歯の記録
息子が親不知になった。痛いらしいので、歯医者に行って抜いて貰え、といって送りだしたら、炎症がひどいので、炎症を抑える薬をもらってきたとのこと。炎症が収まってから、抜くのかと思ったら、どうやら抜くことはしないようで、ちゃんとはえてくるまで待つようである。
僕が息子と同じ歳の頃、同じように親不知で痛がっていた時は、歯医者で、有無を言わせず、4本とも抜かれた経験があるだけに意外だった。
確かに虫歯でもない歯を抜くのは、あまり褒められた話ではないだろう。30年の月日が経って、歯医者のやり方も変わっていく。
だから僕は28本しか歯が無い。健康な何事もなかった人の歯は32本である。僕は4本抜かれた以外はまだ無事なので、28本である。
実は割と最近まで、といっても15年ほど前くらいだが、僕の歯は29本あった。乳歯が残っていたのである。外側に少し飛び出した格好で、何とか抜かれぬように踏ん張っていた。それが母親の誕生日で、外食した際に、肉を噛んだ矢先、抜けてしまった。痛くもかゆくもなく、あら、という感じでとれた。
娘が小学生高学年の頃だったか、歯医者に行って、同じように乳歯が1本残っているのが見つかり、父親もそうだと娘が言うと、医者から「それは遺伝ですね」といわれたらしい。血は繋がってないのに。その歯は外れて隙間ができたので、差し歯を作った。
息子も乳歯が1本同じように残って、抜けて、隙間ができ、差し歯を入れた。これは正真正銘遺伝であろう。
僕は抜けた跡はそのまま。カネのかかることは嫌いだし、そのうち目立たなくなるだろうと思ったら、案の定、目立たなくなった。しかし他の歯より隙間は広いので、食い物がすぐ挟まってしまう。これには毎度閉口する。
これから歳を取って歯が悪くなっていくのだろうか。それがちょっと気がかりではあるけれど、なるだけ28本残して死んでいきたいと思う。
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