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大掃除

 大掃除といわれても、サザエさんの漫画でみたような大掃除は、いま時どこでもやっていない。畳を剥がして、外でホコリをたたいたり、床や柱を水拭きしたり、障子を張り替えたり、昭和前半期の風習である。
 今や窓はサッシで、風呂はユニットが当たり前になっており、畳や障子なんてない家はザラである。
 それに夫婦共働きが多いので、年末休みになったからといって、では家の大掃除をしましょうか、なんて、そんな気にはならないのである。
 それよりも年末年始、どこに遊びに行こうか、とその準備に忙しいのである。
 せめてキッチンのレンジ周りくらいは油でギトギトになっているかもしれぬと、掃除を試みるが、市販品のフィルターのおかげで、案外綺麗なもので、たいして時間もかからない。もっとも念入りに掃除すれば別ではあろうが。
 最近はレンジフードもエアコンも自動洗浄装置が付いていて、10年か20年は放ったらかしでいいいそうである。いい世の中になってはいるが、その分お値段も付加価値がついて高いのは言うまでもない。
 大抵のご家庭は、大掃除をしようと試みるのは女性で、男性は自家用車の掃除をするのが、せいぜいである。妻の力が強いご家庭や、よくできたご主人のいるご家庭では率先してご主人が、風呂やトイレ、外回りの清掃を行う。
 そういうご主人がホームセンターで、高圧洗浄機を買ってくる。これでしつこい汚れも落ちて万々歳となるのである。
 ホームセンターもそこは十分理解していて、高価な高圧洗浄機や、スチームクリーナーなどを大量に仕入れて、荒稼ぎをするのである。
 3万円くらいするのが、10台くらい1日で売れてしまう時もあった。これは高圧洗浄機という機械を宣伝してくれたジャパネット○○田さんのおかげに他ならない。
 それにしても大掃除で3万円の商品をポンと買ってしまうのだから、結構金持ちは多いものである。とはいえ廉価版の高圧洗浄機もあるのだから、そこは販売の技術が必要である。
「それでもいいんですけれど、こっちのほうがいいですよー」
 と、お客様を高いほうへ誘導するのである。するとお客様もどうせ買うのならいいほうを買おうか、ということになるわけである。
 実際一軒家であれば、外壁など、みるみる綺麗に汚れが落ちていくのだから、欲しくなるのも致し方ない事ではあろう。
 我が家はマンションなので、そんな高価なものは必要ない。安い小さいものを妻のお姉さんから借りてきて使ってみた。見事にベランダの床の汚れが落ちていく。タワシでも落ちるが、能率が違う。
 それをしばらく借りていたが、使っていると、水漏れがし出したので、下手をすると部屋の中を濡らしてしまうと思い使用をやめた。それ以来物置の中へ仕舞い込んでいた。そしてほとぼりが冷めた頃捨てた。あとは妻が説明してくれたようだ。
 
 
 

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