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恐怖(ショートショート)

 ドサドサッとでかいビニール袋から、俺たちは透明な箱の中に入れられた。これから何が起こるのかさえ分からない不安が全身の震えを起こした。
 俺は隣のターボーに不安をぶちまけた。ターボーは大きな口を開けながら、笑っていた。しかしその実は恐ろしさのあまり震えていたのだ。
 集団でこんな箱に入れられ、身動きさえできない。ひょっとしたらこのまま生き埋めにされるのだろうか。そんな恐怖を感じながら、俺は狭い空間の中を起き上がろうとした。誰かの顔を踏んづけたようだ。「いたい」と誰かが言った。俺は声のしたほうに謝り、立ち上がった。周りは巨大なガラスのような壁で覆われている。近くによってさわれば、それがプラスチックであることはすぐにわかるはずだったが、ここからの距離ではわからない。
 どこかで見た事のある男がニタリと笑いながら俺の方へ近づいてきた。
「お前、ここがどこだか知らないみたいだな」
「お前は知っているのか」
 俺は驚いた表情でその男を見た。
「あんた新参者ね」
 俺の後ろから女の声が聞こえてきた。ミニスカートをはいたセクシーな女であるはずだったが、三頭身のそのでかい頭をみると、滑稽であった。
 よく見れば、峰不二子だった。デフォルメされたその体、なぜそんなに滑稽な姿をしているのだ。男の方は、ルフィだった。特徴のある傷のある顔に麦わら帽子、パテントは大丈夫なのだろうか。
 埋もれた人の中から、悟空が顔を出してきた。
「何だ新入りか。おら、悟空だ。よろしくな」
 鳥山明からクレームはこないのだろうか。あきらかに不思議な連中だ。
「おっ、そろそろくっぞ」
 悟空がいった。峰不二子もルフィもターボーも俺も空を見上げた。
 巨大なクレーンが天井から動き出した。そしてそのまま横にスライドして俺たちの方に降りてくるではないか。俺たちは逃げようにも身動きができない。哀れ、俺は着物の裾がクレーンに引っかかり、そのまま吊り上げられた。
「炭治郎!」
 ルフィが叫んだ。そうか俺は炭治郎だったのか。今自分が誰であるか知った。そのまま俺は運ばれ、穴の前でクレーンが開き、穴の中へと吸い込まれていった。
 滑り台のような洞窟を滑り落ちるとあの巨大な箱の中から出ることができた。巨大な子供が俺を掴み喜んだ。
「パパ、ありがとう。今度は禰豆子をとって」
「お父さんはUFOキャッチャー得意ね」
 母親らしき人物がそういった。

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