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私とヒッチハイクとチンパンジーと
※実際にあったこと、思ったことをそのまま書いてます。反射的に「女でひとり旅してしかもヒッチハイクするやつは危険な目にあってもしょうがない」など批判的な感情を持ってしまう人は閉じてください。
20代前半、青春18切符で旅したことがある。
友人から残り2日余ってしまったという切符を貰ったのだ。
急なことで特に計画もなく荷物を詰め込んだ。
博多から出て山陽本線を進み、瀬戸大橋を渡り1泊目は香川でうどんを食べた。
2泊目は愛媛に行って道後温泉。
2日経ったのでチケットは無効になった。
高速バスで高知県に向かった。
ひろめ市場、坂本龍馬像、桂浜...
ぶらぶらと観光地を巡り1泊。
翌日、高速バスで徳島にでも行くかななどと考えながらバックパックを背に抱えて歩いていると、急に高級そうな車が目の前に止まった。
おじさんが降りて来て、「どこいくの?送ろうか?」と言ってきた。直感的にこのおじ下心あるんだろうなと思った。
無理やり来る可能性はどれくらいあるだろう。
押しが強いだけなら、インド人と口喧嘩できるくらいだから大丈夫。力で来られたらおじと言えど男性には勝てないだろう。
『徳島です 』と返すと「いいよ、送るよ」とおじは言った。
勝負のゴングが鳴る...!!
高速で2時間強。
おじが下心を出してくるとしても、1時間半は大丈夫だろうと踏んでいたが、それは読みがかなり甘かった。出発して20分とか30分頃には、おじは下心を隠そうともしなくなった。
「ホテルで休憩しようよ」
さすがおじ。誘い方も古典的。
まだ21歳そこらだった私は父より年上であろう男性から性欲を向けられたことはなかった。
くそー。恋愛じゃないけん下心隠す必要ないのかー。
などと考えながら『しませんね 。彼氏のこと好きですし。』と私は攻撃力低そうな返答を繰り返した。
ふと、おじはたまに高速道路の上に現れるカメラを指差した。
「スピード違反すると、写真に撮られるんだ。
写真に撮られると女房に浮気を疑われる。
疑われるくらいなら、本当に浮気してないと損する。」
.......
.........
..............このおじバカなのかな(╹◡╹)⁇
『スピード違反しなきゃ良いんじゃないですか 』
「 するかもしれないじゃないか」
押し問答。ダメだこりゃ。
よう理論で通ると思ったなっ!!
心の中でツッコミを入れながら車は進む。
おじはおじさんらしく、自分は元国会議員だと自慢話を始めた。首相の車を警護しながら隊列しまことがあるんだぞ、と。
まごう事なきおじ。おじの中のおじ。
下ネタと自慢話は嫌わられるって知らないのかな。こんなおじさんになってまで20代の子とタダでヤろうとする奴が国作ってるなんて終わってるよなー。
無意識にぴちぴちの20代を絶望の淵に落とすおじ。だがトドメの一撃はまだ残らされていたのだ。
道中も終わりが近づいてきた。
おじはパーキングエリアに寄るかと尋ねてきたが、断った。しかし何故か寄るおじ。
トイレに行くわけでもなくおじが何故停車したのが謎だったが、運転席でおじが○ン◯をペロンと丸出しにしていたのだ。「握ってよ」
それまで国内外いろんな旅をしてきた。
女ひとりで旅をしていると、日本人だろうが外国人だろうが下心を持つ人は多い。
ただこんなチンパンジーには出会ったことがなかった。
こんな...こんなやつが国政に関わっているのか..._(:3」z)_
人間に見つかって逃げ回るゴキブリと同じくらいの速さで私は「いいです!降ります(怒)」と、どこぞのパーキングエリアで降りてもなんの宛てもないのに車のドアを開けた。
おじは「わかった、わかった。ちゃんと送るから」と汚物をズボンに仕舞った。
それから15分ほどで徳島県のどこかのICに着いた。
おじはゲートの手前でUターンし、めちゃめちゃ危ない場所で私に降りるように指示。「うまくやったな。」と捨て台詞を吐いて、高知県に戻っていった。
おじ...金持ちアピールしてたのに高速料金も詐欺るのか...。
ほんと、この世界には色んな人がいるなぁ。
ゲートの人に誘導され高速から徒歩で出て、何もない徳島のどこかのICの出入り口付近で、私は持ってきていたスケッチブックに【徳島駅】と書いて頭上に掲げた。
こんな経験をしたすぐ後にもう一度ヒッチハイクをするのは馬鹿げている。頭では理解しているが、元来あまり恐怖心がない。
それによって人が足踏みするようなチャレンジをいくつも経験してきた私の一長一短。いやマジ大概にしろ。
掲げて2分くらいで一台の車が止まってくれた。30代くらいの男の人だった。
たった2分。
女を危険にさらすのも男だし、助けてくれるのも男なんだよなぁ。全部じゃないけど、大概ね。全男が助ける側でいてくれればいいのにね(´;ω;`)
しかしながら30代くらいの男性は、1ミクロンもチンパンジー化することもなく、紳士に徳島駅に送り届けてくれた。
純真無垢な気持ちで言えます。
本当にありがとうございました。
旅から帰ると、当時の彼氏(夫)にバチクソ怒られ、今でも数年に一度チクチク文句を言われるのが、私の軽率さという罪への罰のようです。
罰はもう受けてる( ͡° ͜ʖ ͡°) byアシタカ
もうそろそろ見逃してくれ...
そうして私はひとつ体験を重ねて、今日も旅人を続けるのです。