母乳寄り混合を目指した私が完ミになった話
「完全母乳だと大変そうだから混合でいいかな〜」
「母乳だとお金もかからないしな〜」
「ミルクだと心象悪いかな〜」
と思い、産前特に調べることもせず、出産してすぐ文字通り死ぬ思いをして、結局完ミに至る記録を残します。なお、冒頭のセリフは完全に嘘でした。
現在完全ミルクで赤ちゃんを育てていますが、全く!後悔していません!!!
酒も飲めるしミルク代わってもらえるし!!
以下私が完ミになるまでの流れと、完ミについてつらつら書いていきます。ぜーんぶ私個人の感想です!長文です!
▼母乳寄り混合を目指した私が完ミになるまでの流れ
・産前
母乳寄り混合を目指した時期
妊娠中のリスクや出産にあたっての心得などはとんでもない量調べたが、産後は全くイメージがわかず、タイトル通り「母乳多めミルク少なめ混合」を目指そうかな〜とふんわり思っていた。
理由は
・母乳の方が金銭的によさそう
・でも完全母乳だと自分が辛そう
・お出かけのときや夜間はパパにミルクあげてもらえばいいかな♪
今思えば完全に混合を舐め腐ったものだった。
とにかく「混合を目指す」旨を助産師さんに伝えると、乳頭マッサージ(妊娠後期に突如出現するタスク。乳首をマッサージして母乳分泌を促したり子宮収縮させて陣痛に繋げる)に励むよう助言される。真面目なので毎日湯船の中で30分近く励む。
が、「なんで自分の乳首をこねくり回さないといけないんだ……?」「いくら母乳のためとはいえ痴女ですか……?」と、うっすらとした不快を感じ続けていた。今思えばこの時点でディーマーっぽかったんだと思う。
※ディーマー(D-MER)とは、母乳育児中に授乳の際に不快感や不安などの感情が起きる症状。不快性射乳反射とも。
・分娩〜産後直後
完母でいけると思った時期
私は先述した通りかなり真面目な人間なので、毎日欠かさず乳頭マッサージも会陰マッサージもオイルパックもやっていたが、子宮口ゼロcm・誘発分娩・会陰バリバリに裂けた。この世は無常。
しかし乳頭マッサージのおかげなのか、元々のポテンシャルが高かったのか、分娩台ですでに初乳を与えることに成功。助産師さんは私が混合を目指すことを知っているので、母乳が出ればそれはそれは偉業達成レベルで褒めてくださった。
これに気を良くした私は「このままならすぐ完母目指せるんじゃないの?♪」「完母なら完母で楽そうだし♪」とどんどん母乳沼にハマっていくことになった。
・入院中
混合の辛さを知った時期
子を産んでから24時間も経たないうちに「赤ちゃんで〜す!どんどんおっぱいあげてくださ〜い!」みたいなことを言いながら助産師さんが我が子を部屋に連れてくる。いや、え?さっき産んだんですけど。あと、2日前から一睡もしてないんですけど。
母乳って産んだら出るもんじゃないんすか?と目を白黒させているうちに始まる母子同室。
私が寝たか寝てないか、疲れてるか疲れてないかは赤ちゃんにとって無関係。
延々と泣き続ける子、出ない母乳、でも母乳はあげないと増えない、1回片乳10分ずつ、どんどん痛む乳首、肩、腰。しかし子は泣き止まない。
朝も夜も関係なく、オムツを替えて、1回10分ずつ(両乳で20分)の授乳をした後に足りない分のミルクを足して、オムツを替える。一連の流れでだいたい1時間かかる。これが3時間おき。
地獄!?!?!?!?!?
