木の名前を覚えよう
そこに立っている樹木を知ることは風景を理解することであり、その土地を知ることだ。樹木は黙って静かにその土地のことを教えてくれる。
人の営みがなくなった場所には草が生え、木が生え、勝手にその土地にあった樹種で構成される森が出来上がる。
日本であればほとんどの場所で森がデフォルトである。都会は森になるはずの場所を人間がアスファルトやコンクリートを駆使して木を生えてこないようにしているだけで、むしろ例外なのである。
近くの神社にカシの大木があれば、その周りは本来カシの森になるはずだった場所だということがわかる。カシはカシでも関東であればシラカシ、東海以西であればアラカシと違いがでてくる。海に近い場所であればタブノキ、海辺であればクロマツになるかもしれない。
街から見える山が針葉樹だらけなのは戦後の大造林政策や、高度成長期に住宅の木材需要を見越して国が一斉にスギやヒノキを植えたからだ。
クヌギやコナラの大木が生い茂る林は、薪を取るための落葉樹が、エネルギー革命によって利用価値がなくなり放置されたものである。
家の近くを散歩していても、旅行先でも、どこにだって木はある。日本には1000種類を越す樹木が存在するが、名前を知らなければただの"木"であり、記憶に残らないぼんやりとした背景で終わる。
木の名前を覚えればその土地のことが見えて来る。なぜなら前述のとおり、木は人の営みや自然環境を黙って体現しているからだ。
コテンラジオというラジオ番組を最近聴くようになった。歴史という"難しくて嫌煙されがちだけど知れば奥深いもの"を、面白く、今の言葉で、わかりやすく伝えていて、いつのまにか虜になっていた。
自然科学も歴史(人文科学)と同じく"難しくて嫌煙されがちだけど知れば奥深いもの"だと思っている。だから僕もブログや図鑑サイト作りを通して、(樹木を主な題材として)その面白さ奥深さを伝えていけたらと思う。