債券投資を東証ETFで行う(為替ヘッジについても解説)
さて、前回はゼロクーポン債について書きましたが、今回は東証ETFを活用し、債券へ投資していくことを念頭に解説していきたいと思います。
ねらい目として、3つの東証ETFに目をつけています。
※この記事も含む、全ての記事は、あくまで個人の見解なので、リターンの保証などは一切できません。
投資は自己責任なので、あくまで一個人の投資先として、ご覧になってください。
1496 IS投資適格社債 為替ヘッジあり(ISはアイ・シェアーズの略。ブラックロック社のブランドです)
1497 ISハイイールド社債 為替ヘッジあり
2621 IS米国債20年超ETF 為替ヘッジあり
順番に解説していきたいのですが・・・
その前に、為替ヘッジについて、説明したいと思います。
現在、急激な円安になっており、為替だけで日本人からみると、米国株はそこまで下落していないように感じます。
この為替の影響を避けるのが、為替ヘッジの目的です。
手法としては、例えば、100万ドルの米国債に投資したとします。
同時に、100万ドルを信用売りします。
優待クロスなどをやっている人なら、この手法はよくわかると思います。
これによって、ドルが下がったら、現物のマイナスを、信用売りのプラスで打ち消せます。
さらにドルが上がったら、現物の上昇が、信用売りのマイナスで相殺されます。
(ここでは例なので、100万ドルの資産すべてをカバーするようにヘッジしていますが、実際にヘッジがどれだけのカバー率なのかは、分からないです)
では、為替ヘッジのデメリットとは・・・
当然、信用売りの玉を維持するために、コストが必要です。
短期金利分のコストがかかります(正確には、日本の短期国債と、米国短期国債の金利差ですね。日本短期国債の金利は、ほぼゼロなので、米国短期金利がそのままのしかかってくることになります)
つまり、今だと4.5%程度の金利がかかることに・・・
これだけの費用がかかるので、個人的には長期投資で為替ヘッジは、全くおすすめしません。
しかし、現在の円安は異常値で、今から債券を買っても、円高になった時に、債券価格上昇分をかなりの部分、相殺されかねないでしょう。
つまり、将来の円高を見越しているなら、為替ヘッジつきを購入しておくのが、いいと思います。
こればかりは、何がいいのか、なんとも言えないですね・・・
為替リスクを負いたくないなら、やはり米ドルで、好きな債券を直接購入がいいと思います。
ただ、債券価格が上がった時点で売るなら、その時は利下げしているので、円高方向に動くのは確実でしょう。
円高になるときを見計らって売るのだから、為替ヘッジ付きでいいと思います。
ただ、ずっと為替ヘッジを長期で持ち続ける、というのは想定しておらず、いつか売却することを念頭に置いています。
為替ヘッジなしのETFはないのか、ということですが、調べてもありませんでした・・・(同じ種類のものは。短期米国債なら、ありますが)
おそらく、為替ヘッジしないなら、「直接買えばいいだろう」ということなんでしょう。
さて、この中では、2621の長期米国債を、一番におすすめしております。
というのも、ゼロクーポン債のところでも述べましたが、米国債には破綻リスクが限りなくゼロに近く、余計な心配をする必要がないからです。
1497のハイイールド社債は、利回りが5%近くあり、非常に魅力的です。
僕も最初はこれを重点的に買っておりました。
しかし、為替ヘッジという仕組み上、長期保有すれば確実にコストでリターンが食われる結果になるので、ハイイールドであっても、メリットが
薄いと感じました。
日本株は特に配当利回りが高い銘柄が多く、4%程度なら簡単に出せるでしょう。
だったら、まだ日本の高配当株に長期投資したほうがマシだとも思えます。
さらに、ハイイールドの社債というのは、もはや株式インデックスとそこまで大きく変わらない値動きをします。
株式投資との分散効果があまり期待できそうにありません。
コロナショック時は、株式とそん色ないレベルで下げています。
ただ、2018年年末のクリスマスショック時には、かなり持ちこたえています。
FRBが利下げしたとしても、何らかの経済ショックが発生してしまえば、社債のリスクプレミアムが高くなってしまい、その分いうほど社債利回りは下がらないかもしれません。(つまり、社債本体価格の上昇が見込めない)
通常なら長期保有で耐えつつ、高い利回りを享受すればいいのですが、為替ヘッジコストもあるので、どこまでそれが実現できるかも不透明です。
まあ、ショックが起きれば、利下げに動くので、ヘッジコストもかなり低下するとは思いますが、その時の状況を見ながら、という感じになりそうですね。
結局は、ショックが起きるとして、それがどの規模にになるのか、ということに尽きると思います。
コロナショック以上だと、株と同じように連れ安になりそうですし、クリスマスショック程度なら、そこまで被害はなさそうですね。
今現在だと、ハイイールド社債はコロナショック以上に下げているので、これ以上下げることは、考えづらいかもしれませんが・・・
こうやって色々考えてみると、やはり「債券をなんの目的で買うか」ということに尽きるでしょう。
個人的に、リターンを狙うなら、株でいいと考えています。
債券を買う、今回の目的は、「株価が下げたときに、ある程度のリターンを得つつ、逆方向に動いてくれる可能性があるから」ということに尽きます。
ならば、それが一番実現できそうなものは、この3種類の中では、2621の長期米国債ETFになるかな、と思っています。
現在は、考え直して、1497は売り飛ばして、その分を2621に振り分けております。
今の状況だと、日本円から、円安を気にせず気軽に投資できるということで、為替ヘッジ付き2621も買っています。
しかし、為替がどうなるかなんて、僕には全く分かりません。
最近は、日銀の為替介入もありました。
金利上昇の限度に近づいているから、という理由で買っておりますが、インフレがどうなるかなど、経済的な話は誰にもわかりません。
分からない中でも、ある程度の見切りをつけて、資金を投資していくしかない、と考えています。
為替ヘッジ付きなので、為替によって急激に価格が変化することはないですが、ヘッジコストがじわじわかかってくる、というようなイメージでしょうか。
為替ヘッジについては、行うタイミングなどもあるので、ここはアクティブな要素、つまり不確定要素なので、そういうのが嫌いな人は、何度も言いますが、やはり自分で為替リスクを負いながら、直接債券を購入した方がいいでしょう。
まとめ
債券は、今のFRBの利上げによって急激に価格が低下しており、今こそ株式のクッション役になりつつ、リターンもある程度出せそう、というターンが来ております。
今のうちに、何らかの形で債券を保有しておくことは、非常に有効だと考えています。
ただ、為替ヘッジというのが、どこまでコストがかかるのか、これは実際にその時になってみないと分からないところではあります。
これからも、注視と検討はしつつも、節目節目で少しずつ積み増していきたいと考えています。
ではまた、次もお互い、市場で会いましょう!