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本当にあったかもしれないある配信界隈のありふれた話

そう昔でもない昔、ある配信界隈の駆け出し配信者を推している女性がいました。最初は知っている人も居ないようなごくごく等身大の配信者だった彼は、推してもらうことで自信を得て、その世界の中の大手と呼ばれる配信者とも繋がりを増やし、ランク帯にも乗るようになりました。
次第に彼は応援の価値を忘れていきました。推してもらうことは当たり前。投げてもらうことは当たり前。推して貰えるなら誰にでも「貴方だけ」の言葉を使いました。
好きなだけだった歌をファン限定でなく自己認知が歪んだままに公開で歌うようになりました。何事にもまっすぐで無邪気で、通りすがりの人に挨拶をしてしまうような彼はたったの数ヶ月で変わりました。

そんな中彼が引き抜いてきたリスナーがいました。彼女は元からいるファンに敬意をはらう振りをしながら、配信者の彼に本当はもっと投げたいのにランキング上位に気を遣って投げられないと裏で泣きつき、他の配信者の枠で上位応援者の愚痴を吐き散らかし、掲示板に書き込み、結果として元々彼を推していた女性はアカウントを消すに至りました。彼をトップ100位に押し上げて。
それを引き際にその配信者の元を去りました。もちろん、それを機に新しく来た彼女はトップリスナーにおさまりました。

当たり前を勘違いした彼。
最後まで彼を引き戻そうとした彼女。
配信者にとっては古参の女性はうるさいだけの目障りな存在になっていました。自分に甘いことを言ってかばってくれるリスナーに泣きつき、他のリスナーと共に、道を引き留めようとした彼女を総攻撃しました。
甘言に逃げるのは仕方ありません。彼女がアカウントを消した時、追い落とそうとした女性が高笑いをしたのは言うまでもありません。配信者は次第に路線を踏み外し、元々の繋がりも消え、悪い噂ばかりが目立つようになりました。

最後にかつて彼を推した彼女が耳にしたのは、あの時の彼女が彼によるモラハラでアカウントを消したという話でした。何の感情も抱かずに、彼女はその話を記憶の隅に押しやりました。

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