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最近、金利の本を読んだので、お勧めの本の紹介など

最近、急に注目されている金利・・・
というか、そもそも投資家は金利を見るものみたいですね。
金利はここ最近は、特に日本ではゼロ付近に張り付いていたので、特に気にすることはなく、「とりあえずゼロ金利の中で投資しないとやばい!」という世論の中で、株式投資だけが独り歩きしている感じがしました。
そこで、世界的なインフレが到来。
米国主導で政策金利が急上昇し、突如としてあり得ないほどの円安の到来が・・・
そうなって、ようやく学び始めるクソ投資家・・・
しかし、結局は今しか行動できません。今からでも、金利について学ぶしかないか・・・
そう考えて、とりあえず金利の本を買いました。
特におすすめの本を紹介、というか、買った本を紹介したいと思います。

『教養としての「金利」』(田渕直也)

田渕氏は、多数の著書があり、初心者用からプロ用まで、幅広く書籍を出版されています。
もちろん、僕が読むのは初心者用です(笑)
投資する際に特におすすめなのは、『不確実性入門』でしょうか。
市場に潜む不確実性について、今までの学者や実務家の考察が紹介されており、特に量子力学から不確実性が確実に存在しているということが説明されていて、頭が良くなったように感じます(笑)
また、そういう不確実性が、人間の本能からは受け入れがたいものであるので、ついつい無視して「予想に走ってしまう」、という心理学的な認知の歪みまで紹介してくれます。
相場や市場に向き合う人は、この本を読んでみると、とりあえず相場の根本的な構造や仕組みが理解できると思います。

田渕氏の書籍は他にもありますが、この『教養としての金利』も、初心者から中級者くらいまで理解できるように、優しく解説してくれています。
また、内容がコンビニのサンドイッチに挟まっているハムより薄いインフルエンサーの本とは違って、時代を超えて通用するような、普遍的な理論や傾向を教えてくれるのがいいですね。
これを読むことで、自分なりに金利について考えられるようになりました。
結局は、金利はインフレ率が高くなると、インフレ率くらいまで上昇します。米国で最近発生したインフレと利上げでは、一時期インフレ率が9%を付けましたが、その後は急激なインフレとインフレ率がようやく低下したことによって、金利以下のインフレ率まで抑え込んでいます。
「インフレが! 泣くまで! 金利で殴るのを止めない!」というのが、今のパウエル氏の取っている行動ですね。
なぜ、インフレ率まで、金利を上げる必要があるのでしょうか?
簡単な仮定を置いてみます。
金利が2%で、インフレ率が5%だとします。
インフレ率が5%ということは、要するに物の値段が毎年5%上がるということです。(当たり前すぎますが)
つまり、貴金属や、不動産なども「物」なので、5%程度あがるということですね。
そうなると、2%で借金して、不動産や貴金属などを買えば、5%値上がりするわけです。差し引き3%が手元に利益として残ります。
これはあまりに単純な仮定ですが、要するに理論的にはこういうことのようです。
そうなると、まず大量に借りたお金で物を買う、という行為が、インフレ率を引き上げてしまうことになります。
(また、大量に資金を借りたい人が増加するので、需給で金利も上がっていく、という効果をもたらすようです。ただ、これは金融緩和で大量にお金を供給していることで、すぐに金利上昇には動きにくくなっているのかもしれません)
金利も市場動向で変動するのですが、政府が政策によって動かしていくことともあります。
また、金利はただ単に利子率というだけでなく、色んな経済要素が絡んで、「金利」という数字にまとまっているのだ、ということも分かってきます。
特に経済成長率は大きく影響します。
この辺りは、また実際に各自が読んで勉強していただけたら、と思います。
株式投資家でも、あまりなじみのない金利ですが、とりあえず勉強したい、という人に、まず入門として読むには適していると思います。
これ一冊をよく読めば、とりあえず一通りの金利の知識は身に付くと思います。
株式投資には関係ない、という人もいるかもしれません、というか、僕も「株式投資だけでいいから、債券とか別にいいや」という思想でした(笑)
しかし、株式は不安定な分、安定した債券にリスクプレミアムを乗せて、考える必要があります。
こういうリスクプレミアムという考え方は、重要だと痛感しました。
もちろん、リスクプレミアムというのも、「何となくこれくらいかな?」という程度の推計でしかないので、はっきりと導き出すことはできません。
しかし、そういうことを知っているだけで、今なら「債券に対して、株式のリターンのリスクプレミアムはほぼゼロになっているな」など冷静に見ることができます。それならば、株式を買うより、債券を買っておこう、という判断ができます。
リスクプレミアムは微妙な概念なので、あまり精密な運用はできませんが、今のような極端な状況になれば、十分機能すると思いました。
僕はまだ一回通しただけなので、とりあえずまた読み返したいと思っています。

