしたい
親兄弟と数少ない友人が悲しんでくれるかも知れませんが、僕の死にはきっとそれ以上の反響はないでしょう。
アインくんの生死は完全に僕が握っています。
配偶者も子どももいないのにこんなに簡単にスリリングな関係を築けるなんて、わくわくします。
アインくんが元気に泳げるこの水槽を守るべく今日も生きていこう。
④ ベタの習性が双極障害っぽくてシンパシーを感じた
綺麗な見た目ですが、喧嘩っ早い性格で他の魚と一緒にすると闘う衝動を抑えられない魚です。
また、元気よく水槽から飛び出して死んでしまうこともあります。
(自殺対策用にちゃんと蓋の付いた水槽で飼っています。)
着飾っているのに情緒が不安定で攻撃性を隠し持っている様が気に入りました。
この飼い主にしてこのベタあり、みたいな気概でいます。
2)名前の由来
最初のペットなのでドイツ語で「1」を意味する「アイン」と名付けました。
シンプルでしょ?
太郎よりは捻ってるし口にしたときに呼びやすいので悪くない。
あとは、こちらの一人と一匹の関係への憧れがありました。
(左のコーギーの名前が「アイン」です)
当方、少々オタクっぽいところがあるので…
悪しからず。
この一人と一匹がメインではありませんが、「犬の秘密を知る唯一の少女と機能面から完璧なバックアップをする犬」という関係が大変美しいです。
3)どこにも行けないのは水槽の魚だけではない
「ねえ、アイン。君は一生この水槽の外へは行けないんだよ。この水槽で毎日ぐるぐる泳ぎ回っているうちに君の寿命はどんどん消耗していく。そしてこの中で力尽きるんだ。それってどんな気分だい?」
そんなことを語りかけて遊んでいたら気付きました。
水槽の魚と僕も置かれている状況は大して変わらないのではないか?
似た相似形の構造の中でジタバタもがいてるだけじゃないのか?
文字だとよくわかりませんね。
いらすとやの力を借りて図解するとこんな感じです。
魚は水槽を離れることができませんが、僕だって社会を離れて生きていけない訳です。
たまに「ここではないどこか」を夢想してしまいますが、それは実際には手にどどかない選択肢ですし。
【脱線】
「ここではないどこか幻想」との上手な付き合い方だなーと感じた映画です。
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017)
低めのレビューが多いですが、プロモーションがよくなくて普段あまり映画を見ず『君の名は。』的な爽やかエンタメを求めて見た人の理解が追いつかなかったのだと思います。
主人公とヒロインが多様な「あり得たかも知れない別な世界線」を何度も乗り降りするも結局はすべてガラス玉の外側の出来事だと悟る。
電球のフィラメントは「IF」の形に煌めく。
演出面でやり過ぎな部分もありますが、描き出したテーマは儚く美しいです。
話を元に戻します。
僕の現実に対するスタンスは
どこにも行けないことをあまり深刻に嘆く必要はない
というものです。
水槽の中の魚は果たして不幸なのでしょうか?
あれはあれで一種の完結した幸せの1つだと思います。
社会を離れて生きていけないことは不幸なのか?
まあ、嫌なこともありますが悪いことだらけではないでしょう。
完全なる離脱はできなくてもちょっとずつ居心地よくする工夫を入れる余地はあります。
家でベタを飼い始めたのだってそうした工夫の1つです。
どうせ離れられない檻なのだから、檻の中の居心地をちょっとずつよくしていきたい。
家に水槽を置いてそんなことを考えた土曜日でした。
おしまい
投げ銭されると、とてもうれしい