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ゼンソク

 北九州市は以前から公害の街として有名だった。日本有数の重化学工業都市だったからであろうか。今はだいぶ汚名を返上しつつあるが、喘息が多い印象のある街だ。
 幼い頃、従妹が北九州市に父親の都合で引っ越したら喘息にかかり、大阪に転勤になったら治ったという。
 飲み屋の向こうのほうで大の大人が3~4人盛り上がっているのを聞き耳たててたら、どうも喘息自慢をしているらしい。いつから喘息とか、どうあるとか。全員喘息持ちみたいである。
 うちの妻も喘息持ちである。今のマンションに引っ越してから喘息が出始め、薬は常に携帯しておかねばならない。ちょっとした煙やほこりでやられるのである。
 広島の実家で夏に花火をしたところ、煙を吸って喘息になってしまい、夜一睡もせずに朝まで起きていたことがある。また何かのほこりにやられて、救急病院に行くのに、こっちは酔っぱらっていたため運転できずに、苦しむ本人が運転して病院に行ったこともある。今なら救急車を呼ぶところだが、当時は当方も認識不足で苦しい思いをさせた。
 ホームセンターで働いていた頃、喘息の薬の多用で店のトイレで亡くなった従業員がいた。もっと早くにしっていれば、それなりの配慮もできたと、今は思う。
 喘息の薬はステロイド系で強いのである。1日に何回までと決まっているのだ。
 うちの子供たちは幸い喘息にはなっていないが、馬鹿にできない怖い病気なのである。
 アレルギー性のものなので基本完治することはない。ただ先に書いたように、住む街を変えたらあっさり治ってしまうこともよく聞く。
 オーストラリアの空気のうまい所へでも引っ越したいところだが、なかなかしがらみがあって、この土地から離れられない。
 上手につきあっていくしかなさそうである。
 

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