二冊目が『なぜ日本の金利は常に米国より低いのか』(角川総一)です。
著者は著者は長年日本の金融市場に関わってきた人ですが、その長年の経験が、分かりやすくレクチャーされています。
「初心者~中級者まで幅広く」という通り、イラスト屋を使ってややシュールに解説してくれています。
一冊目の『教養としての金利』を読むと、内容が被っているところももちろんありますが、こちらの方が解説が詳しい印象です。
まあ、本の大きさや厚みが、こちらの方が上なのですが・・・
まだ読んでいる途中で、半分くらいまで経過しました。
まだ日本と米国の金利差について解説されていませんが、これからちゃんと解説してくれると思います(笑)
多分、人口が増えている国と減っている国の差などが解説されると思いますが。
先の本と共通していることとして、「今までの金利の常識が通用しなくなってきた」というのがあります。
超低金利にすれば、インフレが亢進すると言われてきましたが、現実の日本では、マイナスにまで突入しているのに、インフレしませんでした。
(最近のインフレは、外部要因)
これは、今までの金融政策、金利、経済理論からすると、予想できないことでした。
大きいところとしては、人口動態があると、考えています。
少子高齢化が進み、人口も減っているとなると、金利を下げてもそこまでインフレを押し上げる効果はないのではないでしょうか。
となると、世界的な人口も増加率の低下、先進国では減少傾向なので、今後も金利は低いところで張り付く可能性も高そうですね。
また、金利上昇によってドルが高くなっていますが、インフレで通貨の購買力が落ちているので、中期的にドル安に動きやすい、という貴重な教えも解説してくれています。
為替や金利だけで、色んな要素があり、全てを予想することはできません。
その辺は、本では回答は出てませんが、考えるきっかけになると思います。
そういう思考の基盤として、金利の基礎知識を吸収するのに、本書は分かりやすく、読みやすいと思います。

3冊目は、予想外にも『現代ポートフォリオ理論講義』(根本康夫)です。
現代ポートフォリオ理論(MPT)について解説した本で、要するにインデックスファンドについての本です。
普通のMPT本は、株式投資についての解説で終了しますが、この本は珍しく債券市場についても切り込んでいます。
最初に読んだ時は「どうせ投資なんて株式がメインなんだから、債券なんて・・・」と思っていましたが、ここまで金利が上がるなら、ちゃんと読んでおけば良かったと激しく後悔しました・・・
ここで述べられる債券投資は、イールドカーブがどう動くのか、その理由などです。
あくまで債券投資の本なので、金利について経済学的に解説した本ではないです。
しかし、債券にもインデックスファンドやETFがあり、それらがどのように運用されているのか、大まかな仕組みを知ることができました。
あと、イールドカーブが純イールドを基本として、平坦になったり、右肩上がりになったりして変化していくのか、そういう仕組みについても解説しています。
債券市場は株式市場と違って、けっこう論理的に動いているようです。とても勉強になりましたね。ただ、勉強する時期が悪かったです・・・(笑)
古い本ですが、内容は全く古くなく、むしろインデックスファンドが日本でも定着してきた昨今、むしろ価値が増しているのではないか、と思えます。
これ一冊で株式と債券が学べるし、中古なら価格も安いでしょう。
理論本ですが、理論ゴリゴリでもなく、ちゃんと分かりやすい言葉で説明してくれているので、初学者は厳しいかもしれませんが、読んで意味が全く分からないということはないと思います。
まさに時代を超え、熟読するに値する本だと思います。

・金利について学ぶ意義はあるのか・・・?

日本の金利については、特にここ10年以上はゼロに張り付いていました。
これから上がると思いますが、上がってもそこまで高い金利にならないような気がします。
そうなると、結局は「資産運用は株式で」ということになり、「株式で運用するから債券や金利なんてあまり関係ない」ような気もします。
しかし実際には、金利はすごい重要な指標です。
『教養としての金利』では、理論株価で金利が影響していることを解説しています。
金利が高くなると、株価にも影響があります。
今のように、金利が高いのに株価が維持されているのは、AIブームなどによる将来の期待成長率が高く見積もられているからなんでしょう。
AIがどのように発展していくのか分かりませんが、テスラやNヴィディアを筆頭に、GAFAMを代表とするメガテック株は、指標だけを見るとかなり割高です。
やはり、債券にも投資すべきでしょう。
金利が上昇してくれば、日本でも債券市場が健全化、活性化するかもしれません。
リターンが低くても、安全であるなら欲しい人も多いと思います。
そういう時に、債券投資の基本を知っておくと、スムーズに投資が開始できるのではないでしょうか。
金利は株、不動産、為替に影響を与えますが、逆はほぼありません。
今回の金利上昇でも、基本を知っていれば、金利上昇の初めの時期にドル転して短期債券に投資、その後金利が上がりきったら長期債券へ移行、という完璧ムーブができた可能性も、ゼロではなかったと思います。
(最近は東証で米国債券ETFが充実してきたので、東証ETFで同じような運用をできるようになりました)
今さらどうしようもないですが、やはりこういう動きを敏感に察知すれば、いくばくかでも安全にリターンを取れたかもしれません。
初心者の人は、今日紹介した書籍で全く問題なく勉強できると思います。
皆さんの投資スキルの向上に役立てば、幸いです。

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