バスガイド
妻はバスガイドである。車で僕が運転して横にのせると、交差点等で、必ず大声で、「右オーライ、左オーライ」と叫ぶ。付き合い始めた最初、その大きな声にビックリした。そして必ず自動車のことをバスと言い間違える。
仕事は朝早いことが多いので、昔はタクシー通いで、会社が出してくれたのだが、最近はせちがらくなって交通費の大盤振る舞いがない。
それで僕が通勤前に送っていくことが多かったのだが、いまや隠居して、車も売り飛ばしてしまったので、送り迎えはできなくなってしまった。
そこで仲間の車に便乗させてもらったり、バス会社の寮とかホテルに(カネが出る時は)前泊するようにしている。
バスガイドもシーズンというものがあって、秋が一番仕事が多い。一般旅行は勿論修学旅行が多い。だから9月下旬あたりから12月上旬まで家にずっといないことが多い。休みもほとんどない。
そのかわり、6,7,8月や1,2,3月は皆無である。丘の上の河童状態である。若い頃は、その閑散期に他の仕事を掛け持ちしていたこともあったが、今は体を休めている。
ところが周知の如くコロナのせいで、仕事がなくなってしまった。ようやく昨年の秋からボチボチ入り始めたものの、修学旅行のキャンセル等が相次ぎ、なかなかうまく軌道には乗らなかったようだ。それでも11月はほとんど休みなしで働いた。
だから今年は修学旅行がずれ込んで忙しくなりそうな予感である。それだけではない。GOtoキャンペーンもある。コロナがこのまま収まってくれれば一気にシーズン関係なく忙しくなるだろう。
いい加減歳なので、躓いて怪我でもしたら、昔と違って大事に至ることもあるので心配なのだが、バスガイド仲間はほとんど同世代か少し下のおばさん集団なので、そんなに心配することもないのかもしれない。
心配なのはむしろ運転手で、定年後の臨時雇いの運転手がいたりする。突然心筋梗塞で運転中に気を失わないかという不安がある。そういう爺さん運転手が多いのだ。勿論働き盛りもいるし、若い人もいる。若いお姉さん運転手がいるにはビックリしたが。
本人はまだまだ働く気旺盛で体力も十分あるとは思うのだが、なかなかシーズンのいい時季に2人で旅行に行くのは難しそうである。それが少し寂しい。