ちなみに私が分娩した病院はまっっっっっったく母乳信仰ではなくて、なんなら預かりもミルク対応もオールオッケーな優しいところだった。
そして私は産後すぐに喘息を発症し、母子同室どころではなくなった。これが原因で入院中に頻回授乳(※どんどん母乳を与えることでどんどん分泌されるという人間の神秘。じつは母乳は産んだら出るものではないのだ)ができず、お世話の仕方もよく分からんまま退院することになる。
・退院後〜2週間健診
ディーマーと体調不良に悩んだ時期
ありがたいことに私は里帰りしており、かつ実母が完母・混合・完ミすべて経験している神様で、さらに退院が正月休みと被り、しかも実父も弟もめちゃくちゃ手伝ってくれるという最高の環境だった。家事もせず、自分のご飯のお世話までしてもらっている最っっっっっ高の状態でも、混合はマジでマジでマジで辛かった。
育児にプラス喘息の症状も相まって、睡眠不足にも程があるほど眠れていなかった。産後1週間の累計睡眠時間は10時間ほど(1日1時間ちょい!?!?!?)で、ここまで眠らないと人は頭がおかしくなる。
10時の3時間後を15時と言い出したり、ご飯を食べたことを忘れたり、トイレに立とうとして冷蔵庫を開けたり。今となってはほぼ記憶もない。
そして先述した「ディーマー」がどんどん悪化していった。
母乳をあげると言葉にできない嫌悪感がある。赤ちゃんに対して気持ち悪いと思ってしまい、直母(※直接母乳を与えること)のときにYouTubeを爆音で流したり、パンを食べながら授乳したり。
ディーマーは授乳する女性の約9%が経験すると言われていて、そんなに珍しくもないらしい。
助産師さんに相談したときも「そういう人いるわよ〜!」の一言だった。ただし自分たちの親世代より歳上の人や、男性はあまり馴染みがないかもしれない。
ディーマーでなくとも直母すると子宮収縮の痛みはあるし、乳首も擦れて痛い。母乳分泌がはじまると胸は熱を持って固くなり、それもまた痛い。
私は運良く乳腺炎にもならず終わったが、長時間母乳を出さなかったり感染したりすると胸が岩のようになるらしい。ヤバすぎねえか?
産んだのに痛いことばっかりやないか……やってられるか!!という感じ。
2週間健診前に書いた日記を見返してもしんどさが伝わる。
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・2週間健診〜1ヶ月健診
完ミになった時期
2週間健診前に喘息が悪化してステロイドの内服が始まった。これをきっかけに混合育児を目指す!!!!なんなら完母!!!!の意思がかなり弱まった。
今まではディーマーという自己都合(私が我慢すれば母乳を続けられる)な理由だったが、服薬というある種「仕方ない」理由ができたからだ。
※喘息治療でも母乳育児は続けられるらしいけれど、自分の感覚として薬を飲むのに母乳はちょっとな〜と思った。妊娠中に生魚食べるか食べないか、みたいなレベルの話。
2週間健診で助産師さんにこれまでの経緯を説明すると、「じゃあ1ヶ月健診まで胸が張らない程度に搾乳して、徐々に完ミにしましょうか!」と言われた。
思わず涙がこぼれた。
授乳は私にとってすごく不快で、自分の命を削っている感覚が辛かった。眠れなくて、ずっとお腹がすいていて、ミルク代より私の菓子パン代の方がよっぽど高くついた。授乳すると我が子を気持ち悪く思ってしまう。やめたかった。すごく、やめたかった。
でもいざ目の前に「母乳をやめる」「完全ミルクになる」選択が出てくると、またウジウジ悩んでしまう。
母乳の方がいいんじゃないか。免疫がつくし。赤ちゃんとの愛着形成にもなるし。みたいな理由を頭の中に浮かべては消して、最終的にはこれは本能なんだろうな、と思った。
