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母、スマホを買う

 母親の家の固定電話が壊れた。ノイズがひどくてお互い何を喋っているのか聞き取れない。妹婿の元高校の同級生がわざわざ見に来てくれた。彼は学校の先生だったが、今年の春に一足早く退職してしまっているので、暇だった(お互い様だが)。
 彼の見立てによると、電話機に異常はないようで、外線がどうも悪いのだろうということになった。NTTに修理ということになれば、幾らかかるかは知らないが、結構な額になりそうだ。何しろこの家が建ってから、線なぞ誰もいじっていないから、かれこれ50年は持ったことになる。
 そこで母親はスマホを急に欲しくなる。あれだけ薦めてもスマホはわからんから嫌だと、固定電話で事足りていると、首を縦に振らなかった御仁が、88歳にして何という変わり様だろうか。スマホにして大丈夫か、確認したら、大丈夫だとのこと。入院になった時も便利だから、という。なるほどそういわれればそうだ。
 早速ソフトバンクにスマホを買いに行った。小倉で買って、婆さん用に僕がカスタマイズして、広島まで持って行くつもりだ。送るだけでは、ちゃんと説明しないとわからないだろうから、実家で1つ1つわかるようにレクチャーしなくてはならない。
 まあ通話とLINEくらい覚えておけば、問題はないだろうとは思うが、一通りは説明がいるだろう。
  スマホを買ったあと、家に母親から電話が入った。NTTが無償で修理してくれたんだそうだ。そういえばノイズ音が鳴っていない。今更スマホはいらんとかいわれても困る。それはいるとのことだったので、次の日持って行くことに変わりはない。ほっとする。
 思わぬ実家帰りになった。8か月ぶりである。友人に連絡を取り、カラオケボックスで2人、ギターを鳴らしながら、夜、遊んだ。その話は後日。


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