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次世代LDHボイグルPSYCHIC FEVER サイフィが「次に来る」4つの理由

JIMMY:(中略)ステージに立ちたいと思ったのは三代目J SOUL BROTHERSのELLYさんを知ってから。ファッションや髪型、表現すべてが、ブラックにルーツがある僕にとってリアルで、ダンスにどんどんのめり込んでいくようになりました。

https://smartmag.jp/archives/14342/4/#anc1

「僕はミックスであることがコンプレックスでもあった」と語る(※参照)JIMMY。少年時代の彼が踊らずにはいられなかったのは、こうしてPSYCHIC FEVERのメンバーとして表現を続けているのは、彼が音楽やダンスの中に「希望」を見つけたからだろう。そして今、彼はこの世界の誰かにとっての希望となり、他ならぬLDHの希望にもなっている。

究極言えば、痛みから生まれる芸術なんて存在してほしくない。でも芸術があるからこそ世の中の理不尽に圧倒されながらも痛みとともに歩いていくことができる。

JIMMY:揃っている美学もあれば、揃っていない美学もあると思うんですよね。PSYCHIC FEVERは、メンバーがいろんなルーツを持っているからこそ、誰が観ても勇気をもらえるグループ。僕らのパフォーマンスを観たら「こういうタイプの人もいるし、こういう形もあるし、こういう表現もできるんだ」って思ってもらえると思うんです。どんな人であっても「こういう型じゃないと、こういうふうになれない」とか「こういうふうじゃないとダメなんじゃないか」と感じて、ひとつの型に収まってほしくないので。言語に縛られず、そういったことを表現できるグループになりたいです。

半田:今のボーイズグループシーンでは、揃っているほうが主流かもしれないけど、せっかくいろんな国に行かせてもらっているし、僕らが新しい風を吹かせていきたいよね。

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/40462/2/1/1

彼らは美しい偶像として、ひとつの完璧な正解を表現するのではない。
むしろその反対で、正解がひとつではないこの世界の美しさを表現しつづけている。メンバーひとりひとりが「違うこと」に対するそれぞれの理解を持ち、自分達の価値を信じ、力を合わせて世界中に発信しつづけている。


①LDH音楽の勝ちパターン

EXILEにとってのHIPHOPやR&B、三代目にとってのEDMが、PSYCHIC FEVERにとっての「これから出会うどこか別の国の音楽」なのではないか?

LDHはこれまで「異」なものを味が濃いままキャッチーかつスキルフルに表現することで日本市場でのヒット曲を生み出してきた。東南アジア各国で共同制作やライブを行っているPSYCHIC FEVERはまだ誰も聴いたことのない音楽を作り出しヒットを生む可能性が高い。

彼らは音楽に限らずさまざまな外国の文化を学び人々と交流しながら現地のアーテイストやクリエイターと共同制作をしている。それが「借り物の異文化」ではない、もう一段深いところでの相互理解から生まれる音楽であるということは、現代においてはかなり重要だ。

②PSYCHIC FEVERという「あり方」の魅力

EXILEや三代目はスキルやビジュアルにとどまらず「あり方」としても人々を魅了した。三代目のヒット曲R.Y.U.S.E.I.は「一度きりの人生。全力で夢を追いかけよう。大切な仲間たちと楽しい時間を過ごそう」という「いいバイブス」を出してたくさんの人を巻き込んだ。彼らのカリスマ的なカッコ良さだけではなく、メンバー同士が楽しそうにしている三代目というあり方もまた人々の目に魅力的に映ったのだろう。

では、PSYCHIC FEVERのあり方とはどんなものなのか。

2023年12月31日。彼らはタイ・バンコクの大型商業施設セントラルワールドで行われた大規模カウントダウンに参加した。流暢なタイ語、英語MCで観客を盛り上げ、タイで制作した現地アーティストとのコラボ楽曲を次々と披露。さらにタイの人気アーティストTRINITYとのコラボステージも実現した。世界的ヒット曲「STAY」を共にカバーし、さらに広い世界へ目配せする強かな野心も隠さない。

異なるバックグラウンドを持つ人々が互いに歩み寄り、違い超えて手を取り合い協力することで生まれる感動と可能性。PSYCHIC FEVERの今日までの活動を象徴する、ラブドリームハピネスを体現したステージだといえる。

そんな彼らの海外活動はタイにとどまらない。インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムなど、東南アジア各国で他言語verの楽曲をパフォーマンスし多言語でMCに挑戦する姿や、オープンマインドに異文化を体験する姿も、SNSでマメに発信されている。

タイでの初単独公演(こちらのファンカムで34:45〜)。19歳最年少メンバーのWEESAは観客へ自身の興奮を伝えるのに「アメージング・マクマク!」「アメージング・スースー!」と叫ばずにはいられなかった。それを言うならスースーじゃなくてスット・ヨートね、とタイ語を熱心に勉強しているメンバーの小波津志からツッコミが入る。スースーはタイ語で「頑張れ」の意だ。テンション高く叫ぶWEESAの姿に他のメンバーが思わず笑みをこぼす、温かい雰囲気もいい。彼はきっと今ここにいる人に自分の気持ちを伝えるために一番伝わる言葉を探したんだろう。これもまた「PSYCHIC FEVER」のあり方を感じさせる。

