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年末の田舎のホームセンター
この時季のホームセンターは年末の需要で、忙しい。僕が田舎の店にいたころは、年末の3日間で、1000万円売り上げがあがっていた。もっとも今は競合店も出来たので、そこまで売り上げは伸びてはいないだろうけれども。
とにかくその頃の店は忙しかった。レジ3台をフル回転させて、サッカー(作荷、当時はお客様にではなく、従業員が商品を袋に入れていた)をレジごとにつける。それが1日フル回転である。主に売れるのは掃除用品、正月用品、暖房器具である。
年末だから、何やらクレームとか事件とか起きないようにハラハラしながら、接客をする。案の定、クレームは必ず来る。それも店が悪いのでなく、ほぼお客様の使用の間違いによるものが多い。
一例をあげると、餅つきの杵がボロボロになって、モチがくっついて食えなくなったけど、どうしてくれる、というもの。杵は前日に十分水に浸からせて使わないと、そんな風になるのだ。丁寧に売場の人間がそう説明して対応するけれど、相手は収まりがつかなくなっている。仕方なく、杵だけ交換してあげることにした。それで満足して帰っていった。
田舎なものだから、年末年始、都会から子供や孫が帰ってくるので、その準備にも忙しい。毎年の事なのに、何で同じものがこんなに売れるのだろう、と不思議に思う。
当時はウチの店以外は、こういう店が他になく独占状態だったので、とにかく神経質になった。忘れ物や落とし物、お客様が年配の方が多数なので、それも心配である。無事に新年を迎えることに神経を尖らせた。
釣銭も何故かこの店のお客様は1万円を使う人が多く、5000円札を所望するので、いつもより余分に5000円札は準備しておかなければならなかった。おそらくお年賀やら、お年玉で、5000円札が行きかうことになるのだろう。
ポチ袋も切らしてはならない。わずかな金額ではあるが、店の信用に関わる。ポチ袋に関してはおそらく全店一売り上げがあったと思う。大した金額ではないが。
今思えば、あの緊張感が懐かしい。今は何処の店も昔ほどの売り上げもなく、クレーム等も激減しているようだ。休みも多く、残業はない。若い従業員には夢のようなホワイト企業である。経営の方も上手にやっているようだ。知らんけど。