冷静に考えれば、現代の粉ミルクはたくさんの会社がたくさん研究してできたもので、私の血液から作られる母乳よりも栄養がたくさんあると思う。免疫の部分だって、初乳を与えているからそこまで意固地になることはない。お金のことも、先述した通り私の菓子パン代の方がよっぽど高くついている。あと、菓子パン食べすぎてむしろ体重は増えていた。
それでも、そんなに辛くても母乳をあげたいのは、母としての本能なんだと思う。
子を育てるために自動で身体がつくり変わっていくこと、母乳の分泌が始まること、どんなに眠くても小さな赤ちゃんの声で目が覚めること。
全て本能で、だからこそ人は母乳についてもんんんんのすごく悩むんだろうな。
こうして2週間健診の数日後に、今日で最後と決めた直母をほんの少しだけ行って、あとはミルクで大きくなってくれよ!と私の母乳人生は幕を閉じた。
ちなみに、最後の直母すら嫌悪感はあったので、いよいよディーマーだったんだな〜と。あんまり感動的な終幕ではなかった。
▼混合育児は甘くない
私は里帰り出産での育児だったが、混合〜完母を目指すのは体力的にも精神的にも無理だった。
混合は楽そうなイメージがあったが、むしろ逆。
そもそも、
混合=母乳をあげるときとミルクをあげるときがある、ミルクの回に自分は休める
ではなく、
混合=母乳の後に不足した分のミルクを与える、ミルクだけにすると母乳分泌が減るし胸が張って痛すぎるので休めない
だった。もっと混合を頑張って、母乳が軌道に乗ればミルクの回を作って自分が休むこともできたのかもしれないが、その頃には別の理由(例えば哺乳瓶拒否や乳頭混乱※自分の乳首と哺乳瓶の乳首の感触が違って赤ちゃんが困っちゃうやつ)で悩むんだと思う。
乳腺炎にもならず、わりかし母乳分泌も良好で、里帰りで、実母も産院もミルク育児に理解のある、ものすごく恵まれた私でも混合は難しかった。
人によってはもっともっと難しいんだろうな。
母乳ってたしかに免疫もあって素晴らしいものだと思うけど、もっと蛇口捻れば出るような感じにするか、パパが出せるようにするかしてほしいよな。それだと父乳か…………
▼完ミのメリットデメリット
【メリット】
・母体の影響が出ない(酒・薬など赤ちゃんに良くないものを接種できる)
・母体のエネルギーを消費しない
・おっぱいトラブルがない
・つまり甘いものや乳成分も摂り放題
・他の人にミルクを代わってもらえる
・授乳室や授乳ケープがなくてもどこでもあげられる(人目を気にしないでいい)
・飲んだ量が一目瞭然
・ディーマーの場合、母乳をあげるときの苦痛を感じなくて済む
・お腹が空かないので母体は食費がかさまない
・母乳パッドや授乳ブラなどの費用がかからない
【デメリット】
・金がかかる
→哺乳瓶や消毒グッズなど初期投資、乳頭部分がサイズアップするなど途中での費用、月々のミルク代、細かいところだとお湯を沸かす電気代とかもかかる。
2ヶ月児で「ぴゅあ」という粉ミルクの場合、だいたい1缶2000円しないくらい、1週間ちょいで消費するので、月々ミルク代だけで8000円かからないくらい。
・赤ちゃんが泣いたときに「ちょっと待って〜!」が発生する
→後述するが工夫次第でかなり時間は短縮できる。しかし母乳は洋服をめくれば出るわけで、さすがにスピードは負ける
・災害時対応が難しい
→液体ミルクがあるので対応できなくはないが、これも母乳のほうが有事の際に対応できることが多いと思う
・泣いたら母乳ね!ができない
→これは母乳のメリットでもありデメリットでもあると思う。ミルクは栄養価が高いから3時間おき、という説があるので、泣いても3時間は飲ませられない。最近のミルクは3時間あけなくてもいいという説もある。謎。
・夜間対応時にしんどい
→母乳は添い寝していても出せるが、ミルクは作らないといけない
・母乳育児より痩せない?
→これはわからん。私はつわりが酷かったので産前-0.5kgで出産し、現在産前-7.5kg。元々幸せ体型(肥満とも言う)なのでこのまま痩せたいです。
・母乳のほうが健康?発育にいい?
