日本のネットネット株への投資
概要
ネットネット株は市場平均を凌駕する、と言われてますが、ネットネット指数だけを見ている投資家はおそらくいないと思います。
大抵の投資家は、ネットネット指数にプラスアルファでPER、業績推移、配当、大株主、、、などを見ているはずです。
たとえば万年赤字の最悪な状態にある会社の株は、いくらネットネットで割安でも投資対象から外されがちです。
しかし、そうしたフィルタでふるい落とされた銘柄のパフォーマンスは本当に悪いのでしょうか?
そのような株だからこそ、もはや下値の不安はなく、ちょっとした好材料で大きく化けるということあり得ます。
この記事ではネットネット株をネットネット指数の観点だけで評価した結果、投資成績がどのようになるのかを確認したものです。
具体的には、以下のシンプルな投資戦略で運用した結果となります。
・日本株の中で、ネットネット指数で最も割安なものを10銘柄を選定してイコールウェイトで保有します。
・ここで言うネットネット指数は、かぶ1000流の計算方法で計算したものとします。(参照:https://diamond.jp/articles/-/261762)
・銘柄入れ替えは1年に1回(8月のお盆休み)とします。
なお、本記事の内容はバーチャルトレードです。
2019年8月~2020年8月の投資結果
当年の投資成績は、
ネットネットPF : +4.2%、TOPIX: +7.4%
となりました。
残念ながら、市場平均に大幅に劣後する結果となりました。
当年のPF及び各銘柄の損益は下表のようになっています。
銘柄ごとに見ると、ダントーHD・中部鋼鈑を除いて、ほぼほぼマイナスです。
2020年8月はコロナショックからのリバウンド相場の最中です。
コロナ禍の恩恵を受けたウィズコロナ企業や、金融緩和の恩恵を受けやすい大型株の回復が目立っていました。
一方、ネットネットのような地味株には資金が巡っていない状況だった為、市場平均に大幅に劣後する結果になったのではないか、と思われます。
なお、損益トップのダントーHDについては、高騰の理由はとくにはありませんでした。投機筋によるものだと思います。
投機筋が入ってくる銘柄の特徴として、万年赤字・出来高が少ない・低位株・非貸借といったものがあります。
ネットネットという属性の中には結構な頻度でこの手の株が入り込むことがあります。
2020年8月~2021年8月の投資結果
当年の投資成績は、
ネットネットPF : +11.1%、TOPIX: +21.5%
となりました。
残念ながら、当年も市場平均に大幅に劣後する結果となりました。
当年のPF及び各銘柄の損益は下表のようになっています。
損益は、全ての銘柄でプラスとなっています。
損益トップは、事業面でカタリストのあったジオマテックで、ダブルバガーを達成しています。
しかし、その他の銘柄はいずれも市場平均の+21.5%を下回っています。
当年の相場の特徴としては、コロナ禍を乗り越えた製造業で、業績が爆発的に伸びたシクリカル銘柄の株価がよく上がった、と思います。
一方、ネットネット株というのは、業績が右肩下がりの銘柄が多いので、そのような地合いでは物色されることがなかったのかなぁ、と思います。
まとめ
検証期間:2019年8月~2021年8月の2年間の累積投資結果は…
ネットネットPF : +15.8%、TOPIX: +30.5%
と残念ながら、TOPIXに大幅に劣後する結果となりました。
ネットネット株投資はネットネット指数を調べるだけじゃなく、カタリストを見極めて選別しないと、市場平均にすら勝てないということです。
個人的にショックだったのは、2年とも、10銘柄中、市場平均に勝てたのが1~2銘柄だったということです。
2年とも、勝てる株はとことん上がるのですが、その他大勢が悪すぎて、負けるというパターンでした。
来年も同じ戦略で運用してみて、ネットネット指数という単一のファクターに優位性があるのかどうかを結論づけようかと思います。
ご参考になれば幸いです。