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土の歴史の物語『ラタナキリブルー』世界唯一のブルージルコンを探して‐後編

採りつくされたと噂も聞かれたカンボジア・ラタナキリにある宝石・ジルコン「Ratanakiri(ラタナキリブルー)」
前篇では、ブルージルコンの宝石について触れてきました。さて、後編ではいよいよ発掘について、現地の様子からご紹介していきます。

近年は、ラタナキリ近辺は欧米やアジアの企業団体が協業し銅など鉱物の採鉱と調査も進んでいるよう。関心が寄せられるのは、欧米からラタナキリブルーを求めて小規模のグループが定期的に採掘にきている点だ。ラタナキリブルーの無限の価値を知る彼らの独自の嗅覚こそ、と現地に足を踏み入れた。

手つかずの自然と美しい大地が現在も残るラタナキリ

Ratanakiri州の湖畔

バンルンの南、森の中に採鉱キャンプがある。ここに訪れるには、現地の人の協力が必要不可欠といえる。カンボジアはその地域によって公共交通機関が未発達な土地も多くある。なかでもラタナキリは首都プノンペンから飛行機も電車も現時点では整備されていない。(※飛行機は一昔、運航していた情報もあるのが現在は不通)

プノンペンから車1台をチャーターし、赤土の大地を進むこと9時間。

マーケットの赤土は、むき出しで水溜まりと埃と、独自の風情を醸し出す

採鉱所に近い市場に到着。ここのマーケットには、先住民であるタムプアン族、クルン族、ジャライ族、カチョーク族、ブロー族らが朝早い間に集落から市場に出向き、商いをしている。

気さくに撮影に応じてくれた女性

現在はみな、衣服を纏っているが少し前までは民族衣装を着ていたそうだ。欧米からは、こうした彼らの生活に関心を寄せてフィールドワークをする人も多い。

ゴムの木が目安?

首都プノンペンから移動し、現地入りした日はすでに夕方。採鉱所は道なき道を現地の人の誘導で行くしか手段がない。訪れたのは夏。カンボジアは雨期の時期。スコールの影響もあり、その道は車も通れない「Muddy(粘土のようなヌメヌメとした粘着性の土)」だという。よって、一行はバイタク(バイクタクシー)で行くことを勧められる。

ゴムの木、か細い木の幹は、ナイフで傷がつけられ、樹液を出す
ゴムの樹液

命がけの採掘現場

地下約4.5メートルの沖積層に入っていく狭い坑道から、労働者たちはせっせとラタナキリ・ジルコンを採掘している姿がみえる。

2001年にリチャード・W・ヒューズ氏が当時のラタナキリでの採鉱所の様子を振り返り、「いまだに昔ながらの手作業で採掘が行なわれている」その事実を伝えていた。実際、採鉱所は、無数の穴が広がり、それはすべて手作業で現在も行われていることが一目瞭然。

採掘をする穴

採鉱所で働く夫婦の一組が説明してくれた。穴の深さは30m~40m。命がけで赤土の中から鉱物をみつける。時に命を落とす人もあり、危険な作業であるのだと話した。この土地ならではの宝石ラタナキリブルー(ジルコン)を見つけるのは容易ではない。

家族で採掘する様子ー男性が穴に潜り、女性は宝石を売る

この手のひらにある大きく茶色の石もラタナキリブルーだというが、研磨すると粉々になり、市場に出回るのはごくわずか。この地では、アメジストや、水晶も発掘されるが6~7カラットほどの大きさのラタナキリブルーを手にするにはやはり、現地こそ。

しかし、美しいラタナキリブルーは地元警察と地主の強力な関係性で守られている。このことは言わずもがな知れたことだけれど、観光スポットにもなりえない秘密の場所であり続ける理由もまたこの関係性が影響している。

みなさんが一つは身に着けているであろう宝石・ジェムストーンは、こうした彼らの努力と、その土地の持つ何十億年もの歴史と月日を得て今にあることを感じていただけただろうか。宝石はと尊い。すばらしい経験となった。

ブルーの宝石 ラタナキリ

Jewelry Bougainvillea
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