真実の眼3(快傑サッソー)
3人で行きましょうと言っておきながら、李麗春は先日の男たちを連れてきた。
「殴りこみにいくわけじゃあないんだけど」
ホウがいった。
「だって人数が必要な場合があると思ったの」
そう色気まじりにいわれるとホウもサッソーもこれ以上文句もいいようがない。
「それにしてもここはどこだ」
双眼鏡で向こうを見ながら、ホウがいった。エリア79はダダっぴろい砂漠の真ん中のしかも地下にあるらしい。
「これじゃあ隠れる場所もないな」
サッソーがいった。
「大丈夫よ。1日に物資を運ぶトラックがあるの。それに乗っちゃえばいいのよ」
「つまり強奪しろってことね」
ホウがいった。
「時間は決まって午後3時きっちりに、あそこのゲートを通るの」
なるほど砂漠の中にゲートがあり、歩哨が2人控えている。基地の周りはグルリと有刺鉄線を張り巡らせた金網で人が入れない様にしてある。ひょっとしたら電気が流れているのかもしれない。
「その方法しかなさそうだね」
サッソーがいった。
「で、地下の中の様子については何か情報はあるのかな」
「誰も入ったことがないんだから無理でしょう。あの歩哨や物資輸送の運搬人に聞いたとしても無理でしょうね。彼らさえ教えられてはいないはずだから」
「ぶっつけ本番でいってみますか」
ホウがいった。サッソーは渋い顔をしたが、当たってみないとどうにもならないことを理解し、賛同した。
果たして午後3時前、トラックが基地にむかってやってきた。それを李麗春が止めて、横からサッソーとホウが出てきて運転手と助手を車から降ろすと一撃で気絶させた。麗春についてきた島の連中は後ろのドアを開けて入り込んだ。後ろには物資だけで、人は乗っていなかった。
麗春も後ろに乗り、サッソーとホウは変装してトラックを運転していざ、ゲートへ向かった。
ゲートではパスカードの提示が義務付けられているが、サッソーの得意な変装で、気づかれずに通過することができた。
いよいよ搬入口に入り込み、車は地下へ、といいたいところだが、1階で荷物を下ろして、ハイ、サヨナラということになっているらしい。
いきなり強行突破か、とサッソーが思うそばから、アメリカ兵がトラックの荷台を開けた。するとザブの連中がいきなり襲い、失神させた。さいわいあっという間の出来事だったので、下に知られることはなかった。
全員、エレベーターで下に降りた。地下15階まであるようで、どこで降りたらいいかわからない。
「こういう時は一番下まで降りて上がってくるのが正解でしょうね。命の保証はないけどね」
ホウがいつもの戦闘服である忍者コスチュームに着替えいった。サッソーも忍者服にいつの間にか着替えていた。
地下15階の扉が開いた。機密文書と思われるようなファイルやマイクロチップ他が保管してある部屋のようであったが、鍵がかかって中には入れない。それでも暗い通路を歩いていくと、果たして人と出会った。すぐさまとびついて相手の口を塞ぎ、サッソーが、真実の眼のあり場所を聞いた。捕まったアメリカ人は震える手で向こうの方を指さした。
「この階でビンゴだったんじゃない」
麗春が喜んで行った。サッソーは男を気絶させ隅に隠して、指さした方向へ先頭を切って歩いた。
少し歩くと突き当りに部屋があり、どうやらここが、そうであるようだった。鍵は開いていたので、いとも簡単に入ることができた。
「誰だ」
奥から声が聞こえてきた。
「真実の眼を取り返しに来た」
サッソーがいった。
「なに、お前ら、ウチで雇った奴らじゃないか。なんで今度は取り返そうとするんだ」
どうやら最初の依頼主だったようで、ちょっとバツが悪かった。
「ちょっと事情ができましたんで、ようするに、あの宝石はザブ島の宝だから、そこへ返さなないと、大変なことがおこるんですよ」
ホウが答えた。
CIAの男は黙って見つめていたが、やがて、こっちへこいと合図した。全員ついていった。
行った先に特殊なガラスケースのようなものに入れられた真実の眼があった。
「いろいろ調べてみたんだが、この物質は地球上の物質ではない。おそらく隕石かなんかでザブ島に落ちてきて、神からの贈り物として今まで崇められてきたのだろう」
「放射能とかは」
ホウが聞いた。
「放射能はない。当初はわからんが、何百年と経っているようだからな。これと同じものがザブ島にももう1つあり、神の像の眼となっているらしいことは聞いた。だが問題はこの宝石が2つ揃えば、恐ろしいことが起こるということだ」
「どういうことだ。ザブ島の人間は2つ揃わないと恐ろしいことがおきるといった。まるで逆じゃないか」 <つづく>
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