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店舗のエアコン

 ホームセンターに入社した頃、冷房は水冷式だった。あまり聞きなれないだろうけれど、屋上に設置したクーリングタワー(冷却塔)を使用していた。だから夏場前になると、中のフィルターの掃除とかをしなければならなかった。
 屋上に簡単に昇れる店ならいいのだが、電信柱をツタって昇るような恐ろしい店も中にはあった。また烏のふんまみれになっている店もあった。店の天井とはいえ1室に置かれたクーリングタワーがあって、機械も半分壊れたような状態で置かれ、まるでナウシカのワンシーンのようなものもあった。
 このクーリンウタワーも最初の頃はいいのだが、だんだん年を重ねると、なかのパイプが詰まってしまい薬剤を入れて処理しないと壊れてしまう。それも毎年業者を呼んでやって貰わないといけない。怠ると、店内に水がこぼれだして来たりして、厄介なことにになる。
 また満遍なく冷気が伝わればいいのだが、空気の排出口から遠い所は暑いなどの不都合があった。
 冬はストーブである。店の四方に業務用のストーブを置いて、店全体を暖めるのだが、だんだん店のレイアウトが変わり、四方に商品を置いたりするようになったので、消防署から注意を受け、ストーブは置けなくなった。寒さに関しては、厚着するしかなく、来店されるお客様も嫌だったに違いない。
 その頃新店は空冷式のエアコンで、夏も冬も快適だった。早くそっちの新しい店に行きたいものだと思っていた。
 15年くらい前に一斉に空冷式のエアコンを全店設置することになった。でもその頃は既に空冷式を設置している店にいたので、自分としては関係なかった。
 メンテナンスはそれでもちゃんとしなければならない。エアコンフィルターの掃除である。定期的に決めて掃除をするようにしていた。
 ところが新体制で、店の正社員が1店当たり半分くらいに減らされることになった。人が辞めたせいもあるだろうが、人件費削減が大きな理由だったようだ。そうなると最早フィルターの掃除なんて誰もしなくなった。したくてもできないのである。電気代も上がるだろう。新しい仕組みを作ってそれらをうまく解決しなければならないのだろうけれど、なかなかうまくはいかないものである。いずれにしてももう僕には関係ないけれど。
 

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