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セリンクロ錠

 酒を流石に飲み過ぎている。自覚がある。昼間から飲んでる。時間がある。なので、ついつい飲み過ぎてしまう。これはいけない。心療内科の先生にアルコールは控えるようにいわれているのだ。
 だからといって酒を飲むのをやめるのは、なかなか厳しい。正直にその先生に告白したら「ではこの薬を」といってドラえもんの秘密兵器を出すかのように、サラリといった。
 セリンクロ錠10mg。これを酒を飲む前に飲めば、あまり飲みたくなくなるらしいのだ。どういう理屈かはわからないが、将来的には、全然飲まなくてもいいや、というところまでいくらしい。
 とにかくまずは試してみる。まさかこんな薬があるなんて、ビックリである。アルコール依存症の飲酒量低減のための薬だった。この薬を処方できる医者はアルコール依存症に係る適切な研修を修了した者だけに限られるらしい。さすがに心療内科、いや精神科だ。そこまで勉強していたんだ。見てくれは不潔なおっさんだが、ちゃんとした医者だった。それにしても何だか怖い薬のようだ。
 ともかくビールをとりあえず500mℓ飲んだ。何となく誘導されたようにビールをまた飲もうとは思わなかった。日本酒を冷やしてたので、日本酒を飲んだ。特に飲まなくていいや、という風にはならないぞ?ハテナ。2杯目飲んじゃうZo。
 あまり変わらない。何となく飲みたくなくなるのだろうか。はて。そうでもないけれどな。どうなっているのだろう。仕組みがわからない。早く酔っぱらっちゃうのかな?そうでもなさそうだ。このままいつものように飲みそうだ。でももう家にはビール1本しかないから、それで終りだ。カネもねえ。
 翌朝、何とも不快な気分で目が覚める。二日酔いではない。多分。でも何となく気持ち悪い。食事も喉を通るのだが、何か冴えない。ビールが飲みたくないか?といわれれば飲みたい。けれど飲まなくてもいいかな、という気もする。その何ともぼやけた感じが、この薬の効果なのかもしれない。
 何だかよくわからないけれど、これなら酒を止めれそうな気がする。なんとなくだけど。


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