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主治医と患者さん、より良い関係を築くためのヒント

最近、とても印象に残った話がありました。それは、「いいリーダーは、その場に応じていろいろなリーダーシップのスタイルをうまく使い分けられる」という考え方です。正直、これまでリーダーシップって人それぞれの個性や得意なスタイルに基づくものだと思っていたので、すごく新鮮でした。

この考え方を聞いたとき、「これ、患者さんと医師の関係にも当てはまるな」とすぐに思いました。診察室や病院のベッドサイドで、患者さん一人ひとりにどう寄り添うかを考えるときに、このリーダーシップの考え方がすごく役に立つと思ったんです。

たとえば、呼吸器内科の医師として日々の診療で出会う患者さんとのシチュエーションを、いくつかのリーダーシップスタイルに当てはめてみました。


1. はっきり指示するスタイル(Directive)

例:
「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」の患者さんがICUに入院された場合。こういう緊急の場面では、すぐに治療方針を決めて、挿管や人工呼吸器の管理など、明確で素早い指示が必要です。


2. 将来を見据えたスタイル(Visionary)

例:
肺がんと診断された患者さんに、長期的な治療計画をお伝えするとき。この治療が患者さんの生活や目標にどう役立つかを話して、「一緒に頑張っていきましょう」と希望を持ってもらうよう心がけます。


3. 気持ちに寄り添うスタイル(Affiliative)

例:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、長く付き合う病気に悩んでいる患者さんに対しては、辛さに共感しながら、「一緒に進んでいきましょう」と安心感を与えることを大事にしています。


4. 一緒に考えるスタイル(Democratic)

例:
間質性肺疾患(ILD)の患者さんが治療法を迷われているときには、選択肢のメリットやデメリットを丁寧に説明します。患者さん自身が納得して治療を選べるようにサポートするスタイルです。特に、セカンドオピニオンでいらした方や、複数の治療法を既にご存じの方には、こういった方法が役立つと感じています。


5. お手本を示すスタイル(Pacesetting)

例:
呼吸リハビリを始めるのに不安を感じている患者さんには、過去の患者さんの成功例を共有したり、自分の経験を話したりして、「こうすれば上手くいきますよ!」と背中を押します。


6. 指導するスタイル(Coaching)

例:
喘息と診断されたばかりの患者さんには、吸入器の使い方や日常生活で気をつけることを丁寧に指導します。患者さんが自分の体を自信を持って管理できるようになることを目指しています。


こういったスタイルを、患者さんの性格や希望に合わせて柔軟に使い分けることも、とても大事だと思っています。

今回、このリーダーシップの考え方に触れることで、自分の診療の仕方を見直すいいきっかけになりました。これからも、この学びを活かして、患者さんとの関係をより良いものにしていきたいと思います。


まとめ

患者さんと医師の信頼関係を築くためには、それぞれの状況や患者さんの個性に合わせた接し方が大切です。少しの工夫で診察がもっと安心感のあるものになるかもしれません。この考え方をこれからも実践しながら、皆さんに寄り添える医師を目指していきたいです!

2025/1/22


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米国で奮闘する医者の日常
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