違っていてもうまくいく
価値観が合う人とはうまくやっていける。
これはたいていの人間関係にあてはまる。夫婦、恋人、友人、家族、ビジネスの場でも。価値観が合えばコミュニケーションはスムーズだ。
「価値観が合う」とは、生き方、家族、仕事、趣味、お金などの考え方がお互いに近い状態を意味するのだろうけど、わたしにはちょっとした違和感がある。
「人の価値観が違うのはあたりまえ」という価値観をお互いがもっていれば、それも「価値観が合う」っていうことになるよね、と考えている。
「人の価値観が違うのはあたりまえ」と思っていれば、お互いに考え方が違っても、イライラしたり、悩んだり、ストレスを抱えたり、ということは減るのでは?
ザックリいうと、こんなスタンス。なんとなく突き放したように聞こえるかもしれないけど。言うなれば、これはポジティブな諦めだ。
わたしとオットは、このスタンス。「なんとも冷たい夫婦だねぇ」なんて声も聞こえてきそうだけど、あたたかい夫婦だと思っている(わたしは)。
いつも一緒に行動する夫婦ではなく、お互いに「他人感」をキープ。それでもまわりは、わたしたちを仲良し夫婦と呼ぶ。
ラッキーな夫婦だ。
たぶん「人の価値観が違うのはあたりまえ」という価値観を共有しているから、うまくいくんだと思う。まぁ、この境地に達するまではいろいろあったけど。人間関係なんてどこもいろいろあるでしょ。第三者から見たら分からないだけで。
わたしとオットは自分だけのテリトリーを広めにもっていて、お互いそのテリトリーには入らないようにしている。
この距離感が心地いい。
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先日、5人のお子さんをもつ「面白あったか父さん」のinfocusさんが、こんなnoteを書いていた。
infocusさんご夫妻は趣味も性格もあまり似ていなくて、お互いに違う点のほうが多いんだそう。
「違いを楽しめるようになるとさらに夫婦は楽しくなる」、この部分にズキューン。そうそう、そうなのーーー!infocusさん、よくぞ書いてくれた!と共感しまくった。infocusさんの手をとってブンブンしたいくらい。
夫婦の違いを楽しんでいるinfocusさん一家の日常はいつも賑やかで、読んでいるとニコニコしちゃう。この記事では、奥様への愛情があふれんばかり。
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infocusさんご夫妻のように、わたしとオットも、性格、趣味、好みがまったく違う。車の好みだけは辛うじて一致。
オットは甲殻類アレルギー(刺身はOK)なので、わたしが大好きなエビ、カニ、貝類などは一切食卓にはのぼらない。別々に料理しても、その煙やエキスでアレルギー症状が出てしまう。
だからオットが出張になると、我が家では連日のように海鮮フェスが開催され、ここぞとばかりに食べまくる。
映画の好みもオットとは合わない。2人だけで映画を観たのは1度だけ。それも、結婚前のデートのとき。映画はバラバラで観に行く。同じ日に映画館に行ったとしても、2人とも違う映画を観る。
それがイイ、わたしたちの場合は。
趣味も合わない。オットは剣道、わたしはゴスペルで、お互いまったくカスりもしない。唯一の共通点は、剣道とゴスペルは両方とも「声を出す」ことくらい。
最初はお互いに気を遣って、剣道の試合を見に行ったり、ゴスペルライブを見に来てくれたりしてたけど。お互い機嫌よく趣味に打ち込んでいるんだから、それだけで立派立派、干渉無用!ということになった。
オットもわたしも趣味の日になると、いそいそと準備を始め「じゃあねー!」という感じで出かける。練習後、仲間うちでご飯を食べてきても一切お咎めナシ。自由にやって!
それがイイ、わたしたちの場合は。
近所の公園でのウォーキングもバラバラに行ったりする。30分の時間差で、とか。オットは自分の歩きたいコースがあるし、わたしはPodcastを聞きながら歩きたい。だから、あえて別々で。
ウォーキング中、公園内で偶然会っても「ヤッホー!」と手を振るくらいで、またそれぞれのコースを歩いていく。
このスタンスがいい、わたしたちの場合は。
お金の管理もバラバラ。生活費や教育費のための口座は共有していて、家族用の貯蓄はしているけど、自分専用口座についてはお互いに詮索しない。個人名義のカードの明細も、お互いに見せる必要は一切ない。
隠しごとがあるわけではないけれど、夫婦だからってすべて見せる必要はないよね、という考え方。
これくらいの距離感がいい、わたしたちの場合は。
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あらためて書いてみると「居心地のいい距離感」が、オットとわたしではピッタリなんだと思う。2人とも自分のテリトリー(それも広い)は絶対に守りたいタイプ。
もしも、どちらかが相手とずっと一緒にいたいタイプで、もう1人が距離感をとりたいタイプだったら、アンバランスで息苦しくなるんだと思う。そういうのを、距離感についての価値観が合わない、というのかもしれない。
子どもについての問題や、相手がヘルプやサポートを求めてきたときには、ググっと距離を縮めて問題を解決する。それ以外は、お互いに自分のテリトリーを守る。
だから、四半世紀以上も一緒にいるというのに、実はオットのことをあまり知らなかったりする。むこうもそう思っているかも。
「人の価値観が違うのはあたりまえ」という価値観をお互いがもっていてよかった。そのおかげで、オットと一緒にいても居心地がいいし、うまくやっていけるんだと思う。
どうかオットも同じ思いでいますように、と願ったところでこの記事を終えることにする。