→これもわからん。そもそも遺伝とか運とか赤ちゃんの個体差だと思う。少なからず我が子は便秘もなく、今のところ順調な発育過程を進んでいます。しかしWHOとかのちゃんとした機関が母乳を推奨するんだから、やっぱり「いい」んだとは思います。
・どのミルクがいいのかようわからん
→こんなに値段違うことある!?日本米とタイ米!?ぐらいピンキリ。産院によってはメーカーさんが自社製品をプレゼンしてくるらしい。私は公立病院での出産だったのでプレゼンもプレゼントもなかったけど。
※参考:粉ミルクの比較サイト。g単価も載っている。
▼完ミにおけるライフハック
先述したデメリットにもあるように、ミルクを作るのには時間がかかる。
ここで我が家のミルク作りにおける五種の神器をご紹介したい。
①70°Cで保温できるポット
調乳(ミルク作りのこと)は殺菌のために70°C以上のお湯で作る。でも沸騰したてだとタンパク質が死滅する?とかなんとか、そういう説もある。
毎回ケトルでお湯を沸かすと時間がかかって仕方がないので、ポットは便利。
※参考:70°C以上でミルクを溶かす理由についてのサイト
②湯冷まし
これは私の場合1ヶ月健診で「湯冷ましとか赤ちゃん用のお水で冷やすと早いわよ〜!」と教わったので導入した。
新生児期は量も多くないので、アチアチのミルクを水を張ったボウルにつけておけばわりと早く冷えた。しかし飲む量が増えるにつれ、アチアチのミルクはずっとアチアチのまま。
湯冷まし(1度沸騰したお湯を可及的速やかに冷蔵庫に入れて冷ました水)や赤ちゃん用のペットボトル飲料水、あといろはすとかも調乳に使えるらしい。湯冷ましも開封したペットボトルも、1日で使い切る。かなり便利。
③50ml・100ml用計量スプーン
粉ミルクの缶には20ml用計量スプーンが入っているが、飲む量が140mlとかになってくると、自分が何杯粉ミルクを入れたのか全く分からなくなる。マミーブレイン(産後のボケた頭)では粉ミルクの計量は大変すぎる。
100円ショップで50mlと100ml用の計量スプーンを買うと、だいぶスマートに粉ミルクを計量できる。めっちゃライフハック。
※参考:ダイソーの収納ケースと合わせるともっと便利らしい。我が家ではこのケースも買った。たしかに便利。
④粉ミルクケース
デカスプーンがあったとて、号泣している赤ちゃんの前では大慌て必至。
粉ミルクケースやダイソーに売ってる計量した粉ミルクを入れておくジップロックみたいなやつで、あらかじめ飲ませたい分のミルクを計量しておくとよい。ジップロックを使う場合は外側に「140」とか書いておくと、誰が見ても分かるのでなおよい。
※参考:ダイソーの粉ミルクストッカー。レンジ消毒もできるらしい。
⑤レンジで消毒できるやつ
煮沸なんかしてられないし、ミルトンとかはちょっと買うのが面倒なので。レンジに入れて500w5分で消毒できる。
ちなみに最近Pigeonの哺乳瓶はレンジ対応不可になったらしい。よくわからんけど。
※参考:我が家のはこれ
上記5つの神器を使い、
・粉ミルクを計量するorジップロックから消毒された哺乳瓶に入れる
・ポットの中のお湯を注ぐ
・湯冷ましを注ぐ
という調乳作業が1分くらいでできるようになった。むっちゃ便利。オススメです。
※我が家では1ヶ月健診で相談してから全てを導入しました。新生児期から湯冷まし使っていいのか?とかはちょっと分からんので、ぜひプロに確認してくれよな。
▼まとめ
・完母および混合を目指すなら、母乳を出す以外休めるような環境づくりから
・母乳は出るまでが本当に大変
・母乳ミルクに関わらず、育児は周囲の協力が不可欠
・出産はゴールではなくスタートだった
・親族や周りの人が母乳信仰の場合、ミルクにするのはかなり罪悪感があると思う
・べつにミルクは悪ではないと思う
・ミルク代より菓子パン代の方が高い(母乳を出していたときは1日3食大盛りご飯お代わり2回+菓子パン3つ+カントリーマアム大袋ひと袋食べていた)(菓子パンだけで1日400円として30日なので…………)(こわい)
以上!!ここまで6000文字超も読んでくださった方、ありがとうございました!!