276日目(2023/12/01・金)
歩車分離式信号の考察(※長文)
急に論文調なタイトルを付けて頭でも打ったか!?…と思われた皆さん、ご安心下さい。
ネジは元より飛んでおります。
何故歩車分離式交差点について記事を書こうと思ったのかと言いますと、以下のTwitterのような出来事があったからです。
受講生の保護者さんがお越しになり、「ちょっとそこに車停めてますので、せっかくなので授業終わったらうちの子乗せて帰ろうと考えてます」との事で、普段より筆者は早めに指導を終えまして、「天気も悪いし車まで付き添うか!」と受講生の子と一緒に交差点へ向かったところ、丁度小学生がご近所の塾さんから出てきたところで、信号待ちをしておりました。
歩行者信号が青になる前に、車輌側の信号が黄色から赤になるタイミングで正面右前から右折車輌が抜けたので、安心しきったのでしょうね。
歩行者信号が青信号に変わったのだけ確認して、足元の水たまりに雨粒で波紋ができることに目線を集中させたまま盈進小学生が交差点に進入してしまいました。
しかし、抜けた一台の後ろからもう一台交差点の真ん中に溜まっていた右折車輌が急いで抜けようと加速して横断歩道に乗り込みました。
『右折もう一台来てっぞー!!』
奇しくも筆者は普段の毎朝の定位置と同じ立ち位置での信号待ちでしたので、咄嗟の事でも慣れでちゃんと声が出ましたね。良かったです。
女の子は「えっ?」と右前方へ顔を上げて、小さい声で「わっ」と一歩引いて身じろぎしました。あの速度なら死にはしないでしょうが、ラグビー選手に全力タックルを喰らうような衝突でしょう。まぁ無事故セーフです。
ただ筆者としては「あぁ良かった」、と解決済みにしてはいけないと感じております。そう言いますのも、ほぼ全く同じ状況を、今夏、朝の交差点において筆者の目の前で目撃したからですね。
参考までに過去記事をば⇩👐🐂スサッ
・141日目記事 : (https://note.com/bovin_pensant/n/nf16e56b92f21)
夏休み直前の出来事でしたね。
今回も同様に、対向の先頭右折車輌が信号が黄色に点灯したタイミングで右折しようと交差点の真ん中へ少し前進したところ、反対車線から直進車輌が終わりかけの黄色信号に対して加速して通過したことにより、右折のタイミングが遅れ、筆者や小学生が待機する横断歩道に歩行者信号が青になる瞬間に進入しました。
それだけならまだ良かったのですが、前述の右折待ち車輌が交差点の中央に前進した際に、後続車輌も停止線より前へ横断歩道の真上に乗る形で右折待ちの列となってしまっていたので、交差点内から急いで抜け出そうと、完全に歩行者側が全面青となったタイミングで交差点に頭から突っ込んできたんですね。
信号待ちの小学生は一台過ぎたのを確認して安心しきって足元の水たまりを軽く飛び越えて渡り始めて次の水たまりへ視線を落とした状態でしたから、呼び止められなければほぼ間違いなく接触していたでしょう。
半年も経たないうちに、ましてや四六時中監視している訳でもないのに同様の危険状況を2度も目撃した以上、事故が実際に起きてしまうのも時間の問題であるように思います。
危険箇所である屋地本町交差点は、町内でも珍しい歩車分離式の交差点です。他に設置箇所はございますかね?自転車で動き回った記憶を思い返しても思い当たらないのでひょっとすると、唯一かもしれませんね。
そもそも歩車分離式の交差点とは何のために設けられているのかという話から始めましょう。警察庁や鹿児島県警のHPを確認したのですが、普及率の話ばかりでそもそも論の記載が見当たりませんでしたので、JAFさんのページの紹介を参考にしたいと思います。
一昔前は、大型車輌のドライバーが左折をするときに、助手席側を走り抜けて横断を開始する小学校低学年以下の身長の低い横断者を視認することができずに、どデカい車輪で左折時に巻き込んで即死させるような事故が頻発していた為に、左折(右折)車輌から横断者を完全に分離させて事故を防止する目的で歩車分離交差点の設置が始まったものと筆者はこれまでの学びの場で見聞きした記憶があります。
しかしながら、筆者が交差点で毎日旗振りをしていて思うには、分離されているという歩行者側の安心感からか、或いはドライバー側の焦りからか、切替わり時に注意が散漫になっているように思います。
この問題を誰が解決し得るかと言いますと、現場の司法警察職員さんは、交通法規通りに運用と取り締まりを行うより他ありませんから、交通法規そのものを、或いは、法規命令でなくとも、スローガンレベルでもっと組織の上の方から呼び掛けることが求められているのかもしれませんね。
