THE AMERICANS
自分たちの店は一般的に「ブックカフェ」と呼ばれている業態。個人的には「ブックカフェ」ってあんまり好きな名称ではなくて使いたくないのですが、いちいち「店舗の入り口側が古本屋になっていて、奥がカフェなんです」なんて説明していると「ああ、ブックカフェなんだ」とか言われちゃって「あ、そうなんです」とか答えちゃってる、みたいなやりとりも面倒なので、「ブックカフェ」ということにしています。
そんなブックカフェに来るお客さんで「ノースはアメリカンズがあるお店なんだよー」って友達連れて来てくれる女性や、「あ、ロバートフランクのアメリカンズがある!私のお父さんがロバートさんと親しくて、家に何冊もアメリカンズがあるんだよねー」ってお客さんがいたりして、結構閲覧されたり、話題になったりする写真集。
このアメリカンズはPANTHEONから出たハードカバーの1986年もの。買われないようにと少し高めな設定。この写真集を手にして、いつの間にか30年近くなるわけで、その間、幾度となくページを捲ってきた。その都度、捲る手がとまる箇所が違う。若い頃はどんよりとした白黒の世界から比較的明るめの、人が写っていない風景写真を好んでいた気がするが、30年の歳月の中で「アメリカ」の見方の変化や、背景や歴史など持っている知識が少し増えたことにも因るのだろう。今回これを書くにあたり、もう一度ゆっくりと頁をめくってみたら、サウスカロライナはチャールストンで撮影された白人の子供を抱く黒人女性の写真で手が止まった。
この写真集を語る上で知らん顔できないのが、序文をジャック・ケルアックが書いていることだ。先日発売された、SWITCH5月号(2020年)の追悼ロバートフランク(1924-2019)の中で、柴田元幸さんが翻訳されているので、読んだ方も多いと思う。1957年「オン・ザ・ロード」出版記念パーティーでこの序文を頼んだロバートフランクに、「あんた、目があるよ」と序文を締めたケルアック。このマッチングはその後、写真集アメリカンズが現代まで語り継がれる上で、なくてはならないものになった。
これを書く準備で下記の文献を拝読させていただいた。とても面白かったのでリンクしておく。
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/manage/wp-content/uploads/2016/03/84_7.pdf
コロナが落ち着けば、これにも行けたらいいな。(自分用メモ)
https://shooting-mag.jp/news-report/4144/