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ペムブロリズマブを肺がん術前・術後に加えると、術前化学療法のみより全生存期間が延長(KEYNOTE-671試験)
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KEYNOTE-671試験の第2回中間解析結果が2024年Lancet (10.1016/S0140-6736(24)01756-2)に掲載されました。本邦では2024年8月に本治療が術前・術後補助療法として承認されており、今後の治療選択肢として注目されています。
背景
KEYNOTE-671試験の第1回中間解析では、術前・術後にペムブロリズマブを追加することで無イベント生存期間が延長することが示されていました (NEJM 2023, 10.1056/NEJMoa2302983)。今回の第2回中間解析結果では、全生存期間について追加報告されました。
試験概要
目的:
切除可能な非小細胞肺癌患者において、術前・術後にペムブロリズマブを追加するすることの、有効性・安全性を検討すること。
デザイン:
国際共同二重盲検プラセボ対照ランダム化第Ⅲ相試験
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解析方法:
無イベント生存期間と全生存期間についてはカプランマイヤー法を用いて推定し、治療間の比較は層別ログランク検定にて行った。治療間の効果の大きさを評価するために、関連指標として層別化Cox回帰モデルを用いてハザード比を算出した。
多重検定の調整:
仮説全体のαエラーを片側検定で0.025に設定。無イベント生存期間には0.01、全生存期間には0.0148、主要病理学的奏効率と病理学的完全奏効率にはそれぞれ0.0001のαエラーを割り振った。
今回の試験では、複数の仮説を検討する必要があるため、多重検定による偽陽性を防ぐ目的で、各仮説に対してαエラーを適切に分配し制御しています。
本試験の主要評価項目は無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)ですが、病理学的奏効率も臨床的に重要な指標であることから、これらをより厳密に評価するためにαエラーが割り振られていると考えられます。
中間解析:
O’Brien– Fleming 消費関数により、それぞれの中間解析および最終解析で限界値(Critical values)を設定し、αエラーを適切に制御した。今回の第2回中間解析では、無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)を解析予定であったが、EFSについては第1回中間解析において優越性の限界値を満たしたため、本解析では全生存期間(OS)のみ検定対象となる。
中間解析の目的は、試験の早期段階で優越性や無益性(futility)を証明し、試験を終了することにあります。ただし、複数回の解析を行うことで偽陽性のリスクが高まるため、O’Brien–Fleming消費関数を使用してαエラーを各中間解析に適切に分配しています。本解析において、全生存期間(OS)の優越性を示す限界値は0.0054に設定されており、P値がこの値を下回る場合、優越性が証明され試験を早期に中止することが可能となります。
結果
患者背景(n=797)
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治療内容の比較
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主要評価項目
全生存期間(OS):ペムブロリズマブ群 vs プラセボ群
中央値: 未到達 (95% CI 未到達)vs 52.4か月 (45.7–未到達)
36か月全生存率: 71%(95% CI 66–76)vs 64%(58–69)
ハザード比: 0.72 (95% CI 0.56–0.93)
片側p値: 0.0052 (閾値: 0.0054)
無イベント生存期間(EFS)※:ペムブロリズマブ群 vs プラセボ群
中央値: 47.2か月 (95% CI 32.9–未到達)vs 18.3か月 (14.8–22.1)
ハザード比: 0.59 (95% CI 0.48–0.72)
※第1回中間解析ですでに優越性の閾値を満たしているため、今回は統計的検定を行わなかった。
まとめ
ペムブロリズマブ+化学療法は、プラセボ+化学療法に比べて全生存期間(OS)を有意に改善した。
第2回中間解析時点で、予定されていたすべての仮説に対して優越性が証明された。
ペムブロリズマブを含む周術期治療が切除可能な早期NSCLC患者の標準治療のオプションとなる可能性を示唆。
メモ
・CheckMate816との違い:
ALK, EGFRを含む 7-8%くらい
術前化学療法 4サイクル(CheckMate816は3サイクル)
化学療法はシスプラチンのレジメンのみ
二重盲検化されている
・術前化学療法をすべきか?外科切除した後に術後化学療法すべきか?
本試験では15-20%は手術に辿りつけず。
2025/1/21
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