スローガンと言いますのは、火事のときの「押さない、かけない、喋らない」や、駅などの「エスカレーターでは小さなお子さんと手を繋ぎましょう」といったものを念頭に置いております。
わざわざ法律では規定はされておりません(多分)し、反故にしても罰則はないですが、広く周知されていますよね。
では、手段としてはスローガン運動で一応良しとしておきますが、肝心なのは呼び掛ける中身です。どのようにしたら筆者が目撃したような危険状況の発生が防げるでしょうか。
筆者が考えたものを障壁の少ないものから順に、呼び掛け対応と整備対応、ルール改正の3つの案をそれぞれ簡潔に書き連ねたいと思います。
まずは、呼び掛け対応です。
筆者が目撃した危険状況はいずれも直進車輌がどう考えても進入時に信号が赤に変わるタイミングであるにも関わらず交差点内目がけてアクセルを踏み込んで加速して進入してきたことにより、対向の右折車輌が曲がるに曲がれない状況に追いやられた為に、発生しております。
現行の道交法上でも、停車できないタイミングで切替わった際には黄色信号でも交差点に進入することが許容されておりますが、停止線までに十分な距離があるにも関わらず急加速して突っ込むことは許されておりません。
無理な進入のしわ寄せが横断者を危険に晒していることを、想像力が乏しいドライバーに向けて教育することが大事でしょう。
次に、整備対応です。
毎度舞台となる屋地本町交差点はスクランブル化はしておりません。さつま町民にしか伝わらないかもしれませんが、ちょうど交差点を対角にして盈進小学校への通学路と宮之城中学校への通学路が逆方向にのびておりますので、この対角方向にだけのみ斜めの横断歩道を設けるという案です。
「どうせなら全面スクランブル化したら良いのではないか」という意見も出るかもしれませんが、浅慮です。全面にすると斜め横断同士で自転車等の衝突事故が起きる可能性があるのであくまでも学生が一番通る方角の斜め横断歩道1本が理想的です。
メリットとしては、これまで2段階横断を強いられていた学生さん達が斜めに横断できることで、単純に横断距離が短縮できるんですよね。
歩車分離は車輌を全面的に止める時間が渋滞を生み出すデメリットと表裏の関係にあるため、横断者側の青信号の時間が短く設定されております。
しかしながら、1辺が1mの正方形をイメージして戴ければ説明が早いのですが、2段階横断ですと1+1=2mの横断距離であったところが、斜め横断ですと対角線の√2mすなわち約1.414mに短縮できるんですね。
つまり横断に要する時間が短くなる分、歩行者の信号が青になるまでの間に空白の歩車全面赤の時間を設ければ、車輌が抜け出す時間も確保できることになります。
スクランブル化は現行法上も許されているところですし、良いアイデアだと思われるのですが、町のお偉いさん方いかがでしょうか?
最後に、これは現行の道交法上に反するので改正が必要になりそうですが、歩車分離式でかつ、スクランブルでない交差点、つまり整備しないままの現状の屋地本町交差点においては、横断側の信号が青になったときには右折待ちの車輌は交差点の内部に停車して待機していても良いというルール改正です。
ドライバーの側からすれば、赤信号になれば急いで交差点内部から退かなければと焦るところでしょうが、冷静に考えると停車車輌の側面方向の車輌も赤信号で歩行者の信号が切り替わるのを待っている状態ですから、交差点の真ん中で右折待ちの車輌が待っていたところで何者の進行も邪魔していないんですよね。
歩行者側が赤信号になり、側面方向が青になったタイミングで右折待ちしていた一台が素早く退避した方が、歩行者青信号時に横断歩道へ突入するよりも危険度が少ないのは言うまでもないでしょう。
理屈の上ではそうなのですが、現行法上交差点内は速やかに退避すべきとされている(たしか)ために、筆者が目撃したような横断中の歩行者目がけて右折車輌が急いで加速して通り抜けようという動きに繋がってしまうのではないでしょうか。
ひょっとしたら、改正にあたっては、筆者が見落としている弊害があるのかもしれませんが、法改正に携われるような上の立場にある人がスクランブル化していない歩車分離交差点の実情に即したルール整備に取り組んでくれると良いなぁ、などと考えております。
特に子どもの人命にかかわることでしたので、4,000字に迫る熱い意見文となってしまいましたが、これだけの長文を最後まで読んで下さった読者のアナタ様、お付き合い戴き有難うございました。
以下、ただの宣伝です。 「さつまぐん文化経済研究室」という学習室事業を行います。 受験勉強その他教養、受講生の疑問に幅広くお応えします。 中学受験から大学受験、公務員試験まで自身の経験を活かします💪🐂 保護者さんに宣伝する機会がない為、 世間話で出して戴けましたら幸いです。