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冤罪

 今年も残すところ、あとカレンダー1枚になってしまったが、今年も数多くの有名人が亡くなった。センセーショナルだったのは、やはり安倍晋三元首相の死であろう。あれは衝撃的であった。国葬がよかったかどうかなんて、僕には答えは持っていないが、歴史的に名を残した人が亡くなった、しかも狙撃されて。これはやっぱり今年一番の大事件であろう。
 他にも仲本工事、アントニオ猪木、村田兆治、三遊亭円楽、ミハイル・ゴルバチョフ等一世を風靡した方々が亡くなっている。
 そんななか、あまり気づかれずに、ひっそり死んだスーパースターがいる。かつての西鉄ライオンズのエース池永正明である。高校時代、甲子園大会から大活躍をし、そのまま西鉄に入り、いきなり20勝をあげた。その後も活躍し、5年間で99勝、300勝は固いとまでいわれた大エースであった。
 それが有名な黒い霧事件で八百長をしたとの疑惑がもちあがり、現金100万円を預かったことは認めたため、プロ野球永久追放になった。その後、中洲にバーを開くが、池永を応援するファンや各有名人がたくさん訪れて、復権運動に発展する。
 2005年、それらの運動が実って、彼は復権したものの、あれから35年が経っている。もし黒い霧になどに巻き込まれなかったら、本当に300勝していたかもしれず、そう考えると悔しい35年であった。池永があのまま活躍していたら、西武ライオンズは誕生することなく、西鉄ライオンズのまま福岡にいてくれたかもしれない。そしたらパリーグの勢力図もだいぶ変わったもになっていただろう。その意味でも彼は大きな存在であった。
 彼の人生を見ていると、苦悩の35年間は何だったのだろうかと悔やまれてしかたがない。本人はそれについて何も語ってはいないようではあるが。いまさら恨み節をいっても、仕方のないことではある。
 今年の9月25日、がんのため逝去。
 通算成績6年間。103勝65敗。防御率2.36。

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