バブル世代
1人暮らしの頃、自分で弁当を作って出勤していた。弁当といってもせいぜい玉子焼き、ウインナー、ブロッコリー、冷食のおかずくらいなものではあったが。
配達で回る仕出しの弁当屋の弁当は安いのだけれど、すぐ飽きる。やっぱり自分で作った弁当は、昼休みになるのが楽しみになるくらい、おいしかった。
友達2人も真似をして、弁当を作ってきたが、インスタントのカレーとごはんだけとか、ほぼ米で、おかずはきゅうり一本とたくわんだけという何時代の弁当ですか、みたいなのを持ってきた。それもほぼ毎日。
僕は仕出しの弁当が嫌で自分で弁当を作るようになったのだが、彼らはカネを浮かせることを主な目的にしており、若いだけにそんな弁当でも腹さえ満たせればよかったのである。
ではカネを浮かせて何を買うのか、というと、バブルの時代である。車である。女の子を誘っても恥ずかしくないスポーツカータイプの自家用車を買うのが目的であった。
当時の僕が勤めていた会社は、みんな若くて、独身が多かった。しかも休みが少なくて、その分給料に跳ね返ってきていた。だから少し節約すれば、ローンで、いい車が買えていたのである。
これは好きな奴は車、買うだろう。今では懐かしいホンダ・プレリュードやトヨタ・ソアラ、日産・シルビア等々。
僕はどちらかというと、そういうことには無関心で、車は使えればいいくらいにしか考えていなかったので、車は親父が乗っていたカリーナを譲ってもらった。カネは預金した。
バブル期だったので、預金したカネが翌年利息を生んで、ボーナス期には、2回ボーナスをもらえるような気分であった。
その頃現在の妻に出会い、結婚する。弁当は愛妻弁当へと変わる。バブルもはじけた。
それから30年、みんな妻子持ちになってしまうと、車は全員軽自動車に代わり、少ない小遣いで酒買ってウサをはらしていた。
あのバブルっていうのは何だったのでしょうかねえ。