西村賢太『苦役列車』読んでみた
先日亡くなった西村賢太という小説家のことを私は知らなかった。現代日本の文学については非常に疎いのである。
どうもこの方は、不摂生を重ねた結果、50代半ばにして亡くなったらしい。ピンピンコロリに該当するのであろうか。
そのような間接的自殺といっても良い生き方に少しばかり興味が湧いたのと、フィクションはこういう機会でもなければなかなか読まないということもあり、氏の代表作である『苦役列車』をお買い上げしてみたのである。
というか電子化されてない作品はどれも高騰していたのである。
本書は作者自身がモデルと思われ、将来を見通せないまま10代で日雇いの人足を続ける日常が淡々と描かれるのが8割くらい。淡々と、とはいっても主人公のネチネチした性格が入念に描かれるので気分の良いものではない。気分が良くないのは、もちろん私自身にもネチネチしたところがあるからである。
残りの2割は、唐突に20年の月日が経って主人公は小説家になっている。最初の8割で小説を書きそうな雰囲気が皆無で脈絡なさすぎなのだが、まあ私小説とはそういうものなのだろう。
これが芥川賞というのが俄には信じがたいが、けっしてつまらなかったわけではない。主人公の粘着質な描写のわりにはあっさり読めたのでよかった(^o^)
映画化もされているようだが、主人公が森山未來というのはなんかちょっと違うと思わなくもない。
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