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親子で風呂に入る

  同じ会社のS君から、仕事終わりにひとっ風呂浴びに行きましょうといわれて、初めて、家の近くのスーパー銭湯に立ち寄った。帰りに一杯というのはよく聞くけど、ひとっ風呂浴びに行きましょう、なんていわれたことはないので、最初とまどった。タオルの用意も何もないけれど、タオルは風呂屋で売っていた。もっとも僕はせこいから、車の清掃用に入れていた雑巾代わりのタオルを使用したような気がする。
 風呂は気持ちよかったが、習慣柄、長風呂はしなかったので、早く出た。それがS君は気に入らなかったようである。当時は風呂の楽しみ方なんて知らなかった。コーヒー牛乳を飲んで別れた。皆車通勤だったからである。
 それ以来、僕も息子を連れて、そのスーパー銭湯にちょくちょく寄るようになった。サウナに入って、水風呂浴びて、だんだんと風呂の楽しみ方を覚えていった。
 息子は幼稚園だったが、相当気に入ったようで、友達にも勧めていたようで、お父さんにおねだりしていってきたという子もいたようだ。
 最初はスーパー銭湯で満足していたが、だんだん物足りなくなり、温泉巡りをするようになった。九州山口は温泉どころである。至る所に温泉名所がある。
 それについては別の稿で紹介しているので、ここでは書かない。「温泉」というタイトルで書いているので、できれば読んで下さい。
 温泉に行ったのはたいがい妻とだが、息子が暇なときは連れて行った。息子との風呂での会話というのはいいものである。男同士の会話もできる。これで酒でも一緒に飲めたらいいのだが、大人になった彼は下戸で、そのうえ病気で、これはお互い様なのだが、酒が飲めなくなってしまった。それでも息子がいるというのはいいものだと風呂にはいるたびにそう思う。
 娘も息子も結婚する気配がないので、孫の顔を見ることは未だ叶わないが、孫でもできて、一緒に風呂屋にいくのもきっといいものだろうな、と思う。そんな日がくればいいのだが、望みは薄いかもしれない。
 

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