メンバーの個性、音楽、活動、そのすべてにいろんなものが混じり合っているからこそ、見る者にとって「自分ごと」になりやすい。なんだか、そこに自分も混ざって楽しめそうな気がしてくる。彼らは「EXILE系」でありながらその言葉が持つイメージの排他的なイカつさとは対局にある「包容力」を持つグループに見える。海外活動を通して「ファミリー」が、大切な「地元」が世界にどんどん拡大していく。

③いろいろな「多様性」

彼らは「ボーイズグループ」としては特異だ。ビジュアルは売れ線商品ではないのかもしれないが、彼らのコンセプト、メッセージがダイレクトに伝わる。また、彼らの音楽も型に嵌められることを拒むかのように多様だ。

ファンによる英語でのメンバー紹介Tiktok動画のコメント欄(こちら)。名前で検索するとJIMMYへのリアクションが一番多く、WEESA、剣がそれに続く。日本やタイでのリアクションとはまた違う結果だ。

世界中のいろいろな人々がそれぞれの視点から彼らに魅力を見出していくだろう。世界中にいる「ボーイズグループのファン」は広報活動のノウハウを熟知している。なにごともやりすぎ注意というのは大前提として、ファンによる広報活動はオンライン上にとどまらず、たとえばタイではファンによる誕生日広告やコラボ飲食店も盛んだ。

また、彼らの持つ多様性とは表に出てくるわかりやすいものだけではない。そこには経験や考え方の違いも含まれる。

海外展開のノウハウがないからこそ過ごすことのできたかけがえのない時間、その目で見ることができた特別な景色がある。結成後コロナ禍に閉じ込められたこと、デビュー後にタイに滞在したことで、個々のクリエイティブ能力、環境に適応するサバイバル能力が磨かれ、世界に訴求力のあるコンセプトをさらに揺るぎないものにした

先輩グループであるTHE RAMPAGEのメンバーがMCを務めるラジオ番組での一場面。ゲストはメンバーの半田龍臣とJIMMY。「タイで驚いたこと」というありがちなお題、龍臣はトイレネタで話を盛り上げる。JIMMYは「ほんとに住み良いですし いいとこの方が多いんで」「びっくりしたとかじゃなくて 来て欲しいってのが強いですね」と柔らかいトーンで語る。

「タイと日本ってこんなに違うんだ」と2つの国の心理的な距離感を広げてしまわないような気遣い、余計な偏見を助長したくないという、そういう視点を持っていることに驚かされる。実体験からさまざまな視点を得た彼らが今後LDHに持ち込むアイデアが、他のグループに斬新なアイデアをもたらすということも大いにあり得るだろう。

④「希望」に見えるから

彼らの海外進出は世界市場へのファイティングポーズではなく、タイの人たちと握手をすることからはじまった。それが意味するところを考える。

違いを理解して受け入れ、お互いの共通点を探し、リスペクトを持って他者と接する。彼らのアーティスト活動はそういう行為の繰り返しだ。結果ではなく、彼らの道のりにこそ希望を見てしまう。

音楽の力で言葉も常識も超えてつながって、一緒に今を生きていることを楽しんで、一緒に良いものを作り上げていくグループ。彼らに希望あるいは「いいバイブス」を感じてしまうのは私ひとりではないと思って、この文章を書くことにした。

たぶん、人間はどんなときも希望を探さずにはいられない動物なのだろう。迷路に閉じ込められフンフン鼻を鳴らしチュッチュッと鳴きながらエサを探すねずみや、手に入るわけでもないのに光に引き寄せられていく蛾と変わらない。

そうやって、なんかいいな〜という直感に従って人生の中で希望を追い続けるうちに、痛い目をみることもある。だがその道中でさまざまな体験をし、自分の持っている力に気づき、自分の楽しみのためにしていたことが誰かのためになっていたりして、そしていつしか自分が誰かにとっての希望になっていることもある。

人間は、よいと思うものを独占してしまうのではなくて、集団のために広げようとすることもあるみたいだ。だったらPSYCHIC FEVERは間違いなく、世界のいろいろな人々と助け合いながら進んでいくグループになる。

PSYCHIC FEVERという異端児

「違う」ということに対してときに人々は非常に残酷になる。だけどできるだけ多くの人と助け合い、この世界の理不尽さに立ち向かっていかなければ生き残れない。

私たちには音楽がある。HIPHOPがJ-POPとT-POPをつないだように、世界中の異なる人たちをつないでくれるのが音楽の力、そしてボーイズグループが世界に影響力を持つまでに拡大した現象のキーだった。

人々はPSYCHIC FEVERというボーイズグループ市場にあらわれた異端児を希望と感じるのか、それとも拒絶するのか。彼らの今後から目が離せない。



※トップ画像はこちらの方の撮影したものです。使用許可をいただきありがとうございました。https://x.com/PCF_ThaiForEVER?t=jU15t4QAVgn1rcSDb8SH6w&s=09 
※いくつかのインタビューを以下の記事にまとめておきました。https://note.com/botishaken/n/nfd23aa475b72


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