02. 北海道、家まわりの除雪を考える
朝8時、氷点下9℃
朝食を済ませて、雪はね(除雪の意)の準備を始める。
<服装は防寒より汗の吸収を優先>
・スキー用手袋(中学生の頃に購入したもの)
・耳当てつき帽子
・撥水素材のワークパンツ
・撥水素材のダウンジャケット
・UNIQLOのボア付きパーカー
・透湿性の高いインナー上下
昭和50年代築、4LDKでテラスと庭のある戸建。10cm積もると、作業時間は1時間半ほどになる。前日の降り始めが早ければ、比例して積雪量が増えるため、長い日は3時間近くの作業になる。最初は寒いが、20分も経つと汗だくになるため服装のレイヤーはかなり重要だ。登山に行く際のレイヤリングがとても参考になる。
<雪はね道具は目的別に使い分ける>
・スノーダンプ(通称ママさんダンプ、大・小)
・除雪用スコップ①(押すタイプ・雪寄せ用)
・除雪用スコップ②(柄の短いタイプ・雪なげ用)
・除雪用スコップ③(柄の長いタイプ・雪なげ用)
・除雪用シャベル①(ステンレス製・雪削り用)
・剣先スコップ(氷割り用)
・雪庇用伸縮棒(屋根のつらら/雪庇落とし)
・雪用ほうき(玄関まわりの雪はらい)
玄関横にずらっと並べてあるこれらの道具たちを、雪の状況を見極めて使い分けるのが効率的な雪はね作業では大切になる。ここ10年程で主流となったかまぼこ型のスコップだけでは、より良い雪はねは実現できない。
玄関横には融雪槽を設置しているが、大雪の日以外は稼働を控えている。灯油代を節約するためだ。家表の雪はすべて、裏の庭に人力で運んでいく。
<雪はねの作業フロー>
a.除雪用スコップ①で敷地内の雪を寄せ集めて1mくらいの雪山をつくる
b.スノーダンプで雪山から雪をすくう
c.こぼれない程度に雪を盛ったら裏庭に運ぶ
d.雪山が低くなってきたら除雪用スコップ②でダンプに雪を入れていく
a~dをひたすらに繰り返し、雪山を減らしていく。凍れた日に降った雪はパウダースノーで非常に軽く、運ぶのが容易だ。反対に、氷点下2~3℃あたりが続いた日の雪はひどく重く、運ぶのに難儀する。
e.雪山が片付いたら階段周りや車庫前の雪をシャベル①で削る
f.つららや雪庇、屋根手前の雪を落とす
g.氷が混ざっていたら剣先で割り砕いて裏庭に運ぶ
h.玄関の雪をほうきで払って凍り付かないようにしておくく
雪庇(せっぴ)落としや屋根の雪落としは、古い家では重要な作業だ。「すが漏り」を防ぐためだ。
一昨年、屋根の雪落としが不十分だったためにすが漏りを起こしてしまった際は、金づちと鑿を持って屋根にのぼり、厚さ15cmはあろうかという氷を砕く羽目になった。また、屋根上の雪を放置しておくと、重みで家全体が歪んでくることにも注意しておきたい。
<雪はねを習慣化する>
雪はねは実際に重労働だが、「憂鬱な重労働」にしてしまっているのは自分自身だ。大切なのは溜め込まないこと、これに尽きる。毎日少しずつ作業していれば、憂鬱な気持ちで大量の雪と闘う週末を避けることができる。夕飯を済ませたあとの30分で3cmほど積もった雪をはねておく。この作業を習慣化させることができれば、あなたの冬は格段に過ごしやすくなるだろう。
店主敬白